医療ニュース

2016年2月8日 ジカウイルスでギラン・バレー症候群

 2015年12月25日の「医療ニュース」で、ブラジルでジカ熱がアウトブレイクしていること、ジカウイルスに妊娠中の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんが「小頭症」といって成長障害や知的障害を伴う状態になる可能性があることをお伝えしました。

 今回はその続編です。2016年2月1日、WHO(世界保健機関)は、ジカウイルス感染症に対し、いわゆる「緊急事態宣言」を発表しました。日本政府も、この発表を受けてなのか、2月5日、ジカ熱を感染症法の「4類感染症」に指定することを決めました。医師がジカウイルスに感染している患者を診察すれば、保健所に届け出ることが義務付けられます。

 ジカ熱自体は、発症してもたいした症状がでずに、日頃健康な人であれば何もしなくても自然に治ることがほとんどです。問題はジカウイルスに感染したときに生じるかもしれない「小頭症」、そして現在もうひとつ指摘されているのが「ギラン・バレー症候群」です。

 ギランバレー症候群は、「はやりの病気第73回(2009年9月)」で紹介しましたから、ここでは詳しく取り上げませんが、女優の大原麗子さんが長年患っていた全身の神経が障害される死亡することもある疾患です。

 現時点では、小頭症もギランバレー症候群も100%ジカウイルスが原因と断定されたわけではありません。しかし、その可能性は極めて強く、リオデジャネイロ五輪観戦を楽しみにしている人は注意が必要です。

 ワクチンも予防薬も治療薬もありません。蚊対策(注1)が唯一の対策です。

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 ジカ熱及びジカウイルス感染症については、毎日新聞ウェブサイト版「医療プレミア」の私が書いているコラムでも取り上げます。2月10日11日に公開予定です。

注1:下記を参照ください。

トップページ→旅行医学・英文診断書など→〇海外で感染しやすい感染症について
→3) その他蚊対策など

参考:
医療ニュース2015年12月25日「ブラジルで小頭症をきたすジカ熱がアウトブレイク」
はやりの病気第73回(2009年9月)「ギラン・バレー症候群」

 

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