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2013年1月7日(月) やはり減量には脂肪を減らすのが有効

 ここ数年ブームになっている「糖質制限食」は、端的に言えば「糖や炭水化物の摂取を制限すれば減量できる」というものであり、もっと極端に「糖や炭水化物を抑えていれば脂肪は食べ放題」などと言われることもあります。
 
 しかし、糖質制限が実際にできるかどうかという問題がありますし(炭水化物の制限は容易ではないと感じている人が多い)、危険性を指摘する研究もあります(詳しくは下記コラムを参照ください)。
 
 スリムになるには脂肪摂取量を減らすだけでよい・・・

 このような研究結果が、医学誌『British Medical Journal』2012年12月6日号(オンライン版)に掲載されました(注1)。

 この研究は英国イースト・アングリア大学(University of East Anglia)ノリッジ医学部(Norwich Medical School)のLee Hooper氏らによりおこなわれました。

 研究では、これまでに先進国で実施された合計33の調査が総合的に解析されています(メタ分析)。調査の全対象者は73,589人に上り、33の調査の内訳は、北アメリカが20、ヨーロッパが12、ニュージーランドが1つです。(日本の調査はありません)
 
 これら33の研究を総合的に解析した結果、脂肪を減らすことにより、約1.6kgの体重減少が得られ、腹囲も減少したとの結果がでたそうです。さらに血圧低下が認められ、血中コレステロール値も有意に下がっていたそうです。
 
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 今回の研究では詳しく言及されていませんが、一言で「脂肪」といってもいろんなものがあります。基本的なことを確認しておくと、健康上好ましくない脂肪(つまり、体重やウエストを増やし、血圧や血中の脂質レベルを上げる脂肪)は「飽和脂肪酸」と呼ばれるもので代表的なのは肉の脂です。逆に、不飽和脂肪酸、そのなかでも青い魚に含まれる脂肪は高脂血症の治療に使われるくらいですから減量を目指す人も積極的に摂取すべき脂肪です。
 
 この研究結果は、あらためて言われなくてもわかっているようなことであり、驚くべきようなものではなく、なぜ『British Medical Journal』ほどの一流医学誌(注2)で取り上げられたのか、と私は感じました。(きちんと検証したわけではなく私の印象に過ぎませんが)どうも『British Medical Journal』はアンチ糖質制限の論文が多く掲載されるような気がします・・・。
 
(谷口恭)

参考:メディカルエッセイ第114回(2012年7月) 「糖質制限食の行方」

注1:この論文のタイトルは、「Effect of reducing total fat intake on body weight:systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials and cohort studies」で、下記のURLで全文を読むことができます。
 http://www.bmj.com/content/345/bmj.e7666

注2:ちなみに「5大医学誌」に数えられているのは、『British Medical Journal』の他、『JAMA (Journal of American Medical Association)』、『Annals of Internal Medicine』、『Lancet』、『New England Journal of Medicine』です。私は「JALの便(JALBN)」と覚えています。

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