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2013年7月27日 土曜日

2008年9月29日(月) ビタミンB12が脳を守る!?

 ビタミンB12が高齢者の脳の縮小を防ぐ可能性がある・・・

 英国オックスフォード大学の研究者らがこのような発表をおこないました。

 研究者らは、記憶障害や思考障害のない61~87歳の107人を対象に研究をおこないました。対象者の平均年齢は73歳、54%が女性です。対象者からは血液検査をおこないビタミンB12の数値を調べ、脳の体積を調べるためにMRIを撮影、さらに記憶力の検査などをおこなっています。

 結果について、まずビタミンB12欠乏症の人はいませんでした。ビタミンB12の数値が高かった人は低かった人に比べると、脳が縮小する可能性が6分の1との結果がでています。

 ビタミンB12は肉や魚、牛乳などに含まれていますが、ビタミンB12のサプリメントによる摂取に効果があるかどうかは検討されていません。また、すでに脳の萎縮のある人に対してビタミンB12の補充が実際に効果をもたらすかどうかは不明です。

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 食事からビタミンB12を積極的に摂取すれば脳を守れるかもしれない、という研究です。研究者らが述べているように、サプリメントに効果があると決め付けるのはよくないでしょう。

 以前、βカロチンのサプリメントが大腸癌予防につながるのでは・・・、などと言われていた時代がありましたが、大腸癌を予防しないどころか肺癌のリスクを高めることが分かり、現在ではβカロチンのサプリメントを積極的にとっている人はほとんどいないと思われます。

 また、ビタミンEのサプリメントも摂り過ぎれば肺癌のリスクになると言われています。さらに驚くべきことに、ビタミンEは食事から摂取すれば心疾患のリスクを軽減させることが分かっていますが、サプリメントでビタミンEをとると逆に心疾患になりやすくなるとの研究もあります。

 今回のビタミンB12の研究も、摂取が食事によるものでサプリメントでは研究がおこなわれていないことには注意をしなければなりません。

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年10月5日(日) 抗生物質「ガチフロ」が販売中止に

 「ガチフロ」という抗生物質が2008年9月30日をもって販売中止となりました。

 FDA(米国食品医薬品局)が先月ガチフロ(一般名ガチフロキサシン)と同じ成分の製剤を承認医薬品リストから削除したことを受けて、製造元の杏林製薬が決定しました。また、以前から副作用が問題になっていたという背景もあります。

 ガチフロは、日本では2002年に承認され処方されるようになりましたが、発売後間もなく厚生労働省が「緊急安全性情報」を出し、医療機関に注意を呼びかけました。これは副作用として重篤な血糖値異常の報告が相次いだからです。(9月30日の読売新聞によりますと、副作用報告は延べ254人になります)

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 「ガチフロでなければ治らない」という感染症は(私の知る限り)ありませんから、私個人としては、「緊急安全性情報」が出されてからは一度もガチフロを処方していません。(すてらめいとクリニックの患者さんにも一度も処方していません)

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年10月5日(日) 米国のHIV感染者が増加、5人に1人は気づかず

 CDC(米国疾病管理センター)は、10月2日、米国内のHIV陽性者について発表をおこないました。(報道は10月3日の共同通信)

 2006年末時点で米国内のHIV感染者は約110万人で、そのうち5人に1人は感染していることを知らないそうです。

 この数字は2003年末と比べると、3年間で約11万2千人が増加していることになります。この理由として、新規感染の増加と治療薬が普及して長期間生存できるようになったことが考えられます。また、検査が普及し早期発見ができるようになったことも理由のひとつと考えられています。

 感染者の4分の3は男性で、全感染者のほぼ半数は男性と性行為をする男性。全人口の12%にすぎない黒人が全感染者の46%を占めています。また、米国勢調査局によりますと、米国の最新の人口は約3億530万人で、UNAIDSの報告によりますと、2007年末時点の世界のHIV感染者は3320万人です。

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 仮に日本も感染者の5人に1人が気づいていないとすると、判っている日本のHIV陽性者は約1万5千人ですから、この1万5千人以外に約3,750人の自身の感染に気づいていない人がいるということになります。気になる方は一度検査を検討されてはいかがでしょうか・・・

(谷口恭)

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2008年10月5日(日) 日本の赤ちゃんは睡眠不足?

 日本の赤ちゃんの平均睡眠時間は11時間37分で、16カ国(地域)で最短・・・。

 このような調査結果が発表され話題を呼んでいます。(報道は9月29日の共同通信)

 この調査は、ジョンソン・アンド・ジョンソン社の協力の下でおこなわれ、アジア太平洋地域を中心とする16カ国(地域)で実施されました。0歳から3歳児の睡眠時間などについてインターネット上でアンケートがおこなわれ、日本の約870人を含む合計2万8千人から回答を得ています。

 その結果、日本の乳幼児が床に就く平均時刻は午後9時18分、起床時刻は午前7時8分と中間くらいでしたが、昼寝が2時間11分と最も短く、夜泣きや授乳時間などを差し引いた1日の総睡眠時間は11時間37分で最短でした。

 参考までに最も長かったのはニュージーランドの13時間18分となっています。

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 では何時間眠ればいいのか、という疑問に答えるのはむつかしく、大人でもそうであるように最適な睡眠時間には個人差があります。しかしながら、日本の赤ちゃんの睡眠が最短で、最長のニュージーランドと1時間41分もの差があるのは気になります・・・

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年10月8日(水) 子宮頚癌に無関心な日本人

 日本人の若い女性は子宮頚癌(けいがん)に対する認知度が低く、健診の受診率も低い・・・

 これは、産婦人科の女性医師でつくる「子宮頚がん予防の会」らの調査で明らかとなりました(報道は10月6日の読売新聞)

 この研究は、日米豪の18歳から26歳の女性に対し、インターネットで調査を実施しています。「子宮頚癌という名前を知っているか」との問いに、米では100人中99人、豪では100人中全員が「はい」と答えていますが、日本で「知っている」と答えたのは6割にとどまっています。

 また、実際に子宮頚癌の検査を受けたことがある人は、米で72%、豪が54%なのに対し、日本ではわずか9%にすぎません。

 子宮頚癌は、子宮頚部(子宮の入り口)にできるガンで、20~30歳代の若い女性に増えています。早い段階で発見できればほぼ100%が治癒します。

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 実際に子宮頚癌の検査を受けたことがある日本人女性が9%というのは少なすぎるように思いますが、すてらめいとクリニックの患者さんについて考えてみてもせいぜい3割程度ではないかと思われます。

 すてらめいとクリニックで子宮頚癌の検査を受けた人のなかにも、癌(あるいは癌の手前の状態)が見つかった患者さんは少なくありません。20歳(あるいは19歳)を超えれば年に一度程度は受けるべき検査だと言えるでしょう。

参考:2008年6月30日「低すぎる日本の子宮けい癌受診率」

(谷口恭)

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2008年10月14日(火) 日本国内で梅毒が急増!

 2003年から2007年の4年間で、日本の梅毒陽性者が44.8%も増加していることが、国立感染症研究所の感染症発生動向調査で明らかとなりました。(報道は10月6日のキャリアブレイン)

 同研究所によりますと、2003年から2007年の梅毒患者の年別報告数は、それぞれ509人、535人、543人、637人、737人となっています。特に2006年、2007年は、それぞれおよそ100人も前年を上回っています。

 感染経路は、2004年から2007年に報告された2,452例のうち、81.3%に相当する1,993例が性的接触によるもので、その他には母子感染31例、輸血による感染8例となっています。

 母子感染による先天梅毒の小児患者報告数は、1999年以降、2006年の10例が最多でしたが、今年は8月27日時点ですでに7例の報告があり、同研究所は「増加が懸念される」と述べています。

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 「母子感染が増えている」という事実に驚かされます。梅毒は通常「妊婦健診」でチェックしますから、妊婦健診が終わってから新たに感染しているのでしょうか。

 また、この報告で気になるのは、梅毒が増えているのは間違いないとしても(すてらめいとクリニックで見つかることも珍しくありません)、1年間の総数が1,000人以下というのは少なすぎるということです。

 HIV感染が新たに判った人が、昨年(2007年)1年間で1,500人ですから、梅毒陽性者がその半分というのは事実を反映していないように思えます。なぜなら、日々の診察では梅毒の方がHIVよりも多く見つかりますし、感染力も梅毒の方が圧倒的に強いからです(梅毒はコンドームをしていても完全には防ぎきれません!)

 ということは、自覚症状が出ないがために感染に気づいていない梅毒陽性の人がかなり大勢いることが予想されます。

(谷口恭)

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2008年10月14日(火) 未成年の3割はタバコ千円でも「吸う」

 未成年の3割はタバコが1箱1,000円になっても「吸う」と回答・・・

 これは、厚生労働省研究班が2007年12月から2008年2月にかけて、全国の中学校130校、高校109校の合計約9万人を対象におこなった調査結果です。(報道は10月9日の毎日新聞)

 タバコ価格と喫煙の調査結果を詳しくみてみると、1箱600円で「やめる」と答えたのは25%にとどまり、1,000円で「やめる」が42%、「吸い続ける」は29%です。

 別の研究班の調査では、成人の喫煙者の過半数が禁煙を決断する価格の平均は、ニコチン依存が低いグループで1箱467円、依存が高いグループでも706円であり、中高生よりも「安い」という結果がでています。

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 私は元喫煙者ですが、私の経験から言えば、「タバコは若いときにやめる方が絶対にやめやすい!」です。

 ニコチンは長期間依存すればするほどやめにくくなります。私は今でもときどきタバコが無性に吸いたくなることがありますが、このような衝動は若い頃に禁煙を試みたときにはそれほど強くありませんでした。「なぜ、あのときタバコを再び吸いだしてしまったんだろう・・・」と今では強く後悔しています。

 これは医師としてというよりも、ひとりの元喫煙者からのメッセージだと思ってください。

 タバコは吸えば吸うほど止めにくくなります。若い方は「禁煙の最大のチャンスは今」ということをお忘れなく!

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年10月17日(金) カテキンで大腸ポリープ再発予防

 緑茶成分のカテキンを含む錠剤を飲み続けると大腸ポリープの再発が抑えられる・・・

 これは、岐阜大学医学部の研究者らがおこなった調査結果です。(報道は10月14日の共同通信)

 この調査は、岐阜大学附属病院など岐阜県内の4つの病院で、大腸ポリープを内視鏡で切除した125人のうち、60人に緑茶錠剤3錠(緑茶6杯分)を毎日飲んでもらい、飲まないグループの65人と、1年後に大腸を内視鏡で検査して、ポリープ再発率を調べることによっておこなわれています。

 ポリープ再発率は、緑茶錠剤を飲まなかったグループで31%だったのに対し、錠剤を飲み続けたグループでは15%と低い数字となっています。また、再発したポリープのサイズも、錠剤を飲んだグループでは小さい傾向にあったそうです。

 さらに、緑茶錠剤を飲んでいても、1日に緑茶を飲む量が3杯以下の少ない人では再発率が60%と高い数字がでています。

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 これらをまとめると、「毎日飲む緑茶の量が多ければ多いほど、ポリープの再発が抑制される」ということになります。

 私は、「サプリメントには安易に頼るべきでない」という考えをもっていますが、この調査は、埼玉県農林総合研究センターが製造している「緑茶サプリメント」が使われています。今後さらなる調査結果に期待したいところです。

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年10月17日(金) 心の健康対策、中小企業は不充分

 従業員の心の健康対策に取り組む企業は33%で、5年前より10ポイント増加。1,000人以上の大企業では90%以上にのぼるが、中小企業では対策に遅れ・・・

 これは、10月10日に発表された厚生労働省の調査結果です。(報道は10月14日の共同通信)

 これは同省が実施している5年に一度の調査で、昨年(2007年)末に、14,000社の企業と、18,000人の労働者が対象となっています。

 健康対策を実施している企業を規模別にみてみると、5,000人以上で100%、1,000人以上5,000人未満で95%と高い数字を示していますが、50人以上100人未満で45%、30人以上50人未満で36%、10人以上30人未満は29%と、規模が小さくなるほど低い結果となっています。

 取り組み内容については、「相談対応の体制整備」59%、「労働者への教育研修・情報提供」49%、「管理監督者(管理職)への教育研修・情報提供」34%など(複数回答)となっています。

 また、「仕事に関して強い不安、悩み、ストレスがある」と答えた労働者は58%と前回より微減しています。前回との比較で増加が目立った項目(複数回答)は、「職場の人間関係」38%(3ポイント増)、「仕事の質」34%(4ポイント増)、「昇進、昇給」21%(7ポイント増)などとなっています。

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 日本の労働者が訴える「心の不調」の最たる理由は「長時間労働」と言われています。今回の結果を受けて、厚労省も「心の健康対策とともに、健康を害する原因となる長時間労働の削減を企業に呼び掛けたい」としています。

 ただ、そう言っている厚労省の役人も長時間労働をしているでしょうし、これを書いている私も週の労働時間は80時間を越えています・・・

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年10月18日(土) アフリカで新たな感染症

 南アフリカとザンビアで、未知のウイルスが引き起こす新たな感染症が発生し、すでに3人が死亡していることがWHO(世界保健期間)の調査で明らかとなりました。(報道は10月17日の読売新聞)

 WHOによりますと、病原体はウイルスで、出血熱などを引き起こすアレナウイルスの仲間の可能性が高いようです。

 これまでの調査で分かっていることは、まず、ザンビアのサファリツアー従業員が9月中旬に死亡、その死亡した従業員の看護にあたった南アフリカの医療従事者2人が死亡、さらに1人が入院しています。

 症状は、初期に発熱や頭痛、下痢などが見られ、悪化すると数日後に肝機能異常を引き起こして死亡、という経過をたどるようです。

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 1人目の症例が9月に発覚したばかりで、症状は発熱・頭痛・下痢・肝機能異常など、感染症ではありがちなものばかりなのにもかかわらず、病原体の特定がほぼ完了しつつあるということに驚かされます。

 しかしながら、おそらく有効な治療法が確立されるまでにはかなりの期間が必要になるものと思われます。それまでにこのウイルス感染症が急速に拡がらないことを願うばかりです・・・

(谷口恭)

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