医療ニュース
2012年1月31日(火) ワインで長生きは正しくない?
飲酒が健康にいいか悪いかというのは昔からよく議論されることで研究結果も様々なものがあります。お酒の中ではワインがいいとされるものが多いのですが、最近はワインのみを特別視することが減ってきているような印象があります。
医学誌『Journal of Studies on Alcohol and Drug』2012年1月号(オンライン版)に掲載された米国テキサス大学のCharles Holahan氏の研究(注)もそのようなもののひとつです。
この研究の対象者は55~65歳の男女802人で、飲酒習慣によって3つのグループに分けられています。全く飲酒をしないグループの345人、主にワインを飲むグループの176人(飲酒量の3分の2以上がワインで1日1~2杯程度)、ワインはあまり飲まないが他のアルコールは適度に飲むグループの281人(飲酒量の3分の1以下がワイン)の3つのグループです。その後の寿命が20年にわたり追跡調査されています。
その結果、お酒を飲むグループは飲まないグループより有意に長生きしたことが分かったのですが、主にワインを飲むグループとワインはあまり飲まないグループでは、寿命に有意な差が認められなかったそうなのです。
単純に、ワインを飲むか飲まないかを比較すると、飲まないグループは飲むグループよりも死亡率が1.85倍も高いという結果が出たそうなのですが、対象者の特徴を詳しく分析してみると、ワインを飲まないグループは、より高齢で、男性の比率が高く、健康に問題のある人が多く、喫煙率が高く、社会経済的な地位が低く、積極的な運動もしていないという傾向が認められたそうです。そして、こういった要素を補正して分析しなおすと、ワインを飲む・飲まないでは差がなくなってしまったというわけです。
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この研究は対象者がさほど多くないためにどれほどの信憑性があるかは疑問なのですが、結果の見方をかえると、ワインをよく飲む人は、女性に多く、タバコを吸わず、健康上の問題がなく運動をしていて、社会経済的地位が高い、となってしまいますが、このようなことが本当に言えるのでしょうか。
フランス人はあぶらっこいものをよく食べるのに虚血性心疾患になりにくいことが「フレンチパラドックス」と呼ばれ、その原因が赤ワイン(によるポリフェノール)とされていましたが、最近はこれを疑問視する声も増えてきています。
もしかすると、フレンチパラドックスの本当の原因は、赤ワインにあるのではなく、フランス人が社会経済的な地位が高く、運動をよくおこない、タバコを吸わないからなのでしょうか。地位や運動はともかく、フランス人には私の知る限り喫煙者が多いような印象があるのですが・・・。
(谷口恭)
注:この論文のタイトルは、「Wine Consumption and 20-Year Mortality Among Late-Life Moderate Drinkers」で、下記URLで概要が読めます。
http://www.jsad.com/jsad/article/Wine_Consumption_and_20Year_Mortality_Among_LateLife_Moderate_Drinkers/4657.html
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