医療ニュース
2013年8月10日 土曜日
2007年6月11日(月) 危険な輸入健康食品
先日、中国製のせき止めで100人以上のパナマ人が死亡したというニュースをお伝えしましたが、今度は中国製の健康食品で被害者が出たという事件が話題になっています。今回の被害者は日本人の幼児です。(報道は6月1日の共同通信)
この健康食品は、アトピー性皮膚炎に効くとされており、名前を「適応源(てきおうげん)」と言います。ベタメタゾンというステロイドが入れられており、このためこの健康食品を摂取した茨城県の幼児が、顔が丸くなる、体毛が濃くなるといった、ステロイドの副作用で苦しんでいるようです。
入手については、この幼児の母親がインターネットを通して上海の業者から個人輸入したそうです。
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危険な健康食品は中国産だけではありません。
6月2日の毎日新聞によりますと、名古屋市内の30代の女性がインターネットを通してタイから個人輸入したダイエット製品「MDクリニックダイエット」から、国内未承認のシブトラミンが検出されたようです。
この女性は、11,000円でこのダイエット製品を購入し服用していたところ、頭痛やめまいといった症状が出現し、市に相談したことで今回の事件が発覚しました。
厚生労働省のホームページによりますと、タイのインターネットから個人輸入されたダイエット製品に関して、2002年から2006年に全国で合計6件の健康被害が報告され、そのうち2005年6月には服用した神奈川県の女性が死亡しています。
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「シブトラミン」は、食欲を抑える働きがありますが、これは覚醒剤に類似した物質だからです。海外では、ダイエット用の医薬品として承認されているところもありますが、極度の肥満症の人に対して医師が厳格な管理をおこなうという条件でのみ認められています。
したがって、個人輸入をおこない自分の判断で服用するなどということは危険極まりない行為なのです。
個人輸入は医薬品であっても現在の日本の法律では合法ですが、危険性を考えれば安易に手をだすべきではありません。死亡するのは極端な例だとしても、まがいものをつかまされたり、危険な成分に苦しめられたりする可能性は少なくないのです。
参考:
ネット販売薬の半分はニセモノ 2007年2月20日
ダイエット用食品から未承認医薬品検出 2007年3月23日
中国製のせき止めで100人以上が死亡 2007年5月22日
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|2013年8月10日 土曜日
2007年6月11日(月) 善玉コレステロールは運動で増加する!
すてらめいとクリニックの患者さんの年齢層は比較的若いという特徴がありますが、特に20代・30代の男性の間で高コレステロール血症の患者さんが少なくないことにしばしば驚かされます。
中性脂肪が運動で比較的簡単に低下するのに対し、コレステロールの値を低下させるには食餌療法が適していると言われています。
しかし、コレステロールには善玉コレステロール(HDL)と悪玉コレステロール(LDL)があり(正確にはさらに細かい分類がありますが、ここでは「善玉」と「悪玉」に単純に分類します)、悪玉を下げて、善玉を上げるのが健康によいことが分かっています。
医学誌「Archives of Internal Medicine」5月28日号に掲載された論文によりますと、有酸素運動によって善玉コレステロールが有意に上昇することが分かりました。
この研究は東京大学の研究員らによっておこなわれ、これまでに発表されている25件の研究データを解析することによって今回の結論が導かれています。対象となった被験者はおよそ1,400人です。
研究者らは、善玉コレステロール値の改善には30分以上の運動が必要と結論しています。また、運動の強さは、今回の研究結果には影響を及ぼさないことが分かりました。すなわち、被験者が激しい運動を行ったかゆっくりとしたペースで運動したかは重要でないということです。
善玉コレステロールの増加が最も大きかったのは、肥満でない人と総コレステロールが高値の人だったようです。
*********
高コレステロール血症の診断基準が変わり、すてらめいとクリニックでは、コレステロール高値が疑われる人に対しては、初めから善玉コレステロールと悪玉コレステロールの値を測定するようにしています。
悪玉を食餌療法で減少させ、善玉を運動で増加させる・・・
程度にもよりますが、薬に頼る前にまずはこの治療法を試すべきでしょう。
参考:脂質異常症
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|2013年8月10日 土曜日
2007年6月11日(月) 日本の自殺者、9年連続で3万人超え
6月7日に発表された警察庁のデータによりますと、2006年の国内の自殺者は32,155人で、9年連続で3万人を超えたことがわかりました。
2005年に比べると397人(1.2%)減少しましたが、依然として異常な高さであると言えます。
年齢別では以下のようになっています。
60歳以上 11,120人(前年比2.1%増加)
50代 7,246人(前年比4.5%減少)
40代 5,008人(前年比3.8%減少)
30代 4,497人(前年比2.4%減少)
20代 3,395人(前年比0.4%減少)
19歳以下 623人(前年比2.5%増加)
(小学生14人、中学生81人、高校生220人)
高齢者と19歳以下の若者の間で自殺が増加している傾向にあります。
19歳以下で遺書を残した177人の自殺動機は、「健康問題」が46人で最多で、「学校問題」44人、「家庭問題」23人と続きます。
一方、60歳以上の遺書を残した3,485人の自殺動機は、「健康問題」2,073人、「経済・生活問題」670人、「家庭問題」354人となっています。
*********
マスコミが自殺を取り上げるとき、よく「リストラ」や「いじめ」が問題にされますが、実際は「健康問題」が最多であることはもっと注目されるべきだと思います。
人口あたりの自殺者は先進国のなかでは日本が世界一位です。この責任はわれわれ医療従事者にもあるでしょう。
「自殺」を考える前に、医療機関を受診してもらえれば・・・と切に願います。
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|2013年8月10日 土曜日
2007年6月11日(月) ω3脂肪酸が血圧低下に有用
以前から、ω(オメガ)-3脂肪酸が健康にいいと言われてきましたが、世界規模の調査で、ωー3脂肪酸が血圧を下げるとの結果が出て話題をよんでいます。
この研究は滋賀医科大学の社会医学教室が中心になっておこない、詳細は医学誌「Hypertension」に報告されています。
研究グループは、日本、中国、英国、米国の男女4,600人(40-59歳)を対象とし、主に聞き取り調査でωー3脂肪酸の摂取量と血圧の関係を調べています。
ωー3脂肪酸の摂取量が最高レベルであった参加者は、血圧が最低レベルにある傾向を示しています。この傾向は、高血圧でない人、及び血圧コントロールのための食事制限や薬物療法を受けていない人において特に顕著だったそうです。
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この研究で、ωー3脂肪酸の摂取は日本人で最も高いという結果が出ています。ωー3脂肪酸がたくさん含まれる食品は、亜麻仁、クルミ、サケなどの脂肪を多く含む魚などです。血圧が気になる方はこのような食品を積極的に摂取されればいかがでしょうか。
ただし食べすぎは禁物です。いくら身体によい食品を摂取しても、全体のカロリー摂取が高すぎて体重が増えれば血圧は上昇することを忘れないように・・・
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|2013年8月10日 土曜日
2007年6月19日(火) 緑茶をよく飲む人はカロリー過多!?
緑茶が健康にいいことは世界中でよく知られ、今や世界中の多くの人々が健康のために緑茶を飲んでいます。
ところが、その緑茶をよく飲む人ほどカロリーを摂りすぎている、という研究結果が発表され議論をよんでいます。
この調査は山形大学の研究チームによっておこなわれ、6月15日の毎日新聞が報道しています。
調査は、2004年から2005年に山形県に住む40歳以上の男女計約2千人を対象に、食事内容や日常の活動量などの生活習慣について聞き取りをすることによっておこなわれました。
その結果、緑茶を1日4杯以上飲む人の1日あたりの摂取エネルギーが2356キロカロリーだったのに対し、1日1杯以下の人は2153キロカロリーであることが分かりました。2005年の国民健康栄養調査によりますと、40歳から74歳の人の1日あたりの平均摂取エネルギーは、男性2176キロカロリー、女性1765キロカロリーですから、緑茶を1日に4杯以上飲む人たちの摂取カロリーは全国平均を大幅に上回っています。
研究チームは、「緑茶を多く飲む人は一緒に菓子を口にする傾向があり、カロリー過多になりがちであることが明らかになった。食事だけではなく、菓子など間食にも気を配ってほしい」、とのコメントをしています。
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そういえば、海外のコンビニで販売されているペットボトルなどの緑茶は、パッケージには日本語で「緑茶」と書かれていますが、ほとんどは砂糖がたっぷりと入っています。ということは、外国人は緑茶のなかに砂糖を入れることによって、日本人は緑茶とともにお菓子を食べることによって余分なカロリーを摂っているということになってしまいます。
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|2013年8月10日 土曜日
2007年6月23日(土) 急性Wii炎にご用心
2006年の年末に発売された任天堂のゲーム機「Wii」は、3月までに世界で584万台が売れたそうです。
Wiiは従来のゲーム機とは異なり、実際に身体を動かしてプレーするのが特徴です。テニスであれば、付属のコントローラーを振り回すことによってプレーをおこないます。
そのテニスゲームに熱中し右肩を痛めたスペインの医師が、その症状を「急性Wii炎」と名付け、6月7日発行の「The New England Journal of Medicine」という医学誌に発表し話題を呼んでいます。
Wiiはイギリスの研究者らが、「従来のゲームよりエネルギー消費量が多くダイエット効果が期待できる」との調査結果を発表し、「Wiiでダイエット!」というムーブメントも世界各地で起こっているようです。
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スペインの医師が右肩を痛めたのは、単なる使いすぎによる靭帯の損傷だと思われますが、「急性Wii炎」などと命名し、さらにそれが一流の科学誌に掲載されるのですから、任天堂も驚いていることでしょう。
何事もほどほどに・・・
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|2013年8月10日 土曜日
2007年7月4日(水) エコ症候群は4時間のフライトで危険倍増
エコノミークラス症候群という病気をご存知でしょうか。これは、エコノミークラスの客席のような狭いスペースで、同じ姿勢を長時間取り続けることによって血のかたまりができ、それが血管内を移動し、肺の血管をつまらせることで発症する病気です。
6月29日、WHO(世界保健機関)が、4時間以上のフライトでエコノミークラス症候群の危険性が通常のおよそ2倍になるという調査結果を発表しました。
長時間のフライトだけでなく、肥満、身長が190センチ超や160センチ未満の人、さらに避妊用ピルなども旅行によるエコノミークラス症候群のリスクになるとの発表もおこないました。
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”エコノミークラス症候群”などというと、飛行機に乗ったときに心配しなければならない病気のように聞こえますが、実際は、列車やバスでも起こりますし、自動車の中でも同じ姿勢でいれば起こりえます。
要するに、「同じ姿勢をとり続けることが最大のリスク」、であるというわけです。
尚、エコノミークラス症候群は、ロングフライト血栓症、旅行者血栓症などと呼ばれることもあります。医学的には、急性肺血栓塞栓症と言います。
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|2013年8月10日 土曜日
2007年7月17日(火) 睡眠薬で夢遊症状の恐れ
睡眠薬を飲んだ後、記憶がないまま車の運転や買い物をすることがある・・・
このような報告が相次いだため、今年の3月、米国食品医薬品局(FDA)は製薬会社に注意書きを求めるよう要請していました。
これを受けてなのか、日本の厚生労働省も先月と今月の2回に渡り、日本で発売されているすべての睡眠薬に対し、使用上の注意を改訂するよう指示をだしました。
睡眠薬で夢遊症状・・・、と聞くと大変怖く感じますが、一方では患者さんにとっては睡眠薬はなくてはならないものです。
すべての睡眠薬でこういった可能性があるわけですから、睡眠薬を飲むときには、「一度飲んだら朝まで眠り絶対に外出しない」というルールをつくって徹底すべきです。
私の経験から、もうひとつ大事なことがあります。
それは、「睡眠薬を飲んだときは携帯電話を切っておく」ということです。私は以前、ある睡眠薬を飲んだ翌日に携帯電話を見て驚いたことがあります。深夜に知人と電話で話していた記録が残っていたのですが、そのことをまったく覚えていなかったのです。
朝まで何にも邪魔されずに眠れる環境をつくった上で、使用を最低限にする。
これが睡眠薬と上手く付き合うコツと言えるでしょう。
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|2013年8月6日 火曜日
2007年7月30日(月) 肥満は伝染する?! 米国の大規模調査
友人や兄弟、妻や夫が肥満になれば、自らも肥満になる・・・
このような調査結果を、米国ハーバード大学などの研究チームが医学誌に発表し話題を呼んでいます。(報道は7月26日の共同通信。発表された医学誌の名称は報道されていません)
研究チームは、米国マサチューセッツ州でお互いに関係のある成人約12,000人の集団を約32年間にわたって追跡調査をおこないました。BMI(*1)が30以上の肥満となった人を取り巻く人間関係と、相手のBMIなどとの関係を統計的に解析しています。
その結果、友人が肥満になった人は、そうでない人に比べて肥満になる危険性が57%増加していることが分かりました。兄弟であれば40%、配偶者であれば37%の増加です。
さらに興味深いのが、男性の友人同士だと危険性は100%になるのに対し、女性の友人同士であれば38%にとどまり、また異性の友人同士では相関関係はないそうです。
研究チームは、「肥満への抵抗感がなくなってしまうことが一因で、先進国で社会問題となっている肥満が、親密な人間関係の中で広がる側面があることを示す結果だ」と分析しています。
********
この結果は日本にもあてはまるのでしょうか。太った夫とやせた妻、あるいはその逆のカップルは日本でよく見ますし、男性の友人同士で危険性が100%というのはにわかには信じがたいように思うのですが、みなさんの周りはいかがでしょうか。
*1 BMIはBody Mass Indexの略で、日本語にすれば「体格指数」となります。体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って算出します。例えば、体重88キロ、身長2メートルの人であれば、88÷4(2の2乗)=22となります。
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|2013年8月6日 火曜日
2007年8月4日(土) 13歳と18歳にもはしかのワクチン接種
今年のはしかのアウトブレイクを反省し、厚生労働省の検討会は、8月1日、来年度から予防接種法に基づくはしかのワクチンの追加接種を13歳と18歳におこなうことを決めました。
厚労省によりますと、追加ワクチン接種は2012年度まで5年間の時限措置として実施します。年間約240万人が対象で、接種費用は基本的には公費負担となります。
また、同年までに国内の流行をゼロにすることを目標とし、そのためにはしかの罹患者を全数把握するなどの対策も併せて決定しました。
はしかの予防にはワクチンの2回接種が有効とされ、昨年からは予防接種法に基づき小学校入学までに2回の接種を終えることになっていました。ところが実際には2回目の接種率が大変低く、さらに今春、接種が1回だった10-20代を中心にはしかが流行し、大学や高校で休校が相次ぎました。
今回の措置は、中高生にワクチンを集中的に追加接種し免疫力を高めるのが狙いです。計画通りに進めば5年後には、学校などで集団感染する恐れのある22歳以下は免疫がつくことになります。接種には風疹(ふうしん)との混合ワクチンを使用し、風疹対策も同時に実施する予定です。
********
このウェブサイトで何度か指摘しましたが、海外でははしかのワクチンは以前から2回接種するのが一般的です。お隣の韓国もワクチン2回接種を徹底したおかげで現在ではほとんど発症がありません。日本も早く”先進国”の仲間入りをしたいものです。
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