医療ニュース
2011年3月4日(金) 加工食品が子供のIQを低下
脂肪分、糖分の多い加工食品を小児に与えると、知能指数(IQ)の低下をもたらす・・・
これは、医学誌『Journal of Epidemiology and Community Health』の2011年2月7日号(オンライン版)に掲載された研究結果です。(下記注参照)
この研究では、1991~1992年に出生した小児を対象としたイギリスの大規模研究(Avon Longitudinal Study of Parents and Children)のデータを収集し解析を加えています。3、4、7、8.5歳時の子供の食事に関する質問に親が回答し、8.5歳時に知能検査をおこないIQが測定されています。(知能検査には「ウェクスラー小児用知能検査(Wechsler Intelligence Scale for Children)」という方式が採用されています)
食事の内容については、①脂肪、糖分、インスタント食品の多い「加工食品中心の食事」、②肉、野菜の多い「従来の食事」、③果物、野菜、サラダ、魚介類、米およびパスタの多い「健康を意識した食事」の3つに分類されています。
その結果、3歳時に「加工食品中心の食事」を摂取していた小児は、「健康を意識した食事」を摂っていた小児に比べて8.5歳時のIQが低いことがわかりました。加工食品の摂取量が1ポイント増加する毎にIQが1.67ポイント低下したのに対し、健康的な食品の摂取量が1ポイント増加する毎にIQが1.2ポイント上昇したとされています。一方、4~7歳時の食事による影響は認められていません。
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この研究の結論は、「子供にジャンクフードばかり食べさせると頭のいい子に育たない」ということなのでしょうが、私はこの論文を読んで、最近ミシェル・オバマ大統領夫人が取り組んでいる肥満対策「Let’s move」を思い出しました。
オバマ大統領夫人は、子供の給食に野菜や果物を中心としたものを取り入れることに尽力しているようで、この論文がオバマ夫人の食育運動の味方になるかもしれません。
この論文はイギリス発、オバマ夫人はアメリカですが、それでもなんとなく、医学と政治がつながっているのでは?と疑いたくなります。しかし、子供たちにジャンクフードではなく、栄養のあるものを食べてもらいたいというのは誰もが感じていることですから、私個人としてはこういった研究がおこなわれることにもオバマ夫人の行動にも賛成です。
ところで、日本の子供の食事は大丈夫なのでしょうか・・・。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Are dietary patterns in childhood associated with IQ at 8 years of age?
A population-based cohort study」で、下記URLで概要を読むことができます。
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