医療ニュース
2010年8月18日(水) エイズ発症者が過去最多
新たにHIV感染が判った人数、エイズを発症した人数は厚生労働省が3ヶ月毎に公表しています。今年(2010年)1~3月は、HIV感染が判った人(まだエイズを発症していない人)が227人、エイズを発症した人(エイズを発症して初めてHIV感染が判った人)が94人であったことを6月10日の医療ニュースでお伝えしました。(詳しくは下記参照)
この227人という数字は前年同期から減少しているけれども、これは検査件数が大幅減っていることが原因であり、実際の感染者が減少しているわけでは決してないということを述べました。さらに、エイズを発症した94人は前年同期から増加しており、これはいかに検査に対して無関心になっているかを表している、ということをお伝えしました。
さて、厚生労働省は2010年4~6月(正確には3月29日~6月27日)の3ヶ月に新たに報告されたHIV感染者及びエイズ発症者を報告しました。
同省によりますと、(エイズを発症していない)HIV感染が判った人が263人で、これは前年同期(226人)から比べると3人の減少ですが、検査数が減っていることを考えれば当然でしょう。
注目すべきは、エイズを発症して初めてHIV感染が判った人が129人で、これは過去最多です。また、母子感染も1例報告されており、これは4年ぶりになります。
検査総数は約32,000人で、これは1~3月に比べると約2千件増加しています。しかし、前年同期比でみれば約5千件の減少です。ちょうど前年は新型インフルエンザの渦中にあった時期で、HIVに対する関心が薄らいでいると言われていました。今年は、インフルエンザの騒ぎがないのにもかかわらず、昨年より5千件も検査数が減っているわけですから、国民のHIVに対する意識は相当低下しているのでしょう。
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以前にも述べましたが、2007~2008年頃は、太融寺町谷口医院の患者さんでは、「症状がないけれどもHIVが気になって・・・」という理由で受診されHIV陽性が判明するというケースが多かったのですが、2009年からは、発熱や皮疹など別の症状で受診され、「結果的にHIV陽性であることが判った。患者さんはまさかHIVに感染しているとは考えてもいなかった」、というケースが増えています。
それにしても、HIVに対する関心が日本中で低下している原因は何なのでしょうか・・・。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年6月10日 「HIVの「検査数」が大幅減」
2010年2月17日 「検査件数減少で新規HIV感染者も減少」
2009年11月30日 「HIVの検査を受ける人が激減」
2009年6月20日 「日本のHIV、増加傾向は変わらず」
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