医療ニュース

2007年1月31日(水) ALSのワクチン実用化の可能性   谷口 恭

ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病をご存知でしょうか。

 運動神経が侵され、感覚や知能ははっきりしたまま全身の筋肉が徐々に動かなくなり、進行すると食事や呼吸ができなくなります。重症化すると人工呼吸器が必要となることもありますが、現在のところ有効な治療法はありません。日本の認定患者は約7,300人で、イギリスの宇宙物理学者ホーキング博士が罹患していることでも有名です。

 ALSの1割は遺伝性で、日本とカナダのグループがこの遺伝性のALSのワクチンの開発に取り組んでいます。マウスを使った実験では延命効果が認められ、この結果は米科学アカデミー紀要電子版に1月30日に発表され、同日の共同通信が報道しています。

 研究グループによりますと、生後約11カ月でALSを発症し寿命が約13カ月のモデルマウスにワクチンとして使うと、使わないのと比べて寿命が約30日延びたそうです。研究グループは、「ヒトへの応用が可能で、早期治療が期待できる」としています。

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 私はこれまでALSの患者さんを何人かみてきましたが、呼吸管理が大変で長期入院を強いられるか、自宅療養の場合でも家族が相当大変な負担を強いられます。今回開発に成功したワクチンは遺伝性のALSのみに有効とのことですが、これからもこの難病の治療法が相次いで開発されることに期待したいと思います。

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