医療ニュース

2013年3月4日(月) タバコは美白を遠ざける

 タバコが皮膚に悪影響を与えるということは以前から指摘されており、いくつかの皮膚疾患(特に掌踵膿疱症や尋常性乾癬など)の増悪因子になっていることには疑問をはさむ余地がありません。また、ヘビースモーカーの中高年女性の肌は老化が早いということは医療者からもしばしば指摘されます。しかし、皮膚の老化、ということに対して科学的に検証された研究はあまり見当たりません。
 
 タバコを吸う女性は、吸わない女性に比べてメラニン産生量が増えて色が黒くなる…

 このような研究結果が日本人の学者(岐阜大学のYuta Tamai教授)により発表され話題を呼んでいます。医学誌『Tobacco Control』2013年1月26日号(オンライン版)に掲載されています(注1)。
 
 この研究の対象となったのは、2003年10月~2006年3月に岐阜県の総合病院に健康診断で受診した20~74歳の女性939人です。健診時に喫煙状況などのアンケートをおこない、メグザメーター(Mexameter)という器械を用いて皮膚のメラニンの量が測定されています。
 
 その結果、喫煙者は、非喫煙者および喫煙経験者に比べてメラニンの量が有意に高いことが分かったそうです。1日当たりの喫煙本数、喫煙年数が多ければ多いほどメラニンの量も多いという結果になっています。
 
 この結果は、サンスクリーン(日焼け止め)の使用、肌にいいとされているビタミンや野菜摂取の状況、また脂肪の摂取などの条件を調節しても変わらなかったそうです。

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 メラニンを増やすのを防ぐために最も大切なのは、サンスクリーンをしっかりと塗布する、ということですが、タバコを吸っていると、吸わない人に比べてその効果が減少する、と理解すべきでしょう。
 
 美容のために厳しいダイエットに耐える、しかしタバコがやめられない、という人がときどきいますが、順番は逆だと考えるべきです。このような研究が、禁煙する女性が増えることにつながれば、と思います。
 
(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは、「Association of cigarette smoking with skin colour in Japanese women」で、下記のURLで概要を読むことができます。
 
http://tobaccocontrol.bmj.com/content/early/2013/01/25/tobaccocontrol-2012-
050524.abstract?sid=a59ddf87-261d-4f4b-8bd3-62ea71655034

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