医療ニュース

2007年2月3日(土) セレウス菌集団感染、病院は因果関係を否定せず   谷口 恭

昨年(2006年)の春から夏にかけて、栃木県のある大学病院でセレウス菌の院内集団感染が起こりました。合計24人が感染し、そのうち2人が死亡、1人が失明しています。2月2日の共同通信によりますと、この集団感染に関して、大学病院は「感染と死亡との因果関係が否定できない」とし、遺族に謝罪をおこないました。

 セレウス菌はそれほど強い毒性を持っていないため、通常は重症化することはありません。亡くなった2人は、もともと重い病気で免疫力が低下していたことがわかっています。今回のケースでは、大量のセレウス菌が患者さんの使っていたタオルやシーツから検出されており、これらを洗濯していたクリーニング業者の洗濯機が付着の原因とみられているようです。

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 セレウス菌は経口感染をします。要するに食べ物に付着している菌を口の中に入れることによって感染するのです。ですから、クリーニング業者の洗濯機にセレウス菌が付着しているだけでなぜ集団感染したのかが、新聞記事からはよく分かりません。

 参考までに、セレウス菌は下痢型と嘔吐型に分かれます。医学の教科書には下痢型が多いと書かれていることが多いのですが、日本では嘔吐型の方が多いと思います。原因の食べ物は、米、特に焼き飯が多いと思われます。ただ、ほとんどの場合は軽症ですので、下痢や嘔吐で外来を受診した患者さんのセレウス菌の検査は、集団感染を疑わない限りはおこないません。

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