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2015年10月30日 金曜日
2015年10月31日 花粉症があればガンになりにくい?
花粉症のある人には「朗報」と呼べるかもしれません。花粉症があれば全死因の死亡率及びガンによる死亡率が低くなるという研究が発表されました。
医学誌『Clinical & Experimental Allergy』2015年9月14日号(オンライン版)に掲載された論文(注1)の概要を紹介したいと思います。これは日本の研究です。
研究の対象者は群馬県の2つの地域に住む40~69歳の人たちで、調査は1993年から開始されています。2000年の時点で、対象者8,796人のうち12%に相当する1,088人が12ヶ月以内に花粉症の症状があったと答えています。
この論文には「対象者は76,186人年フォローされている」とあります。統計学に馴染みのない人には「人年」(英語ではperson-yearsといいます)という表現がわかりにくいと思うので補足しておきます。この研究の対象者は2,000年の時点で8,796人とされています。実際には途中で連絡がつかなくなった人もいるでしょうし死亡している人もいますが、仮に全員が生存しており調査から外れていないとしたときに76,186人年だったとすると、追跡期間は76,186人年÷8,796人=8.66年となります。実際には死亡者や連絡不明の人がいますから、8.66年より長く追跡しているはずです。
話を戻します。この期間中に合計748人が死亡しています。(内訳は、外因性37人、心血管系疾患208人、呼吸器系疾患74人、悪性腫瘍329人です) 花粉症があるかないかでこれらを分析したところ、花粉症があれば全死因死亡が0.57倍と有意に低くなり、ガン(悪性腫瘍)に関していえば、なんと0.48倍に低下していたそうです。
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現在花粉症の根本的な治療はスギ花粉に関しては「舌下免疫療法」が普及してきています。この研究を中心に考えるなら、ガン予防のためにそういった治療を受けない方がいいのでしょうか。もちろんそのような判断は時期尚早であり、この研究を過信しすぎるのはよくありません。ガンの予防は”正当な”方法をとるべきです。
とはいえ、基礎医学的には大変興味深い研究です。今後もアレルギーの有無と各疾患や死亡率との因果関係の研究に注目したいと思います。
注1:この論文のタイトルは「Pollinosis and all-cause mortality among middle-aged and elderly Japanese: a population-based cohort study」で、下記URLで概要を読むことができます。
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|2015年10月30日 金曜日
2015年10月30日 睡眠不足で風邪のリスクが4倍以上に
毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝るようにしましょう・・・
これは私が多くの患者さんに伝えているメッセージです。(聞き飽きたという人も少なくないはずです・・・) この「習慣」は非常に大切で多くの疾患を予防することができます。長期で続けると生活習慣病の予防になりますし、ほんの1~2ヶ月実施しただけで片頭痛が大きく改善したり、うつ病がよくなったり、ということは決して珍しくはありません。適切な睡眠時間を確保し、可能な限り起床時間と就寝時間を同じにすることが大切なのです。
今回お伝えしたいのは、睡眠不足が風邪のリスクになる、ということです。これだけを聞けば、経験的にもそうだろうなぁ~、という気がしますが、今回紹介したい研究の結論は、なんとそのリスクが4倍以上にもなるというものです。
医学誌『Sleep』2015年9月号(オンライン版)に掲載された論文(注1)の概要を紹介したいと思います。この研究の被験者は、米国ピッツバーグ在住の健康な男女164人(18~55歳)です。この研究に驚かされるのは、ライノウイルスという鼻風邪の病原体を被験者の鼻に注入していることです。わざと感染させるのは人道的にどうなのかな、という気がしないでもないですが、ここは話を進めましょう。
被験者はライノウイルスを鼻腔に注入された後5日間ホテルに隔離され、風邪症状の有無が調べられました。その結果、睡眠時間が7時間以上の人に比べると、5~6時間の人は風邪をひくリスクが4.2倍に、5時間未満の人は4.5倍にもなったのです。
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この研究が興味深いのは、単に睡眠時間でグループ分けして、どの睡眠時間のグループが風邪をひきやすいかを調べたわけではないからです。ライノウイルスを実際に注入したということは被験者全員に同じ条件を与えています。そしてホテルに隔離していますから、他から感染する可能性が極めて低くなっているのです。ですから、この研究は科学的な確証度はかなり高いといえます。
それにしても4倍以上というのは驚かされます。これからの風邪の予防は「うがい・手洗い」ではなく、「うがい・手洗い・睡眠を」というキャッチフレーズにするのはどうでしょうか。
注1;この論文のタイトルは「Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://www.journalsleep.org/ViewAbstract.aspx?pid=30153
参考:メディカルエッセイ第128回(2013年9月)「同じ時間に起きて同じ時間に寝るということ」
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|2015年10月26日 月曜日
2015年10月26日 女性の飲酒は結局のところ・・・
いったい飲酒は身体にいいのか悪いのか、男女差はあるのかどうか・・・。世界中でいろんな人がいろんなことを言いますから、何が正しいのか分からなくて混乱している人も多いのではないでしょうか。
今回はまるで反対のことを言っている2つの研究を紹介したいと思います。1つめの研究は「女性は少量の飲酒でも乳がんのリスクが上がる」とするものです。
医学誌『British Medical Journal』2015年8月18日号(オンライン版)(注1)に掲載された研究によりますと、女性は1日に350mLの缶ビール1本程度の飲酒でも(主に)乳ガンのリスクが飲まない人に比べて13%上昇することが判ったそうです。この研究は、米国の医療者男性47,881人、女性88,084人が対象とされています。ちなみに男性は(喫煙していなければ)缶ビールであれば2本程度までなら特に発がんリスクは上昇しないそうです。
もうひとつの研究は、日本人の研究者によるもので、「日本人女性は飲酒により糖尿病が予防できる」という結論が導かれています。医学誌『Journal of Diabetes Care』015年8月12日号(オンライン版)(注2)に掲載されています。
この研究の対象者は35~60歳の日本人女性18,352人です。対象者を「まったく飲まないグループ」、「ときどき飲むグループ」、「毎日少し飲むグループ」(ビール中瓶1本程度)、「毎日たくさん飲むグループ」(ビール中瓶1本以上)の4つのグループに分けて検討されています。
その結果、「ときどき飲むグループ」では「まったく飲まないグループ」に比べ糖尿病を発症するリスクが0.82と低く、さらに興味深いことに、「毎日少し飲むグループ」で0.61、「毎日たくさん飲むグループ」でも0.66と、毎日飲酒をすることが糖尿病の予防につながるという結果がでています。
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では結局のところ、日本人の女性はお酒をどうすればいいのでしょうか。結論をいえば「かかりつけ医と相談しましょう」となります。ここに紹介した貴重な研究を無視するのはよくありませんし、逆にそればかりに目が行き盲目的になるのもよくありません。その人の糖尿病の他のリスクはどうなのか、乳ガンのリスクは高いのか、あるいは他の飲酒が原因とされている疾患についてはどうなのか・・・、そういったことを総合的に考えてかかりつけ医と相談するのが最善です。
注1:この論文のタイトルは「Light to moderate intake of alcohol, drinking patterns, and risk of cancer: results from two prospective US cohort studies」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://www.bmj.com/content/351/bmj.h4238
注2:この論文のタイトルは「Association between Alcohol Consumption and Glycemic Status in Middle-Aged Women」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://www.canadianjournalofdiabetes.com/article/S1499-2671%2815%2900489-X/abstract
参考:医療ニュース
2013年10月4日「女性も多量飲酒で脳卒中のリスクが増加」
2011年10月26日「女性は中年期の適量の飲酒で高齢期が健康に」
2010年4月8日「適度な飲酒は女性の体重増加を抑制」
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|2015年10月20日 火曜日
第153回(2015年10月) iPS細胞の未来
今年(2015年)のノーベル賞は日本人が二人も受賞したこともあり大きく取り上げられました。ニュートリノが質量を持つことを発見した東大の梶田隆章博士の功績は科学史を書き換えるほどのものですし、イベルメクチンという寄生虫の薬を開発しノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智は、我々医師からみると、世界で初めて抗菌薬を発見・開発したフレミングに匹敵するくらいの偉大な科学者です。
ノーベル生理学・医学賞といえば2012年には京都大学の山中伸弥先生がiPS細胞の発見で受賞されました。3年前のこの時期、日本中はiPS細胞フィーバーで盛り上がりました。山中先生は私の母校である大阪市立大学医学部で講師をされていた時期もありましたから(私も医学部3年生のときに講義を受けていました)、私の周りではしばらく山中先生とiPS細胞の話が耐えませんでした。
今回お話したいのは、タイトルのとおり「iPS細胞の未来」ですが、その前に、大村先生のイベルメクチンと山中先生のiPS細胞では、同じノーベル生理学・医学賞を受賞された偉大な功績であっても方向性がまったく異なる、ということを確認したいと思います。
大村先生が開発したイベルメクチンという薬は、世界中の寄生虫疾患で苦しむ大勢の人を救っています。現在では年間に3億人もの人がイベルメクチンを服用しており、それまでは有用な治療がなかったフィラリア症やオンコセルカ症が治癒する病気になりました。こういった感染症はアフリカで多く日本人にはあまりなじみがありませんが、イベルメクチンは疥癬というやっかいな感染症にもよく効き、これは日本でもおこりうる感染症です(これについては「はやりの病気2015年10月号」で取り上げています)。これほど有用な薬を開発した大村先生がノーベル賞を受賞されるのは当然ですし、これからも世界の多くの人々がイベルメクチンで命を救われることになります。
一方、山中先生のiPS細胞は”現時点では”多くの人を救っていません。しかし、これからの展開を考えると、iPS細胞はとてつもない可能性を持っています。イベルメクチンで命が助かった人数の何倍、何十倍もの人を救うことができるかもしれません。また、誤った方向に開発されたとすると、(私はキリスト教徒ではありませんが)神を冒涜するような結果となるかもしれません。
具体的に説明しましょう。iPS細胞とはどんな細胞か。一言でいえば、どんな細胞にもなれる細胞です。つまり、自分のiPS細胞があれば、それを筋肉細胞にすることも、神経細胞にすることも、皮膚の細胞にすることも可能なのです。これがどれだけ素晴らしい、またある意味では”恐ろしい”ことか分かりますでしょうか。
加齢黄斑変性症という放っておくと失明することもある目の病気があります。この病気、高齢化と共に患者数が急増しており、現在日本には約70万人の患者がいると考えられています。治療法はないわけではありませんが、何をしても失明が避けられないということもあります。しかし現在この疾患に悩む人には「希望」があります。iPS細胞を応用した治療が開始されだしたからです。
現時点では研究レベルの治療ですが、2014年9月、世界初のiPS細胞から作った網膜細胞を加齢黄斑変性の患者さんに移植する手術がおこなわれました。この手術を一言でいえば「患者さん自身の皮膚の細胞などからiPS細胞をつくり、そのiPS細胞を網膜細胞に分化させ、その細胞をダメになった古い網膜と取り替える」というものです。私が聞いたところによると、この手術を受けた患者さんは術後1年が経過した現在、経過は非常に良好だそうです。
現段階では実際に患者さんに移植手術をした疾患は加齢黄斑変性症だけです。しかしいくつかの疾患ではかなり研究が進んでおり、実用化が見えてきています。しかもそれら研究中の疾患は、これまでは有効な治療法がなかったものです。
パーキンソン病という脳内の神経がやられる細胞があります。パーキンソン病の薬はありますが、ずっと飲み続けなければなりませんし、その薬の副作用もあります。iPS細胞を用いて正常な神経細胞を作り直すことができれば完全に治すことも夢ではありません。そして実際にiPS細胞を用いたパーキンソン病の治療の研究はかなり進んできています。ただ、網膜とは異なり、脳全体を交換するわけにはいきませんから、脳内にiPS細胞由来の正常な神経細胞をどのように定着させるかが、おそらく課題になるであろうと思われます。
パーキンソン病を含む神経内科の疾患というのは大変興味深いのですが、今ひとつ医学生から人気がなく神経内科専門医を目指すという研修医はそれほど多くありません。その最大の理由は「有効な治療法がない」からではないかと私には思えます。純粋な学問としては神経内科の疾患というのは非常に興味深いのです。しかし疾患の多くはいくらか進行を食い止めることができたとしてもやがて進行していきます。
そんな難治性の代表性疾患がALS(筋萎縮性側索硬化症)です。病名に馴染みがないという人も宇宙物理学者のホーキング博士の病気と言われれば分かるのではないでしょうか。あるいは(現在40代以上の人であれば)「クイズダービー」の篠沢教授の病気を思い出されるかもしれません。パーキンソン病の場合は、まだ症状を緩和させる薬がありますが、ALSについてはほとんど何もありません。実際の治療にはまだ相当の時間がかかるでしょうが、iPS細胞を用いた治療の研究がすでに開始され注目されています。
病気というよりは怪我ですが、交通事故やスポーツ外傷などで脊髄が損傷し車椅子の生活を強いられることがあります。「脊髄損傷」通称「せきそん」は若い人が苦しむことが多く何十年も車椅子、あるいは寝たきりの生活になります。本人の精神状態はかなり苦しくなることもあり家族のケアも大変です。もしも脊髄の神経細胞が再生できたら・・・、というのはこの病気に携わる医療者の長年の夢でしたが、iPS細胞を用いれば完全治癒も期待できるのです。
「夢の若返り」と聞いてSTAP細胞で世間を騒がせた小保方晴子氏のことを思い出す人もいるのではないでしょうか。私も小保方氏の記者会見をテレビで見た時にこの言葉を聞いた記憶があります。その後のSTAP細胞を巡る流れのなかで、この言葉もいつの間にか世間から忘れ去られていますが、iPS細胞を用いれば「若返り」は可能です。しかも、先に述べた神経内科の病気や脊髄損傷の治療よりもおそらくずっと簡単です。
治療希望者の血液や皮膚の一部を使ってiPS細胞をつくり、それを皮膚に分化させ、加齢でしわとしみだらけになった皮膚を交換することができますし、AGA(男性型脱毛症)で禿げ上がった頭皮を10代の頃のようなフサフサの状態にすることもできます。どこまで実用化に近づいているかはわかりませんが、やろうと思えばそうむつかしくはないと思います。
若返りは美容だけではありません。心臓は休みなく働き続けやがて動かなくなります。どのような心臓も永遠に拍動することはありません。しかし古くなった時点でiPS細胞から新しい心臓がつくれるとすればどうでしょう。また、脳細胞が古くなり認知症の可能性がでてくれば、iPS細胞からつくった新しい脳細胞を注入できるとすればどうでしょう。心臓と脳を定期的に入れ替えることができるとすれば、永遠に死なない身体を手に入れることも可能ということになります。筋肉も皮膚も必要に応じて新しくしていくことはそうむつかしくはないはずです。あるいは、完全なクローン人間をつくることも理論的には不可能ではありません。
私が主張したい問題はここからです。現在iPS細胞については京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が特許を取得しています。しかし、ライセンスを取得すれば研究をおこなうことができますし、ライセンスを取得している企業からiPS細胞を購入することも可能です。そもそも、特許があるからといってiPS細胞を用いた治療がすべて日本の企業主導となると考えるのは甘すぎます。
iPS細胞をつくろうと思えば、人の血液や皮膚の一部に「山中ファクター」と呼ばれる物質を振りかければそれでできてしまうのです。それからどのような細胞に分化させたいかによって手順が変わり、必要な薬剤もかわるわけですが、原理自体は、もはやそれほどむつかしいものではないのです。
これまで治療法がなかった疾患のみならず、美容や、不死身の身体、さらにクローン人間までつくることができる可能性があるとすると、これを放っておかない人間は世界中に存在します。そしてこのようなことを考える人間は善人ばかりではありません。例えばCiRAの研究員をカネやイロで懐柔しようとする者もでてくるかもしれません。これ以上は小説や映画の世界のような話になりますが、私はiPS細胞が悪用される可能性を否定できないと考えています。
そして最後に、現在日本がお金をつぎこむべき分野がiPS細胞であることを行政がどれだけ理解しているかが疑問であるということを指摘しておきたいと思います。iPS細胞の研究には莫大なお金がかかります。「一億総活躍」する必要はありませんが、iPS細胞に関心のある若い人たちに研究の場と予算を割り当てられるように国を挙げて取り組んでいく必要があるのではないか、それがiPS細胞に対する私の考えです。
参考:マンスリーレポート2012年10月号「山中先生から学んだこととこれからも学びたいこと」
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|2015年10月20日 火曜日
第146回(2015年10月) 疥癬(かいせん)と大村先生のノーベル賞
今年(2015年)のノーベル医学・生理学賞に北里大学特別栄誉教授の大村智先生が選ばれました。大村智先生はこれまではあまりマスコミで報道されることはなかったかと思いますが、我々医師や生物学者の間では知らない者はいないといっていい偉大な先生です。
ノーベル賞を受賞されてから各マスコミが大きく取り上げましたからおよその活躍は一気に日本全国に知れ渡ったと思います。どのマスコミも書いている内容は同じようなもので、伊東市のゴルフ場から採取した土に生息していた細菌(放線菌)から寄生虫の特効薬を開発され、それがいくつかの寄生虫疾患に有効で、特にオンコセルカ症という失明につながる感染症を防いだことがノーベル賞に値する、これまでこの薬(イベルメクチン)で助かった人は10億人にも上る・・・、とこんな感じだと思います。
たしかに、世界に発信する記事であればこれでいいと思うのですが、日本人が日本人向けに書く記事であれば、「日本では、イベルメクチンのおかげで疥癬(かいせん)の治療が大きく進展した」という内容のものが必要です。私の知る限り、大村先生のノーベル賞受賞後の一連の報道で疥癬に触れたものはありません。というわけで、イベルメクチンが疥癬に対してどれだけ優れた薬かということを今回は紹介したいと思います。
以前「ダニ」をまとめたコラム(注1)で紹介しましたが、疥癬はヒゼンダニというダニが原因です。ダニが来す感染症としては、ライム病や日本紅斑熱、あるいはここ数年で報告が増えたSFTSなどが有名でこれらは「マダニ」が原因です。これらは「ダニが病原体を媒介する感染症」なのに対し、疥癬は「ダニそのものが感染症」です。
またイエダニやシラミダニであれば刺されて痒みがでますが「それで終わり」です。痒みはかなり強いですが、ステロイド外用薬を数日間使えば治ります。したがって、これらは感染症ではなく単なる「虫刺され」です。一方、ヒゼンダニの場合は、ダニそのものが人の皮膚の下に潜り、そこに卵を産み付けます。卵が孵化して成虫になるとまた新たに卵を産むことになり、人の皮膚の下で世代交代を繰り返すことになります。つまりヒゼンダニの場合は虫刺されではなく「感染症」になります。
もっとも、ダニが皮膚の下で動き出すと強烈な痒みがでますから、「世代交代」をさせる前に患者さんは医療機関を受診することになり、体内に生息するダニを完全に退治する、つまり治療をおこなうことになります。
では体内に侵入したダニを駆除しましよう、ということになるのですが、これがむつかしいのです。正確に言えば、「大村先生が開発したイベルメクチンが登場するまではむつかしかった」となります。
疥癬というのは老人ホームや老人が多い病院で集団発生します。見舞いに来た家族や医療者に感染することもあります。こういった人たち(見舞いの家族や医療者)が自宅に帰り、自宅で家族に感染させることもあります。疥癬はタオルの共用などでもうつる可能性がありますし、性感染症のひとつでもあります(注2)。
ここでどのような場合に疥癬を疑うべきか、について述べたいと思います。疥癬が湿疹と異なるのは、まず夜間に激烈な痒みが起こるということです。ほとんどの湿疹や痒みをきたす疾患では昼よりも夜に痒くなりますが、疥癬の場合はその傾向が一段と顕著なのです。これはヒゼンダニが夜に皮膚の下で動き回るからです。
痒くなる場所は「皮膚の柔らかいところ」です。特に多いのが指と指の間の皮膚の薄いところで、ここに痒みのあるブツブツがある場合はまっさきに疥癬を疑います。また、陰嚢(男性)や外陰部(女性)の場合も疑うことになります。この場合は全体が痒いのではなく、陰嚢(または外陰部)の一部にできた「しこり」のような部分が痒くなっていることが多いと言えます。
診断は、その部分をピンセットで採取し顕微鏡で確定します。成虫や卵が見つかれば診断確定です。ただし、初期の場合はなかなか見つからず、何度も検査をして始めて確定診断がつくということもあります。
従来、日本の医療機関でおこなわれていた治療は、クロタミトンという塗り薬で商品名は「オイラックス」というものです。この薬は一応「効く」とされていますが、我々からみると効いているという実感がそれほどありません。実際、外国のデータで、「痒みをとる効果はなかった」とされているものもあります。
他の治療としては、過去にはイオウの入浴剤を使うという方法がありました。「ありました」と過去形になるのは、現在この入浴剤は販売されていないからです。この入浴剤、商品名は「ムトーハップ」と言いますが、これが販売中止となった理由は、なんとも理解しがたいというか、この製品を一生懸命に作っていた人たちからするとやりきれない思いがあるに違いありません。(この理由は今回の趣旨と関係がないためにこれ以上の言及は避けます(注3))
イオウの入浴剤がどれだけ効いていたかというと、私の経験でいえば「痒みが改善する」という人はたしかにいましたが、劇的に治るわけではなく、また「まったく効果がない」という人もいました。
海外ではγBHCという「農薬」が使われることがあり、日本でも医療機関が輸入すれば使えないことはないのですが、やはり皮膚に農薬を塗布するということに抵抗のある人は少なくなく、また実際に接触皮膚炎(かぶれ)が起こることもあり、なかなか使いにくいものでした。
このように何をやっても治癒させることがむつかしいのが疥癬で、そのうちに他人にうつしてしまってまた広がって・・・、ということがあり、本当に難渋する感染症なのです。しかも重症型(「ノルウェー疥癬」と呼ばれます)もあり、こうなると腎機能が低下し命にかかわることもあります。
しかし、大村先生の開発したイベルメクチンの登場で疥癬の治療がドラスティックに変わりました。2002年、糞線虫(注4)の治療目的でイベルメクチンが保険適用となったのです。しかしこのときの保険適用は糞線虫にだけであり、疥癬に対して使用するには自費診療となり1錠800円近くもしました。ただ、内服量は体重にもよりますが3~4錠を一気に一度飲むだけですから、数千円の出費で済みます(注5)。
いま、「数千円の出費で済む」という表現をとりましたが、これに反発したくなる人もいるでしょう。たしかに「数千円」とだけ聞くと「高すぎる!」と私自身も言いたくなります。しかし、疥癬のあの辛い痒みを考えると、「数千円でかゆみから解放されるなら安いもの」と思えてくるのです。それくらい、疥癬がもたらす眠れないほどの痒みは辛いものなのです。
そして2006年8月、ついにイベルメクチンが保険診療で処方できるようになりました。これで、疥癬の治療が随分と簡単になり、かつてのように難渋することはほとんどなくなりました。以前のように、リスクを抱えてでもγBHCを使うべきだろうか・・・、と悩む必要もなくなったのです。
大村先生の業績はアフリカで最も大きいのは事実ですが、日本の大勢の患者さんも救われているということをここで強調しておきたいと思います。
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注1:下記を参照ください。
はやりの病気第118回(2013年6月)「ダニほど誤解だらけの生物はいない」
注2:私が長年かかわっているタイのエイズホスピス「Wat Phrabhatnamphu(パバナプ寺)」でも疥癬の患者さんは非常に多く痒みで悩まされる人は耐えません。しかし、この施設ではヒト疥癬ではなくイヌ疥癬がほとんどです。イヌ疥癬のダニはヒトを刺しますが、感染はしません。つまりステロイド外用だけで改善します。なぜイヌに接するの?と思われるかもしれませんが、この施設では病棟にいつもイヌがいます。感染予防上よくないのでは?と感じられますが、「郷に入っては郷に従え」なのです。
注3:この理由については下記を参照ください。
医療ニュース2008年12月1日(月)「老舗の入浴剤「ムトーハップ」が製造中止に」
注4:糞線虫は世界的には重要な感染症で熱帯・亜熱帯地方では珍しくありません。一方、日本では九州南部から奄美、沖縄にはありますが、感染者の多くは高齢者であり増加してはいません。糞線虫の治療ももちろん重要ですが、なぜ製薬会社は初めから疥癬に対しても保険適用できるようにしてくれなかったのでしょうか・・・。
注5:保険診療と自費診療を組み合わせることは「混合診療」と呼ばれ禁じられている診療です。入院している患者さんにイベルメクチンを投与したとき、イベルメクチンが自費なのだから入院代も自費になるのではないかという疑問を私は過去にもったことがあります。しかし、本来の入院している疾患とは別のものと考え、疥癬だけを自費診療でおこなうと考えれば混合診療に該当しないと判断されるようです。ただし、疥癬の治療だけを目的として医療機関の外来を受診すれば診察代も含めてすべて自費になるはずです。こういう問題もあり、イベルメクチンが2006年以降疥癬の治療にも保険適用となり我々もほっとしています。
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|2015年10月9日 金曜日
2015年10月 英語の使用に反対する人たち
楽天が英語を社内の公用語にしたのは2010年頃だったでしょうか。当初は「現実的でない」「大事なことが伝わらない」など批判的な声の方が大きかったようですが、最近は英語公用化を評価する意見も増えてきていると聞きます。
その後、ユニクロのファーストリテイリングも英語を社内公用化したと報道されました。そして、2015年6月にはホンダが2020年を目標に社内公用語を英語にすることを発表し話題を呼びました。
私はホンダが英語の社内公用化に踏み切ったことが、日本のビジネス英語普及のターニングポイントになるかもしれないと考えています。楽天やファーストリテイリングというのは若い社員が多く、特に楽天はもともとITレベルの高い社員が集まっているでしょうから英語へのハードルはそれほど高くないでしょう。
しかしホンダはこれら新興企業とは異なります。日本を代表する自動車老舗メーカーのホンダはグループ会社も加えると従業員は20万人を超えます。20万人以上の従業員全員が、TOEICでハイスコアを取るようになり、会議はもちろん、もしも社内食堂での雑談まで英語を使うとなると、これは革命的なことになると思います。
日本で働きたいという外国人は少なくありませんが、ホンダはそのような外国人にとって超人気企業となるはずです。そして優秀な人材が集まるでしょう。海外での営業は英語力に秀でた日本人または外国人がおこないますから、他の日本の自動車メーカーよりもアドバンテージがでてきます。従業員全員が英語をスムーズに使えるとなれば社内伝達も早くなりますから、極めて効率よく世界をターゲットにした戦略がおこなえます。
しかしながら、楽天のときもホンダのときも社内公用語計画が発表されたときには、反対意見が目立ちました。不思議なことに、英語のできない人だけではなく、英語が堪能な知識人のなかにも「欧米の戦略にやられてしまう」とか「日本人が愚民化する」などということを言う人がいます。
はたして英語公用化が日本の経済界に普及したとき、反対派の人たちが言うような日本人にとって不利益なことが起こるのでしょうか。
ここで医療界の話にうつりたいと思います。
2015年8月、医師のコミュニティサイト「m3.com」で「英語で教授回診、カンファレンスを開始した理由」というタイトルで、大阪市立大学附属病院の一部の科では英語で会議がおこなわれていることが報告されました。
大阪市立大学医学部は私の母校であり、実は私が学生の頃からすでに一部の科では会議時に英語が使われており、医学生が会議で発表をおこなうときも英語が義務づけられていました。医学部の学生は、使用している一部の教科書や講師が配布するプリントには英語のものも少なくありませんから、少なくとも英語を読むということについては(苦手意識があるとしても)できないことはありません。というより英語がある程度できなければ医学部の勉強は続けられません。
けれども、会議時に英語で発表となると「自信があります」といえる学生はほとんどおらず最初は抵抗を示します。しかしこれは必ずやらなければならないことで「拒否する」という選択肢はありません・・・。この話の続きは後でおこなうこととして、英語公用化の反対意見についてみていきましょう。
大阪市立大学の報告をした「m3.com」は医師のコミュニティサイトであり、この記事を読んだ医師が自由に意見を書き込んでいます。それらを読んでみると、意外なことに英語での会議に反対する意見が少なくありません。反対するその理由をみてみると「英語ばかりに注意がいくようになり肝心の医学的内容がおろそかになる」「医学の質が英語よりも大事」などと述べられています。
大変興味深いことに、こういった反対意見は楽天やホンダの英語公用化が発表されたときにでてきた意見とそっくりです。楽天やホンダを含めて一般の企業に就職した人のなかには、それまでの人生で英語に接する機会がほとんどなかったという人もいるでしょう。しかし、医師の場合は、医師国家試験は日本語で出題されますが、6年間の勉強を英語の知識が低いまま続けることなど絶対にできません。その医師たちが一般企業の英語反対派の人たちと同じような理由で反対することが私には意外でした。
一般企業の英語公用化に私自身は賛成ですが、反対派の人たちの考えが分からないわけではありません。というのは、英語はまったくできないけれども、仕事がよくできて人望も厚い、人間的に大変尊敬できる人がどこの企業にもいるからです。その逆に、ネイティブスピーカー並みの流暢な英語を話すものの、中身が無くて、仕事ができない、人間的にも問題のある、いわば「英語はできるが日本語ができない」社員というのもおそらく多くの企業でみられます。
仕事ができて英語ができない派からすれば、英語社内公用化のせいで英語ができないと低い評価となるシステムになれば、英語ができて仕事ができない人たちを非難したくなる気持ちは充分に理解できます。
しかし、です。これは私の個人的意見に過ぎないかもしれませんが、英語が現時点でできない人はこれまで英語に接する機会がなかっただけです。もしくは接する機会があったけれどもそれをチャンスと見なすことができなかった、だけです。たとえていえば、生涯を共にすべきパートナーとの出会いのチャンスがあったのに、なぜかそのときは血迷ってしまい別のパートナーを選んでしまって後から後悔するようなものです。
考えてみてください。仕事ができて厚い人望があり人間的に尊敬できる人は努力を惜しみません。そのような人が英語の勉強を真剣にやってできないはずがないのです。逆に流暢な英語は話すものの中身がない人は、初対面の印象こそ悪くないかもしれませんが、その後は相手にされなくなるはずです。
というわけで、私はすべての人に英語の勉強をすすめたいと考えています。さて、一部の人が言うように英語を公用化すれば日本人は愚民化するのでしょうか。ここで再び大阪市立大学医学部の学生の英語での発表についての話に戻します。
私自身は英語は得意ではありませんが、医学部入学前は商社に勤めていて外国人を交えた会議などでは英語を使用しなければなりませんでした。ですから英語での発表と言われてもそれほど抵抗はなく、そのため何人かの同級生は私に助言を求めてきました。そこで私は、彼(女)らにまず発表する内容をすべて英語でつくるように助言し、それを添削しました。そしてできるだけシンプルな英文にして、それを暗唱するように言いました。
私自身も彼(女)らに言われて「なるほど」と思ったことがあります。それは英語で文章をつくる方が論理的に考えることができて、それまであいまいだったことがクリアになったというのです。日本語だけで言葉をつないでいくと曖昧な表現がいくらか含まれます。その曖昧さが日本語の美しさという考えもあるでしょうが、仕事で使う言葉では曖昧さを取り除かなければなりません。
医学の会議や学会では、最近はそれほど大きなものでなくても外国人が発表したり、海外からの留学生が参加したりすることもよくあります。一般企業でも、国内外にかかわらず会議に外国人が参加していることがすでに珍しいことではなくなっているでしょうし、今後も増えていくでしょう。
つまり、すでに世界共通語が英語になってしまっていると認識すべきです。これは医療界のみならず一般企業、一般社会においてもです。日本にやってくる外国人を意味する「インバウンド」という言葉は数年前までまったく聞かれないものでしたが、今や毎日のように新聞紙上で見かけます。そして、今後インバウンドはますます増えていきます。
携帯電話やインターネットがない時代に戻れないのと同様、英語を使うということからもほとんどの人が逃れられないというのが私の考えです(注1)。
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注1:今回のコラムでは英語の勉強法について述べていません。私が最も言いたいことは、上達度に差はあるものの英語は勉強すれば誰でも必ず上達する、ということです。効果的な勉強法については過去にコラムを書きましたので、興味のある方は下記を参照ください。
マンスリーレポート
2011年10月号「私の英語勉強法 その1」
2011年11月号「私の英語勉強法 その2」
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|2015年10月6日 火曜日
2015年10月6日 「酒さ」の原因は生活習慣と遺伝
医療者にとっては「よくある疾患(common disease)」と認識されているけれども、一般の人にはあまり知られていない病というのがいくつかあります。
酒さはそのひとつで、これを正しく読めない人もいるのではないでしょうか。酒さは「しゅさ」と読みます。英語はrosaceaで、無理矢理カタカナにすると「ロゼイシア」となります。
我々医療者が不思議に感じるのは、酒さを患っている患者さんは決して少なくないのに、なぜかマスコミなどであまり取り上げられず知名度が低いということです。
酒さとは一言で言えば「顔面に生じる慢性の炎症性疾患」です。単に赤くなるだけのこともあれば、一見ニキビのような小さな腫瘤ができることもありますし、重症化すれば鼻が変形することもあります。
原因については「不明」と言われることが多いのですが、おそらくそのことが原因ではないか、あるいは少なくともそれが悪化因子になっているだろう、という印象を受けるものはいくつかあります。
最も多いのがステロイド使用です。長期間ステロイド外用薬を顔面に塗布すると酒さが生じることがあるのです。ただし、ステロイドのせいで「酒さの様になった状態」は「酒さ様皮膚炎」と呼び、酒さと区別することもあります。興味深いことに、ステロイドによる酒さ(酒さ様皮膚炎)はステロイド外用を使用しているときだけでなく、中止した後に生じることもあります。そして治療に難渋します。また、ステロイドは外用だけでなく、過去に内服や注射をしていたことで酒さ(酒さ様皮膚炎)が生じることもあります。
ステロイドの使用以外の酒さの原因はいろいろあるだろうと考えられますが、実態はよく分かっていません。また遺伝的な要因もあるのではと考えられていますが、これまできちんとしたデータがありませんでした。
酒さの原因の46%は遺伝である・・・
このような研究発表がおこなわれ、医学誌『JAMA Dermatology』2015年8月26日号(オンライン版)に掲載されました(注1)。
酒さをきたす遺伝子が特定できたわけではありませんが、この研究では対象者を双子としているために信憑性は高いと言えます。対象者の双子は米国在住18~80歳の合計275組で、一卵性双生児が233組、二卵性が42組です。
研究の結果、酒さのリスクの46%に遺伝が関与していることがわかりました。遺伝以外のリスクとしては、生涯の紫外線曝露、加齢、肥満、喫煙、飲酒、心疾患、皮膚がんがあることがわかったそうです。
*************
現在の医療技術では遺伝子を変えることはできません。つまり46%の要因はどうにもならないわけです。しかし残りの54%は努力次第でリスクの減少を図ることはできます。たとえば、若いうちから紫外線対策をおこない、太らないように気をつけ、禁煙し、深酒をしない、といったことで酒さのリスクの半分を下げることができるわけです。
そして、これはおそらく酒さの診断がついた後も、こういったリスクの低減に努めることにより、完全治癒には至らなくとも改善させることが期待できると考えるべきです。
酒さは治療に時間がかかることもあり、諦めてしまっている人やドクターショッピングを繰り返している人が少なくありません。しかし、治療が功を奏し、「完治」にまでは至らなくてもかなり「いい状態」を維持できる人も多いのも事実です。様々な治療法がありますから、決して諦めるべきでない疾患です。
参考:トップページ「ニキビ・酒さ(しゅさ)を治そう」
注1:この論文のタイトルは「Genetic vs Environmental Factors That Correlate With RosaceaA Cohort-Based Survey of Twins」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://archderm.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2429555&resultClick=3
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