医療ニュース
2011年9月26日(月) 中国でポリオが発生
中国の厚生省が同国でポリオウイルスが検出されたことをWHO(世界保健機構)に通知し、これを受けたWHOは2011年9月1日に公表しました(注)。
中国で検出されたポリオウイルスは合計4例で、いずれも新彊ウイグル自治区内の同一の県で確認されています。4例は生後4ヶ月から2歳の小児で、7月3日~27日の間に麻痺症状を呈しています。検出されたウイルスは、いずれもポリオウイルスの1型で、遺伝子検査により、これらのウイルスはパキスタンに常在するタイプとの関連が明らかになっているそうです。
中国ではポリオウイルスの野生株が最後に報告されたのは1999年でそのときはインドからの輸入症例だったそうです。また、同国内にもともと存在する野生株の最後の発症は1994年だったそうです。
今回の報告を受けて、国際調査チームが同国に派遣され、接触者の検体採取やワクチン接種の状況の調査をおこなう予定だそうです。
***************
日本では、ポリオウイルスの野生株が最後に検出されたのは1993年です。しかし、ワクチンの副作用でポリオウイルスに感染したときと同じような麻痺症状が出現することは(非常に稀ですが)あり得ます。(下記医療ニュースも参照ください)
このために現在おこなわれている「生ワクチン」ではなく、安全性の高い「不活化ワクチン」の導入が待望されています。成人には生ワクチンは危険性が高く接種できないために必要な人は不活化ワクチンを接種しなければならないのですが、現在日本では販売されていません。
ところで、生ワクチンはどれだけの期間有効なのでしょうか。現在もポリオウイルスの野生株が見つかるのはインドやその周辺国のパキスタンなどです。こういった地域に渡航するのであれば、日本を発つ前にまず抗体検査をおこない、抗体がなければ(小児期に接種したワクチンの効果が消えていれば)不活化ワクチンを接種すべきということになります。
いったいどれくらいの人が抗体が消えているのかというデータは見たことがないので、私自身が最近自分自身の抗体を調べてみました。結果は、ポリオウイルスの2型には抗体が形成されていたものの1型と3型は陰性でした。私が幼少時に接種したポリオワクチンの効果はすでに切れているというわけです。もしも私が新彊ウイグル自治区やインド、パキスタンに渡航すれば、ポリオウイルスに感染するかもしれないということになります。
現在議論されている不活化ワクチンが早急に承認されることを願いたいと思います。
(谷口恭)
注:この発表は下記のURLで読むことができます。
http://www.who.int/csr/don/2011_09_01/en/index.html
参考:医療ニュース
2010年2月22日 「神戸の9ヶ月男児がポリオを発症」
2011年5月30日 「不活化ポリオワクチンがついに導入か」
最近のブログ記事
- 2024年11月22日 アメリカンフットボール経験者の3分の1以上がCTEを自覚、そして自殺
- 2024年11月17日 「座りっぱなし」をやめて立ってもメリットはわずか
- 2024年10月24日 ピロリ菌は酒さだけでなくざ瘡(ニキビ)の原因かも
- 2024年10月11日 幼少期に「貧しい地域に住む」か「引っ越し」がうつ病のリスク
- 2024年9月19日 忍耐力が強い人は長生きする
- 2024年9月8日 糖質摂取で認知症のリスクが増加
- 2024年8月29日 エムポックスよりも東部ウマ脳炎に警戒を
- 2024年8月4日 いびきをかけば認知症のリスクが低下?
- 2024年7月15日 感謝の気持ちで死亡リスク低下
- 2024年6月30日 マルチビタミンで死亡率上昇?
月別アーカイブ
- 2024年11月 (2)
- 2024年10月 (2)
- 2024年9月 (4)
- 2024年8月 (1)
- 2024年6月 (2)
- 2024年5月 (2)
- 2024年4月 (2)
- 2024年3月 (2)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (2)
- 2023年8月 (1)
- 2023年7月 (3)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (2)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (2)
- 2022年12月 (2)
- 2022年11月 (2)
- 2022年10月 (2)
- 2022年9月 (2)
- 2022年8月 (2)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (2)
- 2022年5月 (2)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (2)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (2)
- 2021年12月 (2)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (2)
- 2021年9月 (2)
- 2021年8月 (2)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (2)
- 2021年4月 (4)
- 2021年3月 (2)
- 2021年1月 (2)
- 2020年12月 (3)
- 2020年11月 (3)
- 2020年9月 (2)
- 2020年8月 (2)
- 2020年7月 (1)
- 2020年1月 (2)
- 2019年12月 (2)
- 2019年11月 (2)
- 2019年10月 (2)
- 2019年9月 (2)
- 2019年8月 (2)
- 2019年7月 (2)
- 2019年6月 (2)
- 2019年5月 (2)
- 2019年4月 (2)
- 2019年3月 (2)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (2)
- 2018年11月 (2)
- 2018年10月 (1)
- 2018年9月 (2)
- 2018年8月 (1)
- 2018年7月 (2)
- 2018年6月 (2)
- 2018年5月 (4)
- 2018年4月 (3)
- 2018年3月 (4)
- 2018年2月 (5)
- 2018年1月 (3)
- 2017年12月 (2)
- 2017年11月 (2)
- 2017年10月 (4)
- 2017年9月 (4)
- 2017年8月 (4)
- 2017年7月 (4)
- 2017年6月 (4)
- 2017年5月 (4)
- 2017年4月 (4)
- 2017年3月 (4)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (4)
- 2016年12月 (4)
- 2016年11月 (5)
- 2016年10月 (3)
- 2016年9月 (5)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (4)
- 2016年6月 (4)
- 2016年5月 (4)
- 2016年4月 (4)
- 2016年3月 (5)
- 2016年2月 (3)
- 2016年1月 (4)
- 2015年12月 (4)
- 2015年11月 (4)
- 2015年10月 (4)
- 2015年9月 (4)
- 2015年8月 (4)
- 2015年7月 (4)
- 2015年6月 (4)
- 2015年5月 (4)
- 2015年4月 (4)
- 2015年3月 (4)
- 2015年2月 (4)
- 2015年1月 (4)
- 2014年12月 (4)
- 2014年11月 (4)
- 2014年10月 (4)
- 2014年9月 (4)
- 2014年8月 (4)
- 2014年7月 (4)
- 2014年6月 (4)
- 2014年5月 (4)
- 2014年4月 (4)
- 2014年3月 (4)
- 2014年2月 (4)
- 2014年1月 (4)
- 2013年12月 (3)
- 2013年11月 (4)
- 2013年10月 (4)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (172)
- 2013年7月 (408)
- 2013年6月 (84)