医療ニュース
2013年7月14日 日曜日
2010年10月27日(水) 悪玉コレステロールを巡る混乱
日本脂質栄養学会が発表した「悪玉コレステロールが高い方が長生きする」というガイドラインに対し、J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)というNPO法人が見解を発表したということを先日述べました。(詳細は下記医療ニュース参照)
今度は、日本医師会と日本医学会の両会長が、10月20日、日本医師会館で行われた会見で、「(悪玉コレステロールが高い方が長生きするなどといった考えには)科学的根拠なく、必要な患者の治療を否定するような同ガイドラインを断じて容認することはできない」、と日本脂質栄養学会の見解に反対の表明をおこないました。
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今回の日本医師会と日本医学会の両会長が発表した日本脂質栄養学会のガイドラインに対する反対の表明は、日本動脈硬化学会の見解を支持するものです。
これまでの経緯をまとめると、日本脂質栄養学会が「悪玉コレステロールが高い方が長生き」と発表、日本動脈硬化学会がそれに真っ向から反対、日本医師会と日本医学会が日本動脈硬化学会を支持、J-CLEARが日本脂質栄養学会と日本動脈硬化学会のそれぞれの意見をまとめて見解を発表、ということになります。
ますます臨床の現場では混乱が大きくなりそうです。尚、「悪玉コレステロール」というのはLDLコレステロールのことです。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年10月7日「コレステロール基準についてNPOが見解発表」
2010年9月6日 「やはり悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」
2010年7月14日 「悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年10月27日(水) 3つのワクチンの無料化は完全でない可能性
先日、HPVワクチン、Hib(インフルエンザ桿菌b型)ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの3つのワクチンが原則無料で接種できるようになることを政府が決定したとお伝えしました。(下記医療ニュース参照)
この情報の元は10月13日の読売新聞(オンライン版)で、元の文章は下記のとおりです。
政府は8日、若い女性が発症する子宮頸(けい)がんや乳幼児の細菌性髄膜炎などを予防できる3種類のワクチンについて、希望者が原則無料で接種できるよう公費補助を行う方針を固めた。年内にも無料接種を開始する考えで、2010年度補正予算案に関連経費を盛り込む。費用は約2000億円と見込まれ、国と地方で折半する方向で調整する。無料とするのは、子宮頸がん、インフルエンザ菌b型(Hib=ヒブ)、小児用肺炎球菌の各ワクチン。
しかし、どうも誰もが無料でワクチン接種できるようではないようです。
10月26日の共同通信は下記のように報じています。
厚生労働省は26日、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)、乳幼児の細菌性髄膜炎の原因となるインフルエンザ菌b型(Hib)と小児用肺炎球菌の3種類のワクチンについて、市区町村が接種を受ける人に費用を助成する場合、助成額の半分を国から出す事業として、2010年度補正予算案に1085億円を盛り込んだと明らかにした。接種を受ける人の負担額をいくらにするかは、各自治体が決定する。
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10月13日の読売新聞では「年内にも無料接種を開始する考え」となっていますが、26日の共同通信では、「接種を受ける人の負担額をいくらにするかは・・・」とされています。
26日の報道が正しいとすると、自治体によっては無料で受けられない場合もあるということになります。しかし、それぞれの自治体が「接種者負担は無料」という方針を決定してくれれば解決することですから、無料接種の地域が増えれば加速度的に無料の自治体が増えるのではないかと思われます。(楽観的すぎるでしょうか・・・)
(谷口恭)
参考:
医療ニュース2010年10月15日 「Hib、肺炎球菌、HPVワクチンの無料化決定!」
メディカル・エッセイ第90回 「理想のワクチン政策とは・・・」
メディカル・エッセイ第89回 「日本は「ワクチン後進国」の汚名を返上できるか」
はやりの病気第77回(2010年1月) 「子宮頚ガンのワクチンはどこまで普及するか」
はやりの病気第76回(2009年12月) 「インフルエンザ菌とそのワクチン」
ginaコラム 「子宮頚ガンとHPVワクチン」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月1日(月) ミラクルミネラルソリューションに注意
ミラクルミネラルソリューションというサプリメントをご存知でしょうか。このサプリメントの健康被害が相次いで報告されたことを受け、10月26日、厚生労働省はホームページで注意喚起をおこないました。
ミラクルミネラルソリューションは、ミラクルミネラルサプリメントあるいはMMSなどと呼ばれることもあるそうです。この商品の正体は、米国のジム・ハンブル氏により開発された亜塩素酸ナトリウム28%を蒸留水に溶かした水浄化溶液のようです。クエン酸など酸性のものと一緒に摂取し二酸化炭素を生成させることで、免疫力が高まるとされています。
HIVや肝炎、インフルエンザウイルス、風邪、結核、にきび、ガンなどへの効果が謳われており、さらに体内デトックスの効果もあるとされています。日本国内でも購入者が少なくないそうです。
ところが実際には、謳われている効果が期待できないどころか、副作用が相次いで大変な問題となっているようです。嘔気嘔吐や下痢、腹痛、脱水症状、血圧低下のほか、腎機能障害や血小板細胞傷害など重篤なものの報告もあるそうです。
今年(2010年)になってから、FDA(米国食品医薬品局)、カナダ保健省、FSA(英国食品規準局)、ニュージーランド保健省は、ミラクルミネラルソリューション摂取中止と速やかな医療機関の受診を呼び掛けています。
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厚生労働省の注意喚起は、下記のURLで参照できます。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1.html
ミラクルミネラルソリューション、このネーミングからしてなにやら怪しげな雰囲気が漂ってきますが、HIVやガンなどを患っている人は、わらにもすがる思いで購入されたのかもしれません。
当院には、まだこのサプリメントによる被害者は受診されていませんが、世界中で販売されているということは日本国内にも使用者は少なくないのかもしれません。少しでも気になる症状のある人は早めに医療機関を受診されるべきでしょう。
(谷口恭)
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月4日(木) 運動をすれば風邪をひきにくい
よく運動する人は風邪(上気道炎)をひきにくくなる・・・
これは、医学誌『British Journal of Sports Medicine 』2010年11月2日号に掲載された論文(注)で報告されている知見です。
この研究は、18~85歳の男女1,002人(男性40%、女性60%)を対象とし、運動の程度と風邪の関係を調べています。調査期間は12週間です。
その結果、週5日以上の有酸素運動を行っていた人では、12週の間に風邪に罹患した日数が、ほとんど運動しない人に比べ43%も少ないことがわかりました。また、運動に対する自己評価が高い人は、低い人に比べ46%風邪をひいた日数が少ないこともわかりました。
さらにこれらの人(週5日以上運動をしている人や運動に対する自己評価が高い人)は、風邪の重症度も、そうでない人に比べて32~41%と大幅に低下していることが分かりました。
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運動をするから自然免疫力が高まるのか、日頃から運動をしている人は健康に関心が高く手洗いやうがいをしっかりやっているから風邪をひきにくいのかは分かりませんが(おそらく両方でしょう)、運動には利点ばかりで害は一切ないと言ってもいいでしょう。
「また運動の話しですか~」と最近は診察室で言われることが増えてきましたが、私は多くの患者さんに繰り返し運動の効能を話しています。運動とは副作用のない薬のようなものだと私は考えています。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは「Upper respiratory tract infection is reduced in physically fit and active
adults」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://bjsm.bmj.com/content/early/2010/09/30/bjsm.2010.077875.short?q=w_bjsm_ahead_tab
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月4日(木) 海外に修学旅行に行く高2、はしかのワクチン無料
はしか(麻疹)のワクチン接種率が日本では驚くほど低く、「日本ははしかの輸出国」と海外から揶揄されていることは何度かお伝えしてきましたが、これ以上海外に迷惑をかけないようにするために、来年度海外に修学旅行に行く高2は無料でワクチン接種ができることになりました。
これは、厚生労働省の「麻疹対策推進会議」で11月1日に決定された事案です。
同省によりますと、現在年間約17万人の高校生が海外に修学旅行に行き、その9割は高2だそうです。現在の制度では、旅行前にワクチン接種を受けると費用は全額自己負担となり、以前から定期接種の対象にするよう要望が出ていたそうです。
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2007年5月には、修学旅行でカナダを訪れていた高校生がはしかを発症し、同校の生徒全員がそのホテルで隔離されたという出来事がありましたし、同年8月には、米国東部で国際スポーツ大会に出場していた日本の10代の生徒がはしかを発症し、6人に感染させ隔離されたことが報道されました。
そろそろ「日本ははしかの輸出国」という汚名を返上すべき時期ではないでしょうか。尚、はしかの抗体がついていないのは10代だけではありません。当院の調査では、20代の約6割、30代の約5割が抗体陰性だったのです。
感染症は自分が苦しむだけでなく、ときに国際問題になりかねない、ということも覚えておくべきでしょう。
(谷口恭)
参考:
はやりの病気第46回(2007年6月)「はしかの予防接種率はなぜ低いのか」
医療ニュース2008年2月25日「アメリカで日本人がはしかの感染源」
医療ニュース2007年6月11日「はしかの女子高生(日本)と結核の弁護士(米)」
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月4日(木) 睡眠不足は脂肪を蓄積
睡眠不足があるとやせない、というのは何となくイメージできることですが、これを科学的に実証した研究が報告されました。
医学誌『Annals of Internal Medicine』2010年10月5日号に掲載された論文(注)によりますと、ダイエット中に睡眠不足があれば、体重は減るものの脂肪が減ってくれないようです。
この研究では、10人のボランティア(うち7人が男性)が摂取カロリーを1,500kcalに制限したダイエットをおこない、睡眠時間8.5時間と睡眠時間5.5時間をそれぞれ2週間経験しています。両者をおこなうのに3ヶ月のインターバルをとっています。
その結果、2週間後の体重減少は、8.5時間睡眠時が2.9kg、5.5時間睡眠時が3.0kgと有意な差がないものの(0.1kgの差は有意な差ではありません)、脂肪だけでみてみると、8.5時間睡眠時には1.4kgの減少なのに対して、5.5時間睡眠群では0.6kgしか減少していないことが分かりました。
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なぜ睡眠不足があると脂肪が減らないかに関して、研究者は、グレリンというホルモンに注目しています。つまり、睡眠不足→グレリン上昇→空腹感上昇と同時に脂肪を蓄積させるように働く、というメカニズムを考えています。
グレリンというホルモンは、一言で言えば、「食欲をおこすホルモン」です。生物学的に考えれば、睡眠不足にある状態というのは生命が脅かされるような危機的な状態(敵がいつ迫ってくるかわからない、食料不足で寝る時間を削って食べ物を探さなければならない、など)にあるわけで、そんなときには脂肪が蓄積される方がいいですし、空腹感を感じて食に対する欲求が強まった方が生き延びやすいと言えます。ですから、睡眠不足→グレリン上昇は理にかなっているといえます。
ちなみに、食欲を考えるときに重要なもうひとつのホルモンにレプチンがあります。レプチンはグレリンとは逆に、満腹感を感じるように働き、脂肪の代謝を促進させます。レプチンを一言で説明すれば、「やせるホルモン」で、レプチンの働きにくい体質であれば太りやすいと言えます。実際、レプチンの遺伝子異常があり充分なレプチンが産生されない家系では肥満の家系となることが分かっています。しかし、一般に肥満がある人のレプチン濃度は高値を示します。これは、レプチンは分泌されるもののそのレプチンに細胞が反応しないからです。(これを「レプチン抵抗性」と呼びます)
遺伝子を後天的にいじることはできませんから(将来できるようになるかもしれませんが倫理的に問題があります)、ダイエットをしたい人は「しっかりと睡眠をとることでグレリンの過剰分泌を防ごう」という程度の意識をもつようにすればどうでしょう。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Insufficient Sleep Undermines Dietary Efforts to Reduce Adiposity」で、下記のURLで概要を読むことができます。
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月4日(木) 腹囲は糖尿病のリスクか?
メタボリックシンドロームの診断基準から腹囲を外すべきでないないか、という議論があるということは何度かお伝えしてきました。(下記医療ニュース参照) 腹囲でなく体重にこそ注目すべきという意見があり、また、やせていても中性脂肪や血糖が高い人が少なくない、ということもよく言われます。
アメリカのメタボの診断基準には腹囲が入っていないこともあり、全体的な流れとしては、日本の診断基準も腹囲を外すべきでないか・・・、という声が大きくなってきているように思われます。
ところが、これに反対するような研究結果が報告されました。医学誌『Journal of Epidemiology and Community Health』2010年10月1日号に掲載された論文(注)によりますと、英国に比べて米国で糖尿病罹患率が高いのは、肥満など従来から指摘されている因子ではなく、ウエストラインが原因であるというのです。
この研究によりますと、糖尿病は英国よりも米国で罹患率が高いことの原因として、年齢、喫煙、社会経済的地位、体重(BMI)などの従来の危険因子では説明できない、としています。
そして、米国男性のウエストサイズは英国男性より1.2インチ(約3cm)大きく、米国女性のウエストサイズは英国女性より2インチ(約5cm)大きいそうです。
これらを分析した結果、男女とも米国人は英国人よりもウエストラインが大きいことが原因で糖尿病に罹患しやすい、とされています。(女性はその傾向が特に顕著とされています)
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便宜上、「腹囲」と「ウエストライン」を同じ扱いとしましたが、厳密に言えばこの2つは少し異なります。「腹囲」はおなかの一番出っ張ったところで、ウエストラインはお臍のあるところです。しかし、痩せている人はおなかがでっぱっておらず逆に最もくびれているところになることもありますから、現実的にはあまり区別する意味がないと言えるでしょう。
腹囲か体重か、という議論は、たいして意味がないように思えてなりません。健康な人というのは体重過多にならないですし、おなかも出ないからです。こう言ってしまえば身も蓋もありませんが、日頃から太らないようにしておなかがでないようにして、定期的に健診を受けていれば問題ないわけです。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「What explains the American disadvantage in health compared with the English? the case of diabetes」で、下記のURLで概要を読むことができます。
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月4日(木) 週に10km程度の歩行が認知障害を予防
1週間に10km程度歩けば記憶障害など認知機能低下が抑制できる・・・
これは、医学誌『Neurology』2010年10月19日号に掲載された論文(注)で発表された知見です。
米国ピッツバーグ大学の研究者らは、299人の成人の身体活動と認知力の調査をおこないました。299人の平均年齢は78歳で3分の2は女性です。
脳の大きさと認知能力を測定した結果、9年後の調査では全員が「正常」でしたが、その4年後の調査では、およそ3分の1が軽度の認知障害や認知症が認められたそうです。さらに、週当たりの歩行距離との関係を調べると、およそ10km程度歩行している人は認知障害が起こりにくいことがわかったそうです。
しかし、これを超えて歩いても特に差は認められなかったそうです。
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ひとつお断りしておきますと、私は便宜上「10km」としましたが、原文では72blocksとなっています。普通は、このような論文ではマイルかメートル法で記載されますから、「block」で書かれると、アメリカ人以外には分かりにくいのではないかと思われます。(私の計算では、だいたい1ブロックは150メートルくらいだろうと、”勝手に”決めて計算したことを告白しておきます。ですから実際には10kmより大きかったり小さかったりするかもしれません)
歩くことで認知症を防げるかもしれない、と言われると、そりゃそうだろう、と言いたくなります。しかし、現在のところ認知症に対しては、有効な予防法も治療法もほとんどありませんから、このような研究がもっとおこなわれて歩くことの有効性を示すデータが増えることを望みたいと思います。歩くことには認知症の予防以外にも多くの利点があるはずだからです。(そのときにはメートルかマイルで論文が書かれることを希望します・・・)
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Physical activity predicts gray matter volume in late adulthood The Cardiovascular Health Study」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://www.neurology.org/content/75/16/1415.abstract?sid=cdc7fc11-46d4-4020-8919-009ed42ef07b
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月4日(木) 50代の大量喫煙はアルツハイマーのリスク
50~60歳までに1日2箱以上の喫煙をしていた人では非喫煙者に比べ、アルツハイマー病など認知症のリスクが2倍以上に上昇する・・・
これは医学誌『Archives of Internal Medicine』2010年10月25日号に掲載された論文(注)で発表されたデータです。
この研究は、フィンランドのクオピオ大学病院(Kuopio University Hospital)によりおこなわれ、対象者は、米カリフォルニア北部の医療プログラム会員で、1978~85年の調査に参加した21,123人です。参加当時の年齢は50~60歳です。
追跡調査の結果、対象者の平均年齢が71.6歳に達した時点で、全体の25.4%に当たる5,367例が認知症と診断されています。5,367例中アルツハイマー病は1,136例、脳血管性の認知症は416例だったそうです。
これらを喫煙の量で分析した結果、1日に2箱以上喫煙した場合、認知症になるリスクは2倍以上になっていたことがわかったそうです。尚、以前喫煙して現在は吸っていない人や、1日半箱以下の喫煙では、リスクの上昇は認められなかったそうです。
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私が医学生の頃は、「タバコはアルツハイマーを予防するのではないか」と言われていました。ニコチン性アセチルコリン受容体がニコチン摂取で活性化しドパミン神経系に作用するから、というのがその理屈だったと思いますが、おそらく今ではこのようなことを主張する人はほとんどいないでしょう。
タバコは、脳血管系疾患、循環器疾患、呼吸器系疾患、各種ガン、などだけでなく神経系にも悪影響を与えることを裏付けた研究だと言えるでしょう。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Heavy Smoking in Midlife and Long-term Risk of Alzheimer Disease and Vascular Dementia」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/archinternmed.2010.393v1?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=Minna+Rusanen&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCI
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|2013年7月14日 日曜日
2010年11月4日(木) 緑茶に乳ガンの予防効果なし
緑茶をたくさん飲んでも、乳ガンになる危険度は変わらない・・・
これは、国立がん研究センターの岩崎基氏らが研究した知見で、医学誌『Breast Cancer Research』2010年10月28日号に掲載されています。(注)
緑茶にはカテキンなどのポリフェノールが豊富に含まれており、ポリフェノールには抗酸化作用があることが分かっています。そして、動物実験では乳ガンを予防するという結果が報告されています。
今回の研究では、1990年と1993年時点の、岩手など9府県の40~69歳の女性合計約54,000人が平均14年間追跡調査されています。調査期間中に581人が乳ガンを発症しています。
緑茶を飲む頻度で6つのグループに分け乳ガン罹患との関係が調べられていますが、関連性は認められなかったそうです。また、お茶の種類によっても関係が調べられましたが、何の関連性もなかったそうです。
**********
ポリフェノールはガンの予防にも期待されていただけに残念な結果と言えるかもしれません。
個人的な話をすると、私はコーヒーも好きですが、お茶も大好きです。海外に行くと(私の場合はタイが多いのですが)お茶が飲めなくて苦労します。たまにコンビニなどで「やっと見つけた!」と思っても大量の砂糖が入っているお茶であることがほとんどですから、日本茶を美味しく飲むということは至難の業なのです。私個人としては、お茶に病気を予防する効果がなかったとしても、あのリラックス効果だけで充分だと感じています。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Green tea drinking and subsequent risk of breast cancer in a population-based
cohort of Japanese women」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://breast-cancer-research.com/content/12/5/R88
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