医療ニュース

2016年1月28日 夜勤あけは交通事故を起こしやすい

 夜勤が肥満や生活習慣病のリスクになるということは過去にも述べました(下記「医療ニュース」参照)。今回は、夜勤勤務者が交通事故に遭遇しやすいという研究を紹介したいと思います。

 医学誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』2015年12月22日号(オンライン版)に論文(注1)が掲載されています。

 研究の対象者は夜勤勤務の16人です。閉鎖されたコースで2時間の運転テストが2回行われています。1回目のテストは、夜勤をせずに平均7.6時間の睡眠をとった後に実施され、2回目のテストは夜勤あけにおこなわれています。

 結果、夜勤あけの運転テストでは、37.5%が急ブレーキを使用し、43.8%が運転テストを続けることができずテストを中断しています。また、運転能力の低下は、運転開始から15分以内に出現していたようです。

 米国では労働者の15%に相当する950万人以上が夜勤勤務に従事しており、居眠り運転は交通事故死の21%を占め、重大な障害事故の13%に関連しているそうです。

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 以前から何度も述べているように、最も健康的なライフスタイルは「同じ時間に起きて同じ時間に寝る」ということです。夜勤の有害性はこれからも報告が相次ぐでしょう。しかし、夜勤は誰かがやらねばならないわけです。日本では、高齢者が「他に仕事がない」という理由で、シフト勤務のガードマンやメンテナンスの仕事をおこなっている人が少なくありませんが、健康リスクの高い高齢者にこのような仕事をやってもらっていいのか、一度社会全体で考えてみるべきだと思います。

注1:この論文のタイトルは「High risk of near-crash driving events following night-shift work」で、下記URLで全文を読むことができます。

http://www.pnas.org/content/113/1/176.full?sid=7c894e9b-bb67-472b-b8e3-5078982453c2

参考:
メディカルエッセイ第128回(2013年8月)「同じ時間に起きて同じ時間に寝るということ」
医療ニュース2014年12月26日「夜勤は肥満のリスク」

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