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2013年1月30日(水) 腰痛の大半はストレスが原因

 腰痛の発症や慢性化には心理的なストレスが関与しており、画像検査などでも原因が特定できない腰痛が大半を占める…。

 これは昨年(2012年)、日本整形外科学会と日本腰痛学会が発表した診療ガイドラインの内容で、年末に一部のマスコミで報道されたことが原因なのか、患者さんから「私の腰痛もストレスなんですかね~」と言われることが増えてきました。
 
 腰痛の正式なガイドラインはこれまでなかったのですが、先に述べたふたつの学会が、2001年以降に発表された国内外の論文約4千件から厳選したおよそ200件を基にして策定したようです。
 
 ガイドラインでは腰痛を3つに分類しています。1つは、外傷や感染症、ガンなどが原因となっている腰痛、2つめは、麻痺やしびれ、筋力低下などを伴うタイプの腰痛、そして3つめが、原因をが特定できない腰痛で、これを「非特異的腰痛」と呼びます。
 
 そして3つめの非特異的腰痛は、職場での人間関係や仕事量、仕事上の不満、うつ状態など心理社会的要因が関与している、とされ、ストレスを軽減するためにものの考え方を変える認知行動療法などの精神医学療法が有効である、とまで述べられています。
 
 ガイドラインでは腰痛の検査についても触れられています。腰痛にはレントゲンやCT、MRIなどの画像検査をおこなうことがありますが、ガイドラインでは、すべての症例に画像検査をする必要はない、と述べられています。
 
 治療については、非特異的腰痛の場合、安静は必ずしも有効でなく、可能であれば普段の動きを維持し、慢性の腰痛であれば運動療法を積極的にすべき、といったことが言及されています。
 
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 たしかに、腰痛の患者さんにレントゲン撮影をしても異常が出ないことの方が圧倒的に多く、太融寺町谷口医院で言えば、腰痛を訴える患者さん10人がいたとすれば、すぐにレントゲン撮影をするのはそのうち1人くらいです。どのような場合に撮影をするかというと、上に述べられている2つのケース、すなわち感染症やガンの可能性を考えたときと、麻痺やしびれが伴っているときです。
 
 軽症から重症までひっくるめて統計をとれば、年齢にもよりますが、おそらく腰痛の大半は非特異的腰痛で、そのほとんどは画像撮影で異常が出ないでしょう。

 しかし、この原因を「ストレス」と言い切ったガイドラインに私は少し驚きました。私自身の印象でいえば、ストレスは腰痛の増悪因子になることはあっても、きっかけになるとはあまり考えていなかったからです。
 
 「背中や腰の筋肉や靭帯にかけられた負荷が積み重なって腰痛は起こります。だから腹筋と背筋を鍛えましょう」、非特異的腰痛の患者さんに、私はまずこのように話すことが多いのですが、これからは心理状態や労働環境の観点から話をすべきなのかもしれません。
 
(谷口恭)

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