医療ニュース
2013年8月3日 土曜日
2008年2月18日(月) 日本のHIV陽性者、またもや最多記録を更新
厚生労働省のエイズ動向委員会が、2月12日、2007年に新たに報告されたHIV感染者及びエイズ発症者の数を発表しました。
発表によりますと、2007年に新規にHIV感染がわかった人が1,048人、すでにエイズを発症していた人が400人で、合計1,448人となります。これは過去最多であり、感染者・発症者の合計報告数は2003年以降、5年連続で最多を更新し続けています。
1,448人の内訳は、男性が1,336人、女性が112人。感染経路は同性間の性的接触が849人、異性間の性的接触が367人、薬物の乱用によるものは6人です。年代は、30代が568人と最多で、20代348人、40代292人と続いています。
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報告から分かることは、日本のHIVの傾向として、男性同性愛者に多いことと、薬物の乱用が極端に少ないということです。
しかし、ハイリスクの人すべてが検査を受けているわけではありません。特に薬物乱用がわずか6人というのは少なすぎるように思われます。
いろんなところで指摘しましたが、日本は世界有数の”ドラッグ天国”です。また、私の印象で言えば、同性愛者に比べて異性愛者は性感染症に対する意識が低いように思えます。
「男性同性愛者に多い」「薬物乱用者が少ない」ということを裏からみれば、「(リスクのある性行為をしている)異性愛者」と「薬物乱用者」の意識が低いという言い方ができるのではないでしょうか・・・。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月18日(月) ニセ薬がインターネット上に大量に流通
2月16日の日経新聞によりますと、バイアグラやタミフルなどの偽物がインターネットで大量に流通していることが分かりました。
偽物の存在はFDA(米国食品医薬品局)の調査によって明らかにされ、日本向けサイトで「純正品のバイアグラ」とされているものも偽物であることが判りました。
日本の厚生労働省もこういったサイトの存在を把握しているようですが、「(業者の)場所が分からないので手を出せない」(監視指導・麻薬対策課)というのが現状のようです。
FDAが調査したサイトのなかで、インターネット上で流通しているダイエット薬に有効成分が入っていないことが確認されています。また、ED治療薬のシアリスの偽造品も確認されているようです。
偽造医薬品問題に詳しい専門家は次のようにコメントしています。
「専門家の指導で使うべき医薬品を個人で使うのは危険。外国語による使用法の説明や虚偽表示、日本語では誤記載があり、適正に使用できない。直接生命や健康にかかわる医薬品をネットで買うのはやめてほしい」
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このウェブサイトでも過去に何度か指摘しましたが、インターネット上で流通している医薬品のおよそ半数が偽物という報告もあります。
”直接生命や健康にかかわる医薬品”ということをお忘れなく・・・
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月19日(火) タイでデング熱が急増
タイ保健省によりますと、デング熱の罹患者が急増しており今年はすでに2,800人以上が感染し、そのうち4人は死亡しています。(報道は2月17日のBangkok Post)
デング熱が日本で発見されるのは、タイをはじめとするアジア諸国から帰国後に高熱が続くような場合です。
この感染症は、ネッタイシマ蚊と呼ばれる蚊によってデングウイルスが運ばれることによって発症します。したがって、東南アジアで蚊に刺されたときは要注意です。
蚊が媒介する病原体としてはマラリアが有名ですが(マラリアを媒介するのはハマダラ蚊という別の蚊です)、デング熱はマラリアに比べると発生頻度が高くてタイに滞在する外国人が感染することはまったく珍しくありません。
デング熱だけならそれほど大事にいたることはありませんが、「デング出血熱」という状態になれば命にかかわる事態にもなります。
現在流行しているデング熱のおよそ70%はバンコクを含むタイ中部に集中しているようです。
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「タイから帰国後発熱が続いて・・・」と言って、すてらめいとクリニックを受診される患者さんの多くはなぜかB型肝炎やHIVを心配しています。(これは”思い当たる行為”があるからでしょう・・・)
アジアから帰国後発熱したときは、「蚊に刺されなかったか」をまず考えるようにしてみましょう。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月19日(火) 喫煙が睡眠障害を引き起こす!
喫煙はおそらくニコチン離脱症状のために睡眠の質を低下させる・・・
このような報告が医学誌「Chest」2月号でおこなわれ話題を呼んでいます。(報道は2月11日のMedscape)
この研究は喫煙者の脳波を測定することによっておこなわれています。
喫煙者は非喫煙者と比べると、α波の割合が高く、δ波の割合が低いことが明らかにされています。これは、喫煙者では浅い睡眠の時間が長く、深い睡眠の時間が短いということを示しています。
他の様々な要因を考慮した結果、研究者らは、「喫煙が、年齢、性別、人種、身体測定値、カフェイン・アルコール摂取、併発疾患、精神衛生状態とは無関係に睡眠構築を変化させる可能性がある」と結論づけています。
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様々な喫煙の害が次々と明らかにされる中で、睡眠についての報告はこれまであまりなく、今回の発表がタバコをやめようとしている人のモチベーションにつながるかもしれません。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月19日(火) 自らの首をしめて82人が死亡
自分で自分の首を絞めると快感が得られるということをご存知でしょうか。
私はこのことを医学部の学生の頃、法医学の授業で学んで衝撃を受けました。法医学者の仕事のひとつに変死体の死因究明がありますが、法医学者は自室で首を絞められた若者の死体に遭遇したときに必ずこの可能性を考えるそうです。
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2月14日、米国CDC(疾病管理局)は、自分で首を絞めるなどして快感を得る遊びが原因で死亡するケースが近年急増し、1995年から2007年に米国内で少なくとも82人が死亡したことを発表しました。(報道は2月18日の共同通信)
死亡者の大半は10代の少年で、CDCは「”首絞めゲーム”の存在を親が知らない例が多い」として、家庭でも子供の行動に注意するよう呼びかけています。
CDCによりますと、死者は6-19歳で、特に11-16歳の少年に集中し、平均年齢は13歳となっています。経験者は「首を絞めることで高揚感が得られる」と話しており、絞めているうちに窒息してしまうといいます。
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少し前に流行った渡辺淳一氏の小説『愛の流刑地』のなかで、ヒロインの女性が性行為の最中に主人公の男性に首を絞めるよう懇願するシーンがあります。(そして実際に首を絞められて死んでしまいます) おそらく元医師の渡辺淳一氏は、首を絞めることによって得られる快感を知っていたのでしょう。
けれども、決してマネはしないように!!
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月19日(火) 不眠不休は脳にダメージ
ラットをほとんど眠らせないで5日間活動させると、脳内の下垂体(ホルモン分泌を司る部位)の細胞の一部が死滅することが、大阪市立大学の研究であきらかとなりました。(報道は2月18日の共同通信)
これは、強いストレスが過剰なホルモン分泌につながり、その結果細胞が働きすぎて死滅すると考えられるそうです。研究者らは、「人間にも同じホルモン分泌細胞がある」と指摘し、「徹夜勤務が続くなど過労が原因で起きる病気に関係しているかもしれない」とコメントしています。
しかし、ストレスを加えたラットを2,3日休ませると、分泌細胞は元通りに再生するようです。研究者らは、「早めに休み、疲れを溜め込まないことが大切」としています。
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私が就職活動をしていた1990年当時、「24時間働けますか」という言葉が流行語になっていました。あの頃は不眠不休で働くのが当たり前のような時代でしたが、その後バブル経済の崩壊と共に、「ゆとり」や「癒し」といった言葉が流行るようになりました。
この研究からも分かるように、適度な休息をないがしろにしていると、身体を痛めることになりますし、仕事の効率も落ちるでしょう。
「24時間働けますか」と問われていたあの頃よりも、勤務時間が長い今の私もやがて破綻してしまうのでしょうか・・・
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月25日(月) 出生数が再び減少
2月20日に厚生労働省が発表した人口動態統計の報告によりますと、2007年の年間の出産数は、前年比1,341人減の1,120,937人であることが分かりました。
2006年には出生数が6年ぶりに増加しましたが、再び減少したことになります。
合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の人数の推計値)は、2006年の1.32から1.33程度に回復する可能性が高いようですが、これは、子供を産む年齢層の女性人口が減っているからです。
死亡数は、前年比24,099人増の1,119,492人で、出生数から死亡数を引いた「自然増加」は、1,445人となります。
婚姻件数は、前年比10,890組減の737,127組で、5年ぶりに増加した前年から減少に転じています。離婚件数は、前年比2,475組減の258,876組で、5年連続減少しています。
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国が人口を維持するには、合計特殊出生率が2.1程度必要だと言われていますから、この統計をみても、日本は確実に人口減少の一途をたどっています。
婚姻数に占める離婚件数の割合が35%を超えているのも驚きです。単純に考えれば、3組に1組以上が離婚する計算になってしまいます。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月25日(月) 禁煙すれば緑茶が胃癌の予防に
緑茶をよく飲む女性は胃癌のリスクが3分の1に減少する・・・
厚生労働省の研究班が、2月22日、このような報告をおこないました。(報道は2月22日の共同通信)
この理由は緑茶のシブみ成分のポリフェノールにあるようです。今回の研究は、ポリフェノールの血中濃度を測定することによっておこなわれています。
喫煙との関係をみると、「ポリフェノールの血中濃度が高い非喫煙者は胃癌の危険性が低いが、血中濃度が高い喫煙者は逆に危険性が上がる」という結果がでています。
この調査は、岩手、秋田、大阪など9府県の40から69歳の男女約37,000人が対象となり平均12年の追跡がおこなわれています。この期間に胃癌になった人494人と、ならなかった人の血液を分析することによって研究がおこなわれました。
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喫煙との関係を別の言葉で現すと、「タバコを吸っていれば、たとえ緑茶をたくさん飲んでポリフェノールを積極的に摂取しても胃癌になりやすい」ということになってしまいます。
禁煙を考えている人は動機付けになりませんか?
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月25日(月) アメリカで日本人がはしかの感染源
米国CDC(疾病管理局)は、2月21日、昨年(2007年)夏にスポーツの国際大会で訪米した日本人の少年が感染源となって、米国内で日本人1人を含む合計6人がはしか(麻疹)を発症したことを発表しました。(報道は2月22日の共同通信)
CDCによりますと、2007年8月に米国東部で開かれた大会に、日本から12歳の少年が参加し、米国滞在中にはしかを発症し隔離されています。日本に住むこの少年の兄弟もはしかの症状を発症していたそうです。
国際大会では、主催者が海外参加者に対し、はしかの予防注射の証明書を提示させることを検討すべきだとしています。通常、日本以外の国では、はしかの予防注射が徹底していますから、近年の発生はほとんどありません。
米国の保健関係者は「日本ははしかを輸出している」とこれまでも度々非難してきています。
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海外ではしかを発症し、現地の人に感染させて隔離される・・・
この少年に罪はないでしょうが、はしかのワクチン接種がきちんとされていない日本の公衆衛生は非難されてもしかたがありません。
はしかだけではありません。B型肝炎ウイルスやインフルエンザのワクチン接種も日本は極めて低いのです。
日本で先進国なみにワクチンが普及するのはいったいいつになるのでしょうか・・・
参考までに、WHOは昨年、韓国がはしかの排除に成功したことを発表しています。
(谷口恭)
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|2013年8月3日 土曜日
2008年2月29日(金) はしか感染者が2200人に
昨年に引き続き、今年もはしか(麻疹)が大流行しそうであるというニュース(「はしか(麻疹)が今年も大流行の兆し」)をお伝えしたばかりですが、すでに今年の感染者が2,200人にのぼることがわかりました。(報道は日経新聞2008年2月27日)
国立感染症研究所は、「現状のままでは3月から4月にかけて流行がさらに拡大する可能性が高い」として、ワクチン接種をよびかけています。
感染者を地域別にみると、神奈川がトップで、以下、福岡、北海道、東京、秋田と続いています。また大阪と兵庫県でも感染者の報告が上昇しています。
感染者の約半数はワクチン接種をしていなかったそうです。
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ということは、感染者の半数はワクチン接種をしていたということです。
ワクチン接種をした後は、抗体ができているかどうかを確認する必要があります。
昨年は、はしかが大流行した季節には、抗体検査の需要が増えすぎて結果が出るまでにかなり時間がかかりました。また、ワクチンが不足して必要な人に接種することができませんでした。
気になる人は、まだ大流行にいたっていない今のうちに、抗体検査(+ワクチン接種)をおこないましょう。
(谷口恭)
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