医療ニュース
2016年7月11日 ザガーロはプロペシアに取って代わるか
男性を対象とした雑誌などではすでに話題になっているようですが、AGA(男性型脱毛症)の新しい治療薬が登場しました。「ザガーロ」という名称で、以前からあった「プロペシア(フィナステリド)」をもっと強力にした薬とされており、だいたいそのような理解で間違ってはいません。実際、プロペシアで効果が不十分だったけれど、ザガーロに変更して発毛効果が認められたとする研究もあります。
医学誌『International Journal of Dermatology』2014年6月5日号(オンライン版)(注1)によりますと、プロペシア(フィナステリド)で効果が認められなかった症例の8割近くでザガーロの有効性が認められています。
研究の対象者は韓国人男性です。プロペシアで効果なくザガーロを半年間内服した31人のうち、24人に有効性が認められたそうです。(17例はやや改善(slightly)、6例は中等度改善(moderately)、1例は大きく改善(markedly)とされています) 残りの7人は著変なく、悪化した症例はゼロのようです。発毛の評価はカメラを用いた客観性を担保した方法が採用されています。毛髪の密度は10.3%、太さは18.9%の改善が認められています。副作用は、一過性の性機能不全が6人(17.1%)に生じています。
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過去に、プロペシアとザガーロ(アボルブ)の比較研究を紹介しました(注2)。その結果もザガーロの方が有効とされていました。ということは、新たにAGA治療を開始するときにはザガーロを選択したいと誰もが考えるでしょう。
しかしそうはならないのではないかと私はみています。現在プロペシアには後発品(ジェネリック薬品)があり、価格は1箱(28日分)でだいたい6千円くらいです。ところがザガーロには後発品がなく、価格は1箱(30日分)で9千円近くもします。1日あたりでみれば80円程度の差ですが、これが何か月も何年もとなると馬鹿になりません。また、ザガーロとまったく同じアボルブという前立腺肥大症の薬があり、これはザガーロよりは安いのですが、AGAには承認されておらず、自己判断で内服すると大きな副作用が出たときに保障されないという問題があります。
どちらを選択するかは、個人の考えということになります。それ以前にAGAは病気ではありませんから、それだけ高いお金を払ってまで治療をすべきかという根本的な問題もあります。さらに軽度とはいえ副作用もありますから、治療開始には充分に慎重になるべきです。
注1:この論文のタイトルは「Effect of dutasteride 0.5 mg/d in men with androgenetic alopecia recalcitrant to finasteride」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijd.12060/abstract
注2:下記「医療ニュース」のなかで取り上げています。
医療ニュース2014年3月17日「AGAにはプロペシアよりアボルブが有効?」
参考:トップページ「薄毛・抜け毛を治そう」
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