医療ニュース

2010年5月24日(月) 紅茶で大腸ガンのリスクが上昇?

 1日に4杯以上紅茶を飲めば、飲まない場合に比べて大腸ガン(結腸ガン)のリスクが1.28倍に上昇する・・・

 これは米国ハーバード大学公衆衛生学教室の研究者Xuehong Zhang氏らがまとめた研究結果で、医学誌『Journal of the National Cancer Institute』2010年5月7日号に掲載されています。(下記参照)

 研究では、北米と欧州で行われた13件の調査をもとに分析をおこなっています。対象者は合計731,441人(男性239,193人、女性492,248人)で、コーヒー、紅茶,加糖炭酸飲料の摂取と大腸ガン(結腸ガン)のリスクとの関係を検討しています。6~20年の追跡調査の結果、全体の大腸ガン発症数は5,604例です。

 分析の結果、コーヒーと加糖炭酸飲料では摂取とガンの間に関連性が認められなかったのに対し、紅茶4杯以上摂取したときにはガンのリスクが1.28倍になるという有意な結果がでています。

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 この論文では「tea」となっており、言葉だけみると紅茶か日本茶か分かりませんが、研究の対象者が欧米人のみですから、ここで言う「tea」は「紅茶」で間違いないと思います。

 一般に、紅茶には健康にいいとされているポリフェノールが多量に含まれていますから、この研究結果は大変意外です。実際、動物実験ではポリフェノールや紅茶によるガンの抑制効果が認められているものもあります。

 以前紹介しました別の研究では、コーヒーをたくさん飲むことによって大腸ガンのリスクが低下するというものがありましたが、今回紹介した研究ではそういう効果は認められなかったようです。

 このように、この手の研究は大規模であったとしても結果がいつも同じとは限りませんから、あまり信じすぎないようにすべきかもしれません。

(谷口恭)

注:上記論文のタイトルは、「Risk of Colon Cancer and Coffee, Tea,
and Sugar-Sweetened Soft Drink Intake: Pooled Analysis of Prospective
Cohort Studies」で、下記のURLで概要を読むことができます。

http://jnci.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/djq107v1?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=Xuehong+Zhang&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT

参考:
はやりの病気第30回「コーヒー摂取で心筋梗塞!」
はやりの病気第22回「癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!」
医療ニュース 2008年9月13日「子宮体癌の予防にコーヒーを」
医療ニュース 2008年6月30日「コーヒーはいいことばかり」

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