医療ニュース
2017年5月11日 白ワインは女性の酒さのリスク
医療者からみると「よくある疾患」なのに、あまりメディアなどでは取り上げられず知名度の低い皮膚疾患のひとつが「酒さ」です。酒さは顔面にできる慢性の炎症性疾患で治療に難渋することがしばしばあります。
ほとんどの患者さんは「なんでこんな病気になったのですか?」と尋ねます。遺伝的な要因を除外すれば、私の印象でいえば、一番多いのがステロイドの不適切な使用、二番目が紫外線です。飲酒が原因や悪化因子になるのもほぼ間違いありません。どのようなお酒がいけないのかについてははっきりしたことは分かっていませんが「ワイン」という説が有力です。
女性のアルコール摂取は酒さの発症因子。なかでも白ワインのリスクが高い…。
医学誌『Journal of the American Academy of Dermatology』 2017年4月1日号(オンライン版)にこのような研究が報告されました(注1)。
この研究の対象者は「看護師健康調査II」(Nurses’ Health Study II)と呼ばれる調査に参加した82,737人の女性で、追跡期間は14年(1991~2005年)、4年ごとに飲酒に関する情報が収集されています。追跡期間中4,945人が新たに酒さを発症しました。
酒さの発症とアルコール摂取量には相関関係がありました。1日あたり1-4グラムのアルコール摂取で酒さの発症リスクが1.12倍に上昇、30グラムだと1.53倍にもなっていました。アルコールの種類で分類してみると、白ワインのリスクが最も高いことがわかりました。
************
アルコール30グラムというのは、ビールなら大瓶1本、日本酒なら1.5合、ワインならグラスに2杯強といったところです。
男性についても大酒飲みが酒さになるのはおそらく間違いありませんが、今回の研究は女性のみを対象としたものであり、この程度の飲酒が男性でもリスクになるのかどうかは分かりません。
また、しっかりとした確証はないものの、赤ワインは酒さの(発症ではなく)「悪化」のリスクという説があります。
注1:この論文のタイトルは「Alcohol intake and risk of rosacea in US women」で、下記URLで概要が読めます。
最近のブログ記事
- 2024年11月22日 アメリカンフットボール経験者の3分の1以上がCTEを自覚、そして自殺
- 2024年11月17日 「座りっぱなし」をやめて立ってもメリットはわずか
- 2024年10月24日 ピロリ菌は酒さだけでなくざ瘡(ニキビ)の原因かも
- 2024年10月11日 幼少期に「貧しい地域に住む」か「引っ越し」がうつ病のリスク
- 2024年9月19日 忍耐力が強い人は長生きする
- 2024年9月8日 糖質摂取で認知症のリスクが増加
- 2024年8月29日 エムポックスよりも東部ウマ脳炎に警戒を
- 2024年8月4日 いびきをかけば認知症のリスクが低下?
- 2024年7月15日 感謝の気持ちで死亡リスク低下
- 2024年6月30日 マルチビタミンで死亡率上昇?
月別アーカイブ
- 2024年11月 (2)
- 2024年10月 (2)
- 2024年9月 (4)
- 2024年8月 (1)
- 2024年6月 (2)
- 2024年5月 (2)
- 2024年4月 (2)
- 2024年3月 (2)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (2)
- 2023年8月 (1)
- 2023年7月 (3)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (2)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (2)
- 2022年12月 (2)
- 2022年11月 (2)
- 2022年10月 (2)
- 2022年9月 (2)
- 2022年8月 (2)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (2)
- 2022年5月 (2)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (2)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (2)
- 2021年12月 (2)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (2)
- 2021年9月 (2)
- 2021年8月 (2)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (2)
- 2021年4月 (4)
- 2021年3月 (2)
- 2021年1月 (2)
- 2020年12月 (3)
- 2020年11月 (3)
- 2020年9月 (2)
- 2020年8月 (2)
- 2020年7月 (1)
- 2020年1月 (2)
- 2019年12月 (2)
- 2019年11月 (2)
- 2019年10月 (2)
- 2019年9月 (2)
- 2019年8月 (2)
- 2019年7月 (2)
- 2019年6月 (2)
- 2019年5月 (2)
- 2019年4月 (2)
- 2019年3月 (2)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (2)
- 2018年11月 (2)
- 2018年10月 (1)
- 2018年9月 (2)
- 2018年8月 (1)
- 2018年7月 (2)
- 2018年6月 (2)
- 2018年5月 (4)
- 2018年4月 (3)
- 2018年3月 (4)
- 2018年2月 (5)
- 2018年1月 (3)
- 2017年12月 (2)
- 2017年11月 (2)
- 2017年10月 (4)
- 2017年9月 (4)
- 2017年8月 (4)
- 2017年7月 (4)
- 2017年6月 (4)
- 2017年5月 (4)
- 2017年4月 (4)
- 2017年3月 (4)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (4)
- 2016年12月 (4)
- 2016年11月 (5)
- 2016年10月 (3)
- 2016年9月 (5)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (4)
- 2016年6月 (4)
- 2016年5月 (4)
- 2016年4月 (4)
- 2016年3月 (5)
- 2016年2月 (3)
- 2016年1月 (4)
- 2015年12月 (4)
- 2015年11月 (4)
- 2015年10月 (4)
- 2015年9月 (4)
- 2015年8月 (4)
- 2015年7月 (4)
- 2015年6月 (4)
- 2015年5月 (4)
- 2015年4月 (4)
- 2015年3月 (4)
- 2015年2月 (4)
- 2015年1月 (4)
- 2014年12月 (4)
- 2014年11月 (4)
- 2014年10月 (4)
- 2014年9月 (4)
- 2014年8月 (4)
- 2014年7月 (4)
- 2014年6月 (4)
- 2014年5月 (4)
- 2014年4月 (4)
- 2014年3月 (4)
- 2014年2月 (4)
- 2014年1月 (4)
- 2013年12月 (3)
- 2013年11月 (4)
- 2013年10月 (4)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (172)
- 2013年7月 (408)
- 2013年6月 (84)