医療ニュース

2013年7月27日 土曜日

2008年8月18日(月) ジョギングで死亡率半減

 50歳以上で日常的にジョギングをしている人は、運動の習慣がない人に比べ、19年後の死亡率が半分以下で、健康な生活を送ることができる・・・

 これは、米国スタンフォード大学の研究チームがおこなった長期調査で、米科学誌『アーカイブズ・オブ・インターナル・メディシン』に8月17日に発表されています。(報道は8月18日の日本経済新聞)

 この調査は、1984年時点で50歳以上の人で、全米のランニングクラブに所属する538人と、運動習慣がない423人を比較しています。その結果、2003年時点の死亡率はそれぞれ15%、34%でした。

 ジョギング時間は、調査を開始した1984年当初は、週に平均4時間でしたが、21年後の2005年には1時間16分にとどまっていました。それでも、運動習慣がない人に比べ、様々な障害の出始めが遅く、体格が引き締まり、記憶・学習能力も相対的に良いことが、年に一度のアンケート調査でわかったそうです。

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 50歳以上のジョギングは膝関節などの故障がおきやすいのではないかと考えられることもありますが、今回の調査結果ではそのようなこともなかったそうです。

 いいことばかりのジョギングですが、最も大変なことはやはり”継続”でしょう。

 今回の調査は50歳以上ですが、若いうちにジョギングを”習慣”としてしまうのがいいでしょう。

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年8月25日(月) 日米でHIV感染が増加

 8月19日に厚生労働省が発表したデータによりますと、2008年3月31日~6月29日の3ヶ月間に報告されたHIVの新規感染は276人で、これは1985年の統計開始以来、前々回(2007年10月1日~12月30日)の277人についで過去2位の人数となります。

 一方、同日(8月19日)に、米国疾病管理予防センター(CDC)は、米国内のHIV感染状況が予想をはるかに上回り、2006年には5万6,300人が新規に感染したうえ、HIV陽性者は累計123万人に達していると公表しました。

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 HIVの新規感染が多いのはアジアやアフリカだけではありません(これらの地域では減少傾向にあります)。今回の報道が示すように日本とアメリカでは感染者は増えていますし、ドイツ、イギリス、オーストラリア、韓国など他の先進諸国でも増加傾向にあります。

 数年前に言われた「先進国でHIVが増えているのは日本だけ」というのはとっくに過去の言葉になっています。

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年8月29日(金) 鹿児島で日本脳炎注意報

 8月25日、鹿児島県は2年ぶりに日本脳炎注意報を発令しました。これは日本脳炎ウイルスに感染した豚が基準値を超えたことによります。(報道は8月27日の毎日新聞)

 鹿児島県では1995年に日本脳炎の感染者が1人報告されているのが最後ですが、今後、蚊にさされないよう、県は長ズボンの着用や防虫スプレーの使用を呼びかけています。

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 日本脳炎ウイルスを媒介するコガタアカイエカは、水田や沼地付近に棲息し、日没後に活動すると言われています。ワクチンをうっていない人はそういう地域に近づかないことが必要でしょう。

参考:はやりの病気 第60回「虫刺されにご用心」 
医療ニュース 2008年8月1日「日本脳炎の新ワクチンは2009年以降に」

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年9月9日(火) 保険のない子供が20都市で7333人

 国民健康保険(国保)の保険料を滞納して保険給付を差し止められ、医療費の全額自己負担が必要になった世帯の子ども(中学生以下)が、都道府県庁所在地と政令市計51都市中20都市で7,333人以上に及ぶことが、毎日新聞の全国調査で明らかとなりました。(報道は8月31日の毎日新聞)

 この調査は、2007年から2008年にかけて、全国の各自治体に対し、給付差し止めで保険証の返還を求められ、代わりに資格証明書の交付を受けた世帯に義務教育年齢以下の子どもが何人いるかを尋ねることによっておこなわれました。

 人数を把握できたのは、横浜市3,692人、千葉市838人、大阪市748人、和歌山市407人、大分市379人、など20都市です。無保険の子どもが「いない」と回答したのは山形、大津など5つの市のみです。18市が「子どもは含まれるが統計がない」とし、8市が「不明」と回答しており、実際の人数は51都市で判明分の数倍に上る可能性があるようです。

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 世界には病気になっても病院にかかれない子供がたくさんいて、むしろ世界的には病院にかかれる子供の方が少ないかもしれませんが、この日本でこれだけ多くの子供たちが保険証がなく医療機関にかかれないというのは異常に思えます。「国民皆保険制度」はどこにいったのでしょうか・・・。

参考:医療ニュース 2008年7月31日「大阪府、無保険の子供が1620人」

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年9月13日(土) 子宮体癌の予防にコーヒーを

 このウェブサイトでは、コーヒーがいかに体にいいかということを頻繁に紹介していますが、これは私(谷口恭)がコーヒー好きだからというわけではありません(確かにコーヒーは好きですが・・・)。ここ数年の間に発表されているコーヒーに関する研究が、病気の予防になるとされているものがほとんどなのです。

 コーヒーを1日3杯以上飲む女性は、ほとんど飲まない女性に比べ、子宮体癌になる危険度が約6割も低い・・・

 このような研究結果が、厚生労働省研究班により9月1日に発表されました。(報道は同日の共同通信)

 この調査は、岩手、大阪など9府県の40から69歳の女性約5万4000人を1990年から最長で15年間追跡しています。この間に117人が子宮体がんと診断されています。

 調査開始時にコーヒーを飲む習慣について聞き取り、飲む量によって4つのグループに分けて子宮体がんとの関連を調べています。コーヒーを飲む頻度が週に2日以下というグループと比較すると、毎日1~2杯飲む人で約4割、毎日3杯以上飲む人では約6割、発症の危険度が低いという結果がでています。
 
 コーヒーをよく飲めばなぜ子宮体癌が防げるのか。この理由について、研究班は、「コーヒーが血糖値を下げたり、女性ホルモンの働きを調整したりすることで、危険度を下げているのではないか」と述べています。

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 一般に子宮体癌は、肥満や糖尿病のある人、女性ホルモンの働きが活発な人におこりやすいと言われています。コーヒーがこれらに影響を与えることが原因かもしれません。

参考:2008年6月30日「コーヒーはいいことばかり」
(谷口恭)

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2008年9月20日(土) 妊婦の予防接種は赤ちゃんにも効果?

 妊婦にインフルエンザの予防接種をすると、母親だけでなく新生児にも高い予防効果がある・・・

 これは米国とバングラデシュの共同研究チームが、バングラデシュで臨床試験をおこなった結果で、詳細は「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」という医学誌(2008年9月17日号)に発表されています。(報道は9月18日の読売新聞)

 臨床試験では、妊婦316人のうち、約半数にインフルエンザのワクチン、残りの半数に肺炎球菌のワクチンを接種しています。子供は接種の8時間から3ヶ月後に生まれています。

 生後6ヶ月まで健康状態を追跡した結果、母親が肺炎球菌のワクチンを受けた子供は、157人中16人がインフルエンザにかかりました。一方、母親がインフルエンザのワクチンを受けた子供の発症率はおよそ3分の1という結果になっています。

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 この結果を受けて、日本の厚生労働省は、「可能な限り危険性を排除するため、国内では勧めていない」としています。

 参考までに、米国や世界保健機関は妊婦にインフルエンザのワクチン接種を勧めていますが、すてらめいとクリニックでは、現時点では日本の厚生労働省に従い、妊婦へのインフルエンザワクチン接種をおこなっていません。

(谷口恭)

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2008年9月26日(金) 「電子タバコ」に要注意!

 「電子タバコ」というものをご存知でしょうか。

 電子タバコは、紙巻きタバコに似せたステンレス製の棒に液体ニコチン入りのカートリッジを取り付け、電力でニコチンを含む霧状の気体を発生させる、言わば「ニコチン吸引機」です。電子タバコは2004年に香港の企業が開発し、現在ではイギリス、日本、カナダなどで販売されています。価格は1万円前後のものが多いようです。

 電子タバコのPRのされ方に、「ニコチン量を徐々に減らすことによって禁煙ができる」というものがあります。

 このPRなどをめぐって、WHO(世界保健機関)は、9月19日、「安全性が確認されず正しい禁煙療法とは考えられない」とする声明を発表しました(報道は9月22日の共同通信)

 さらに、WHOは、「製品に使用されている多くの化学物質の中に、強い毒性があるものが含まれている可能性がある」と指摘しています。

 販売業者の中には、ウェブサイトや広告に「WHOお墨付き」と思わせる宣伝文句を使う例もみられ、WHOはこうした言葉を即刻削除するよう業者に求めています。

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 電子タバコは、禁煙グッズとしてだけではなく、「愛煙家の新しいツール」として注目されています。つまり、煙が出ないために「他人に迷惑をかけることのない新しい喫煙」と考えられているのです。

 ただし、他人に迷惑をかけないとしても、今回WHOが指摘しているように、「安全性が確認されていない」わけですから安易な使用は控えるべきでしょう。

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年9月29日(月) ビタミンB12が脳を守る!?

 ビタミンB12が高齢者の脳の縮小を防ぐ可能性がある・・・

 英国オックスフォード大学の研究者らがこのような発表をおこないました。

 研究者らは、記憶障害や思考障害のない61~87歳の107人を対象に研究をおこないました。対象者の平均年齢は73歳、54%が女性です。対象者からは血液検査をおこないビタミンB12の数値を調べ、脳の体積を調べるためにMRIを撮影、さらに記憶力の検査などをおこなっています。

 結果について、まずビタミンB12欠乏症の人はいませんでした。ビタミンB12の数値が高かった人は低かった人に比べると、脳が縮小する可能性が6分の1との結果がでています。

 ビタミンB12は肉や魚、牛乳などに含まれていますが、ビタミンB12のサプリメントによる摂取に効果があるかどうかは検討されていません。また、すでに脳の萎縮のある人に対してビタミンB12の補充が実際に効果をもたらすかどうかは不明です。

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 食事からビタミンB12を積極的に摂取すれば脳を守れるかもしれない、という研究です。研究者らが述べているように、サプリメントに効果があると決め付けるのはよくないでしょう。

 以前、βカロチンのサプリメントが大腸癌予防につながるのでは・・・、などと言われていた時代がありましたが、大腸癌を予防しないどころか肺癌のリスクを高めることが分かり、現在ではβカロチンのサプリメントを積極的にとっている人はほとんどいないと思われます。

 また、ビタミンEのサプリメントも摂り過ぎれば肺癌のリスクになると言われています。さらに驚くべきことに、ビタミンEは食事から摂取すれば心疾患のリスクを軽減させることが分かっていますが、サプリメントでビタミンEをとると逆に心疾患になりやすくなるとの研究もあります。

 今回のビタミンB12の研究も、摂取が食事によるものでサプリメントでは研究がおこなわれていないことには注意をしなければなりません。

(谷口恭)

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2013年7月27日 土曜日

2008年10月5日(日) 抗生物質「ガチフロ」が販売中止に

 「ガチフロ」という抗生物質が2008年9月30日をもって販売中止となりました。

 FDA(米国食品医薬品局)が先月ガチフロ(一般名ガチフロキサシン)と同じ成分の製剤を承認医薬品リストから削除したことを受けて、製造元の杏林製薬が決定しました。また、以前から副作用が問題になっていたという背景もあります。

 ガチフロは、日本では2002年に承認され処方されるようになりましたが、発売後間もなく厚生労働省が「緊急安全性情報」を出し、医療機関に注意を呼びかけました。これは副作用として重篤な血糖値異常の報告が相次いだからです。(9月30日の読売新聞によりますと、副作用報告は延べ254人になります)

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 「ガチフロでなければ治らない」という感染症は(私の知る限り)ありませんから、私個人としては、「緊急安全性情報」が出されてからは一度もガチフロを処方していません。(すてらめいとクリニックの患者さんにも一度も処方していません)

(谷口恭)

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2008年10月5日(日) 米国のHIV感染者が増加、5人に1人は気づかず

 CDC(米国疾病管理センター)は、10月2日、米国内のHIV陽性者について発表をおこないました。(報道は10月3日の共同通信)

 2006年末時点で米国内のHIV感染者は約110万人で、そのうち5人に1人は感染していることを知らないそうです。

 この数字は2003年末と比べると、3年間で約11万2千人が増加していることになります。この理由として、新規感染の増加と治療薬が普及して長期間生存できるようになったことが考えられます。また、検査が普及し早期発見ができるようになったことも理由のひとつと考えられています。

 感染者の4分の3は男性で、全感染者のほぼ半数は男性と性行為をする男性。全人口の12%にすぎない黒人が全感染者の46%を占めています。また、米国勢調査局によりますと、米国の最新の人口は約3億530万人で、UNAIDSの報告によりますと、2007年末時点の世界のHIV感染者は3320万人です。

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 仮に日本も感染者の5人に1人が気づいていないとすると、判っている日本のHIV陽性者は約1万5千人ですから、この1万5千人以外に約3,750人の自身の感染に気づいていない人がいるということになります。気になる方は一度検査を検討されてはいかがでしょうか・・・

(谷口恭)

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