医療ニュース
2012年4月27日(金) 白米は糖尿病のリスク
白いご飯が好き、という人には悲しい研究結果です。(以前にも似た研究を紹介したことがあります。詳しくは下記「医療ニュース」を参照ください)
白米を食べれば食べるほど2型糖尿病(注1)のリスクが上昇する・・・。これは医学誌『British Medical Journal』2012年3月15日号に掲載された論文(注2)で発表された、我々日本人にとってはショッキングな報告です。
この研究は米国ハーバード大学公衆衛生学教室によっておこなわれています。これまでに発表された、白米と糖尿病の関連性について調べられた論文4つを総合的に分析(メタ解析)しています。4つの研究は、日本、中国、米国、オーストラリアのもので、対象者は合計352,384人になり、追跡年数は4~22年とされています。この間に、合計13,284人が2型糖尿病を発症しています。
白米摂取と2型糖尿病のリスクについてまとめると、東洋人では、白米をよく食べる人はあまり食べない人に比べて相対リスクは1.55倍、西洋人ではよく食べる人はあまり食べない人の1.12倍となり、全体ではよく食べる人は食べない人の1.27倍とされています。
尚、全体的に、男性より女性の方が、白米摂取で糖尿病のリスクが上昇する、という結論が導かれています。
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よく食べる人、あまり食べない人、というのはどれくらいの量を指すのか気になりますが、4つの研究ではそれぞれ数字が異なっています。日本で行われた研究では、男性では315g/日以下を最低摂取群(あまり食べないグループ)、560g/日超を最高摂取群(よく食べるグループ)とし、女性では278g/日以下を最低摂取群、437g/日以上を最高摂取群と設定されています。(ご飯中盛りいっぱいでだいたい150gです)
これに対し、中国では750mg/日以上を最高摂取群、500g/日未満を最低摂取群としています。一方、米国では112.9g/日以上を最高摂取群、5.3g/日未満を最低摂取群とし、オーストラリアでは(わずか)56g/日以上を最高摂取群、23g/日未満を最低摂取群としています。
これらを考えると、この論文では、東洋人は西洋人に比べて白米の糖尿病のリスクが高いと言っていますが、基準となる量がまったく異なっているわけですから、東洋人がハイリスクとは言い切れないのではないでしょうか。
しかし、他の穀物と白米を比べると、グリセミック指数(Glycemic Index)は、白米は64と高くなっています。他の穀物をみてみると、玄米は55、全粒小麦は41、大麦は25です。グリセミック指数は0~100で表され、高ければ高いほど食後の血糖値を上昇させやすくインスリンがたくさん分泌される指標です。(ブドウ糖は100です) ですから、白米が玄米や全粒小麦に比べると糖尿病を発症させやすいのは事実です。
では白米が好きな人が糖尿病にならないようにするにはどうすればいいのでしょうか。当たり前の話となってしまいますが、カロリー過多に注意して、禁煙して、適度な運動をおこない、定期的な健診を受ける、ということになります。
(谷口恭)
注1 2型糖尿病というのは生活習慣からくる糖尿病と考えて差し支えありません。遺伝的な要素も多分にありますが、生活習慣の改善で大部分は予防することができます。2型に対し、1型糖尿病というのは比較的若年者に発症し、自己免疫疾患であることが多く、生活習慣とは直接関係ありません。
注2 この論文のタイトルは「White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review」で、下記URLで全文を読むことができます。
http://www.bmj.com/content/344/bmj.e1454
参考:医療ニュース
2010年11月15日 「白いご飯で糖尿病のリスク上昇」
2010年6月20日 「白米→玄米で糖尿病のリスクが低下」
2012年3月9日 「禁煙後も5年間は糖尿病のリスク」
2011年2月4日 「1日1万歩で糖尿病のリスクが低下」
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