医療ニュース
2013年7月10日 水曜日
2011年4月19日(火) 「買い物」は高齢者の寿命をのばす
毎日買い物に行く高齢者は、買い物に行かない人に比べ寿命が長い・・・
これは台湾の学者による研究結果で医学誌『Journal of Epidemiology and Community Health』2011年4月6日号(オンライン版)に掲載されています。(下記注参照)
研究では、1999年および2000年に実施された「高齢者の栄養と健康に関する調査」のデータを解析しています。対象者は、自宅で自立した生活を送る65歳以上の台湾人1,850人で、買い物の頻度と個人の健康、経済状態、死因などが分析されています。
対象者の約半数は、買い物には全く行かないかほとんど行かないと回答しており、22%が週2~4回買い物に行く、17%は毎日買い物に行くと回答しています。頻繁に買い物に行く人は、比較的若く、男性に多い傾向にあるようです。全体的な健康状態は良好で、運動や友人との食事で外出することが多いという結果がでています。また、意外なことに喫煙やアルコール摂取量が多い傾向も認められたそうです。
毎日買い物をする人は、買い物に行かない人に比べ、死亡率が全体で27%低い(男性28%、女性23%)という結果がでています。
対象者のほとんどは経済的に自立しており、買い物に行かないのは貧困が理由ではありません。
研究グループは「正式な運動に比べると、買い物は簡単に楽しく体を動かすことができるために魅力的な健康法である」と結論しています。
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買い物で長生きできる!、と聞いて嬉しく感じる人も多いのではないでしょうか。最近の研究は、例えば「○○以上のアルコールはNG」とか「運動は週○回以上、1回○○分以上でないとダメ」とか、聞いていてしんどくなってくるようなものが多いですから、「買い物で長生き」というのは、(もちろんその言葉に踊らされてはいけませんが)夢のある研究成果と言えるかもしれません。
ちなみに私は買い物が苦手で、「時間がもったいないからインターネット上で購入・決済を済ませてしまおう」と考えてしまいます。しかし、この論文を読んで、老後は買い物を趣味のひとつにしようかと考えています。今回の研究が実施された台湾は庶民的な市場や屋台が有名ですが、あのような環境なら買い物が楽しくなるのかもしれません。日本にもワクワクするような市場が増えることを望みたいと思います。
注:この論文のタイトルは、「Frequent shopping by men and women increases survival
in the older Taiwanese population」で、下記のURLで概要を読むことができます。
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|2013年7月10日 水曜日
2011年4月28日(木) 児童虐待を受けた経験5%
18歳頃までに両親や同居者から虐待を受けた経験がある人は男性2.2%、女性は7.1%にもなる・・・
これは、厚生労働省の研究班が2年に一度おこなっている「男女の生活と意識に関する調査」で明らかになったデータです。尚、この調査で虐待経験を尋ねたのは今回が初めてだそうです。
この調査は2010年9月に16~49歳の男女約3千人を対象に実施されています。
虐待の内容については、「心を傷つけるようなことを繰り返し言うなど<心理的虐待>」が66.2%で最多となっています。
その他の虐待をみてみると、「殴る、蹴る、熱湯をかける、たばこの火を押しつけるなどの<身体的虐待>」が54.5%、「無視したり、食事を与えなかったりするなどの<養育放棄>」が15.6%、<性的虐待>は男性はゼロですが、女性は14.5%となっています。
この調査では<虐待>と両親の離婚の関係が調べられています。<虐待>を経験した人のうち、両親の離婚の経験がある人の割合は36.4%で、虐待経験がない人は10.6%ですから3倍以上の開きがあることになります。また、<虐待>経験者は、中学生の頃に親との会話が少ないという傾向が認められたそうです。
また、<虐待>を経験した人のなかで、自分で自分の体に傷を付ける<自傷行為>の経験者の割合は32.5%となっています。虐待経験がなく自傷行為を行ったことがある人が5.7%ですから5倍以上の差があることになります。
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今回の調査ではおこなわれていませんが、このような<虐待>は世代伝播することが指摘されることもあります。また、「望まない妊娠」で産まれた子供が<虐待>を受ける傾向にあると言われることもあります。
その他にも親がアルコール依存症や薬物中毒であったり、あるいは摂食障害、ギャンブル依存、セックス依存などがあったりすることとの関連も指摘されることがあります。
ところで、虐待を加える親は虐待をしたくてしているのでしょうか。そんなはずはありません。虐待などしたくないのだけれど気づいたときには虐待してしまっている・・・、それが虐待の姿です。ですから、虐待を防ぐには「子供を親から守る」と同時に「親のケアをする」という視点が重要なのではないかと私は考えています。
(谷口恭)
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|2013年7月10日 水曜日
2011年5月6日(金) カルシウムサプリメントが女性に危険かも・・・
カルシウムのサプリメントを積極的に摂取している人は少なくないのではないかと思われます。なにしろ、骨粗しょう症が増えているということが頻繁に指摘されていますし、現代人の骨が脆くなってきていることは大勢の人が感じているのではないでしょうか。実際、日本人が摂取基準を取れていないミネラルやビタミンと言えばカルシウムが筆頭に上がります。
厚生労働省が定めている1日あたりのカルシウム摂取基準は、成人であれば男性700mg、女性650mg程度ですが、平成18年の国民健康・栄養調査によりますと、実際には、男性平均546mg、女性平均524mgしかとれておらず基準に届いていません。つまり、「現代人はカルシウム不足」というのは公的なデータからも証明されているというわけです。(摂取基準については正確には年齢ごとに基準が異なります。下記注1を参照ください)
食事で充分なカルシウムが摂れないなら、サプリメントで摂ればいいじゃないか・・・。
誰もがそう思うでしょうし、実際カルシウムのサプリメントはかなり普及しているといっていいでしょう。ところが、です。「カルシウムサプリメントは女性の心疾患リスクを高める」という研究結果が発表され物議をかもしています。詳細は医学誌『British Medical Journal』2011年4月19日号に掲載されています。(下記注2参照)
この研究では、WHI(Women’s Health Initiative study)と命名されたアメリカの大規模研究のデータが用いられ、さらに約3万人の女性を対象とした未発表の13研究のデータが追加されて分析が加えられています。その結果、「カルシウムサプリメント摂取によって心臓発作リスクが25~30%、脳卒中が15~20%増大した」ことが判ったそうです。
研究者らは、「カルシウムは動脈硬化に関連しているのだから、今回の結果は生物学的に理にかなっている」とコメントしています。
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女性のカルシウムサプリメント摂取に否定的なこの研究はすべての学者から肯定されているわけではありません。実際、日本にも海外にもカルシウム製剤を処方する医師は大勢いますし、カルシウムサプリメントを摂らないように患者さんに注意している医師はほとんどいないのではないかと思われます。(過剰摂取に注意を促すことはありますが)
今後さらなる追跡調査が行われることを期待したいと思います。また、ビタミンDとカルシウムサプリメントを併用すれば心血管系のリスクがどうなるのか、男性のカルシウムサプリメント摂取はどのように考えればいいのか、といったあたりの研究も待ちたいところです。
現時点で確かなことが2つあります。ひとつは、現代人の多くがカルシウム不足であること、もうひとつは、カルシウムは食事から摂れば何の問題もない、ということです。
(谷口恭)
注1:カルシウムの摂取基準量については、独立行政法人国立健康・栄養研究所の下記のサイトが参考になるかと思います。
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail660.html
注2:この論文のタイトルは、「Calcium supplements with or without vitamin D and risk of
cardiovascular events: reanalysis of the Womens Health Initiative limited access dataset
and meta-analysis」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.bmj.com/content/342/bmj.d2040.full.pdf?sid=f404aad1-c0ac-4fa4-90d3-118347e1d97f
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|2013年7月10日 水曜日
2011年5月21日(土) 「茶のしずく石鹸」が自主回収
過去にも「お茶石鹸」に含まれている小麦によるアレルギー、それも重篤なアレルギー反応が起こりうることをこのサイトで紹介してきましたが、ようやくメーカーがその石鹸を「自主回収」することを決定しました。
メーカー((株)悠香)のこの決定を受けて、2011年5月20日、厚生労働省は報道関係者に向けてのプレスリリースをおこないました。(下記注参照)
(株)悠香が製造する「茶のしずく石鹸」の使用者のなかに、運動誘発性アレルギーを発症する人が続出し、ときに重篤となったケースの報告もありました。この原因はこの石鹸に含まれている小麦が原因であることが分かっています。
尚、2010年12月8日以降に発売されている「茶のしずく石鹸」には、すでに小麦が含まれていないそうです。
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この話題はここ1~2年、皮膚科やアレルギー関連の学会では必ず取り上げられていました。2010年10月の時点で、すでに重症化した被害者の報告が相次いでおり、厚生労働省が注意喚起の発表をしていたわけですから、なぜそのときに自主回収がされなかったのか、という疑問はぬぐえません。
小麦アレルギーをいったん起こしてしまうと、今後小麦製品(パンやうどん)が一切食べられないことになりかねません。ですから、まだ(2010年12月7日以前に発売された)この石鹸をお持ちの方がおられれば直ちにメーカーに連絡をとられることを勧めます。
(谷口恭)
注:自主回収の詳細、及びメーカーからの詳しい案内は、下記URLを参照ください。
http://www.info.pmda.go.jp/happyou/file/PMDSI_110520.pdf
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|2013年7月10日 水曜日
2011年5月27日(金) エイズ発症者が過去最多に
厚生労働省は毎年5月末に前年のHIV/エイズ関連のデータを発表します。昨年(2010年)1年間のエイズ発症者(エイズを発症して初めてHIV感染がわかったケース、いわゆる「いきなりエイズ」)が469人でこれは、昨年の431人から38人の増加となり、そして過去最多です。
2010年に新たにHIV感染が判った人(まだエイズを発症していない感染者)は、1,075人で、これは2009年の1,021人より54人の増加となります。「新たにHIV感染が判った人」は2002年から増加の一途をたどっていて、2009年に初めて減少に転じましたが、これは感染者が減ったのではなく、検査を受ける人が減ったことが原因だと考えられています。そして、2010年には再び増加に転じています。
全国の保健所などでおこなっている無料のHIV抗体検査は、2009年は新型インフルエンザの影響で減少したことが指摘されましたが、2010年は2009年をさらに13%下回っているそうです。同時に、保健所などへの相談件数も減少しているそうです。
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HIVへの関心が低下し、検査件数が減少しているのにもかかわらず新規で発見される人は増えている。そして「いきなりエイズ」も増加している・・・。
これは、言うまでもなく、「HIVに感染しているのに気づいていない人が増加している」ことを示しています。
太融寺町谷口医院でも、(エイズを発症して受診という人はほとんどいませんが)何らかの症状からHIV感染が発覚するケースは2009年、2010年と比べて今年(2011年)は大きく増えています。2007~2008年は、発熱や倦怠感といった症状から、あるいは無症状でもキケンな行為があったことから自分自身でHIV感染を心配して受診、という患者さんが多かったのですが、2009年以降は、患者さん自身はHIVなどとは夢にも思っていない、というケースが増えています。
参考:医療ニュース
2010年6月10日「HIVの「検査数」が大幅減」
2009年6月20日「日本のHIV、増加傾向は変わらず」
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|2013年7月9日 火曜日
2011年5月30日(月) 不活化ポリオワクチンがついに導入か
ポリオのワクチンは、世界的には「不活化」を使うのが一般的になってきているのに日本ではいまだに「生」を使っていることが問題である、ということはこのサイトで何度かお伝えしてきましたが(下記医療ニュース参照)、ついに日本でも不活化ワクチンが導入される見込みがでてきました。
2011年5月26日に開催された厚生科学審議会感染症分科会の予防接種部会で、早ければ2012年度にも不活化ポリオワクチンが導入される見通しが示されました。
厚生労働省によりますと、国内ワクチンメーカー4社が不活化ポリオワクチンとDPTワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風の3種混合ワクチン)を混合した、言わば「4種混合ワクチン」を開発中で、2011年中に承認申請がおこなわれる見込みだそうです。
ただし、DPTワクチンをすでに接種している人が、この新しい4種混合ワクチンを接種することに問題はないのかという懸念があります。そこで、厚生労働省では、不活化ポリオワクチン単独のワクチンを国内で開発すべきだと提案しています。同省の担当者は、「今後、不活化ポリオワクチン単独のワクチン開発に協力していただける企業を探していく」とコメントしているそうです。(報道は5月26日の読売新聞など)
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まず基本的なことをおさらいしておくと、生ワクチンの問題は、①非常に稀ではあるがポリオに感染したときと同じような麻痺症状がおこりうること、②成人には接種できないこと、です。このため、一部の小児科クリニックや旅行医学を積極的に実践しているクリニックでは不活化ポリオワクチンを輸入して接種しています。(尚、2001年度からの10年間で、生ワクチンでポリオウイルスに感染したときと同じような症状がでた例は15例、生ワクチンを接種した児童の便などから感染したと思われる二次感染が6例報告されています)
しかし、単独ワクチンよりも4種混合ワクチンが先に開発されたのはなぜなのでしょうか。混合ワクチンというのは、単純にそれぞれのワクチンを足してつくられるわけではありませんから、単独ワクチンよりも4種混合ワクチンの開発が先におこなわれたことに合理的な理由があるのでしょう。しかしながら、なぜ厚生労働省は国内メーカーにこだわり、海外で実績のある不活化ポリオワクチンを輸入しないのか、という疑問が私にはぬぐえません。
国内メーカーがこれから開発するよりも、すでに海外で実績のあるワクチンを輸入して使う方がずっと現実的だと思うのですが、政治的な問題(例えばワクチンメーカーが官僚の天下り先になっているとか・・・)を疑いたくなります。
(谷口恭)
参考:医療ニュース
2010年12月17日「ポリオ不活化ワクチンを求め患者団体が署名提出」
2010年2月22日「神戸の9ヶ月男児がポリオを発症」
メディカルエッセイ第90回(2010年7月)「理想のワクチン政策とは・・・」
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|2013年7月9日 火曜日
2011年6月3日(金) WHOが携帯電話の危険性を公表
携帯電話は脳腫瘍のリスクかもしれない・・・。これは随分前から指摘されていたことで、本格的に大規模調査がおこなわれたことは以前このサイトでお伝えしました。(下記医療ニュース参照)
その調査結果を簡単に振り返っておくと、約13,000人を対象とした10年間にわたる国際調査がおこなわれ、結論は「携帯電話使用と脳腫瘍の間に相関関係は認められなかった」というものです。しかし、その調査をよく読むと、累積で1,640時間以上携帯電話を使用すると、神経膠腫(グリオーマとも呼ばれます)という脳腫瘍の発症率が1.4倍になると記されており、これは1日30分の通話を9年間続ければ達成してしまう時間である、ということを「医療ニュース」のコメントで述べておきました。
この調査でWHO(世界保健機関)やFDA(米食品医薬品局)は、「通常の携帯電話の使用では脳腫瘍のリスクは上昇しない」と発表したわけですが、2011年5月31日、WHOはこの調査結果の解釈を変えて、発ガン性があるかもしれない(possibly carcinogenic)との見解を公表しました。
日本の総務省は、6月1日、このWHOの見解を受けて、2003年に同省の専門委員会が発表した研究結果を基に、「現時点では問題がないと考えている」とコメントしたそうです。(報道は6月2日の読売新聞)
****************
possibly carcinogenicというのは発ガンリスクとしては上から3番目にカテゴライズされており(一番高いのはcarcinogenic、次がprobably carcinogenicです)、他のpossibly carcinogenicに相当するものの例としてタルクパウダーに対する卵巣ガンがあります。
私の知る限り国内外のマスコミはコメントしませんでしたが、上記に述べた通り、1日30分の通話を9年間続ければ、脳腫瘍のリスクとなる1,640時間を越えることになりますから、実際は長期間でみたときにはリスクがあると考えるのが妥当ではないでしょうか。
総務省は「現時点では問題がない」としていますが、我々が知りたいのは「現時点」ではなく「将来のこと」です。
最近も、別のことで「現時点では問題がない」という表現を政治家や官僚の見解でよく聞くような気がするのですが、その場しのぎの言い訳に聞こえてしまうのは私だけでしょうか・・・。
(谷口恭)
注:WHOの発表のニュースは日本のマスコミでも報道されていますが、Washington Postの記事が分かりやすいです。(下記URLで読めます)
http://www.washingtonpost.com/national/cell-phones-possibly-carcinogenic-who-says/2011/05/31/AGRktZFH_story.html
参考:医療ニュース
2010年5月31日「携帯電話で発ガン性は一応認められず・・・」
2010年1月23日「携帯電話がアルツハイマーを予防?」
2010年7月12日「寝る前の携帯電話はNG」
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|2013年7月9日 火曜日
2011年6月3日(金) 出生率上昇、人口減12万人、自殺3万人以下に
6月1日、厚生労働省は2010年の人口動態統計(概数)を発表しました。
合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むと推定される子供の数)は1.39に上昇しています。合計特殊出生率は、2005年に過去最低の1.26を記録し、2006年から2008年は上昇、2009年は2008年と同様でした。(注)
出生率が上昇した原因として、同省は、「30代後半及び第2子以降の出産が増えたため」と分析しています。しかしながら、同省は、「上昇に転じたものの、少子化傾向は今後も続くとみられる」とコメントしています。
出生率を年齢別にみると、10代後半~20代前半は2009年より低下し、20代後半~40代後半は上昇しています。第1子出産時の平均年齢は29.9歳でこれは2009年より0.2歳上昇したことになります。
都道府県別では沖縄が最高で1.83(2009年も首位は沖縄で1.79でした)、次いで島根と宮崎が1.63、さらに熊本1.61、鹿児島1.60と続きます。最低は東京の1.12です。
出生数から死亡数を引いた自然増減はマイナス125,760人で、10万人を超えたのは初めてとなります。内訳は、出生数が1,071,306人、死亡数が1,197,066人です。
死因の1位はガンの353,318人で、これで30年間連続の首位となります。2位が心疾患の189,192人、3位は脳血管疾患で123,393人です。
結婚は700,213組で2009年より7,521組の減少、離婚は251,383組で2009年より1,970組の減少となります。
自殺は1,183人減の29,524人で、3万人を下回ったことになります。(注2)
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注1:合計特殊出生率を詳しくみると、2004年1.29、2005年1.26、2006年1.32、2007年1.34、2008年1.37、2009年1.37、2010年1.39です。
注2:警察庁のデータでは、2010年の自殺者は3万人を越えています。(下記医療ニュース参照) 厚生労働省と警察庁で自殺者数の発表が異なるのは、統計の取り方が異なるからです。厚生労働省は、市町村に届出された「死亡届」を基にしているのに対し、警察庁は、死亡届が出された後に自殺と判明したケースも「自殺者」に含めています。そういう意味では、警察庁の統計が実態をより正確に示していると言えるでしょう。
参考:医療ニュース
2010年6月7日「2009年の合計特殊出生率は横ばい」
2011年3月8日「日本の自殺者、13年連続で3万人超」
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|2013年7月9日 火曜日
2011年6月12日(日) 糖尿病治療薬「アクトス」が膀胱ガンのリスク
2011年6月9日、フランス当局(Afssaps)は、ピオグリタゾン塩酸塩を有効成分とする医薬品の新規処方をしないように通達しました。この医薬品が膀胱ガンの発生リスクを上昇させるという疫学研究が発表され、その結果をフランス当局が重要視したというわけです。
ピオグリタゾン塩酸塩を有効成分とする医薬品というのは、比較的新しい糖尿病の治療薬で、商品名で言えば、アクトス、ソニアス、メタクトなどです。
フランスでは、医師に対しては新規処方をしないように通達をおこない、すでにこれら薬剤を服用している人たちには、自己判断で服用を中止せず、主治医に相談するように注意を促しています。
また、フランスのこの発表を受けて、これら薬剤の日本での販売元である武田薬品工業が日本の患者さんに対する通達をおこなっています。(下記注参照)
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ピオグリタゾン塩酸塩は、ここ数年間で最も注目されていた糖尿病の治療薬のひとつと言えます。それだけに、我々医師にとってはこのフランスの発表は非常に強いインパクトがあります。
ピオグリタゾン塩酸塩に限らず、糖尿病の治療薬は自己判断で中止するのは極めて危険です。フランス当局や武田薬品が発表しているように、現在服用している人はまず主治医に相談すべきです。(当院でこれら薬品を処方している患者さんには次回の診察時にお話しさせていただきます)
(谷口恭)
注:武田薬品の患者さんに対する案内は下記URLで読むことができます。
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201106_1_p.pdf
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|2013年7月9日 火曜日
2011年6月12日(日) 世界の障害者は10億人
世界で10億人以上が何らかの障害を抱え、このうち日常生活や社会生活で著しい不自由を感じている人が1億9千万人にも上る・・・
これは世界保健機関(WHO)と世界銀行が、2011年6月9日に世界に向けて発表した報告書に紹介されている数字です。障害者に関する世界的な規模の報告書が発表されたのは初めてだそうです。
報告書によりますと、経済協力開発機構(OECD)加盟国では、障害者の雇用率が44%で、障害のない人々の雇用率75%と比べると極めて小さいことが指摘されています。また、同報告書では14歳までの子供の障害者は最大で1億5千万人と推定されており、学校施設の不備や教師不足などの理由で、教育を受ける機会が妨げられていることが述べられているそうです。
障害者権利条約には現在約100ヶ国が批准していますが、日本は2007年に署名したものの批准はしていません。
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現在世界の人口は70億を少し切るくらいですから、障害者が10億人であれば、7人に1人が何らかの障害を持っているということになります。ですから、障害者との共存・共生というのはむしろ当たり前なわけで、7人以上の組織のなかで障害者がひとりもいないとすればそちらの方が不自然ということになります。
それにしてもなぜ日本は障害者権利条約に批准しないのでしょうか。ちなみに、人権に対する意識が低いことがしばしば指摘される中国はすでに批准しています。
(谷口恭)
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