医療ニュース
2010年4月14日(水) 歩くのが速い女性は脳卒中を起こしにくい
1分間に80メートル以上で歩く女性は、普段歩かない女性と比べ脳卒中を発症する危険性が約4割低い・・・
これは米国ハーバード大学の研究者による大規模調査の結果です。医学誌『Journal of the American Heart Association』2010年4月6日号に論文が掲載されています。(詳細は下記参照)
研究は、米国在住の健康な女性39,315人(平均年齢54歳)を対象に、およそ12年間、歩行距離や歩行速度などを2~3年おきに申告してもらうことによりおこなわれています。調査期間中に脳卒中を発症した対象者は579人です。
分析の結果、歩く頻度を問わず、分速80メートル以上の人が脳卒中になる危険性は、普段歩かない人と比べて37%低いことが分かりました。分速53メートル以下のゆっくりと歩く場合では、危険性は18%の減少にとどまっていました。
しかし、週に2時間以上歩く人は、速度に関係なく、歩かない人に比べ30%低いという結果もでています。
さらに細かく見てみましょう。一般に「脳卒中」というのは「脳出血」と「脳梗塞」に分けることができます。(文脈によっては「くも膜下出血」を入れることもあります) 概して言えば「脳出血」の方が「脳梗塞」よりも死亡率が高いと言えます。その「脳出血」だけでみてみると、分速80メートルの人は、歩かない人に比べ危険性が68%も低く、週2時間以上歩く人は(速度に関係なく)歩かない人に比べて57%低いという結果がでています。
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これらをまとめてみましょう。まず、頻繁にそして速く歩くことで脳卒中を予防できる可能性が高く、速く歩けない人でもこまめに歩く習慣をもてばリスクを減らすことができる、ということになります。
分速80メートルは、時速で言えば4.8キロになります。フルマラソンを4時間で走る人でだいたい時速10キロです。意識して早歩きをするとすれば、男性なら時速6~7キロ、女性は時速5~6キロくらいだと思います。年齢やどのような病気をもっているかにもよりますが、時速4.8キロ(分速80メートル)はそれほどむつかしいことではないと思われます。ならば、日頃から少しだけ意識して、「できるだけこまめに、そして速めに歩く」、というのを心がければどうでしょうか。
尚、別の研究で男性について調べられたことがあるそうですが、男性では、歩行の頻度・速度と脳卒中の間に関連性は認められなかったそうです。
この論文のタイトルは、「Physical Activity and Risk of Stroke in
Women」で、下記URLで概略を読むことができます。
(谷口恭)
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