医療ニュース

2011年4月28日(木) 児童虐待を受けた経験5%

 18歳頃までに両親や同居者から虐待を受けた経験がある人は男性2.2%、女性は7.1%にもなる・・・

 これは、厚生労働省の研究班が2年に一度おこなっている「男女の生活と意識に関する調査」で明らかになったデータです。尚、この調査で虐待経験を尋ねたのは今回が初めてだそうです。

 この調査は2010年9月に16~49歳の男女約3千人を対象に実施されています。

 虐待の内容については、「心を傷つけるようなことを繰り返し言うなど<心理的虐待>」が66.2%で最多となっています。

 その他の虐待をみてみると、「殴る、蹴る、熱湯をかける、たばこの火を押しつけるなどの<身体的虐待>」が54.5%、「無視したり、食事を与えなかったりするなどの<養育放棄>」が15.6%、<性的虐待>は男性はゼロですが、女性は14.5%となっています。

 この調査では<虐待>と両親の離婚の関係が調べられています。<虐待>を経験した人のうち、両親の離婚の経験がある人の割合は36.4%で、虐待経験がない人は10.6%ですから3倍以上の開きがあることになります。また、<虐待>経験者は、中学生の頃に親との会話が少ないという傾向が認められたそうです。

 また、<虐待>を経験した人のなかで、自分で自分の体に傷を付ける<自傷行為>の経験者の割合は32.5%となっています。虐待経験がなく自傷行為を行ったことがある人が5.7%ですから5倍以上の差があることになります。

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 今回の調査ではおこなわれていませんが、このような<虐待>は世代伝播することが指摘されることもあります。また、「望まない妊娠」で産まれた子供が<虐待>を受ける傾向にあると言われることもあります。

 その他にも親がアルコール依存症や薬物中毒であったり、あるいは摂食障害、ギャンブル依存、セックス依存などがあったりすることとの関連も指摘されることがあります。

 ところで、虐待を加える親は虐待をしたくてしているのでしょうか。そんなはずはありません。虐待などしたくないのだけれど気づいたときには虐待してしまっている・・・、それが虐待の姿です。ですから、虐待を防ぐには「子供を親から守る」と同時に「親のケアをする」という視点が重要なのではないかと私は考えています。

(谷口恭)

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