医療ニュース
2015年9月4日 電子タバコ、有害でなく禁煙補助にも有効?
電子タバコ、どう思いますか?
この質問を受けたとき私は「有害性も報告されていますし、禁煙ツールに使えるという話もあるようですが、それを示す証拠もないようですし、決して勧められるものではありません」と答えています。
実際、米国FDA(食品医薬品局)も日本の厚生労働省も電子タバコの危険性を勧告しています。(下記医療ニュース参照)
ところが、です。イギリスの保健省が「電子タバコの危険性は低く禁煙支援ツールになり得る」という発表を正式におこないました。2015年8月19日、同省の公式サイトに発表されています(注1)。
同省のサイトによりますと、電子タバコは従来のタバコに比べて有害性が95%も低く、さらに禁煙ツールになるかもしれない(have the potential to help smokers quit smoking)と断言しているのです。
この理由として、同省が調査した結果、従来のタバコが持っている有害な化学物質のほとんどが電子タバコには含まれていないことを挙げています。
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この発表を読んだとき、私は、これは世界中で議論を呼んで大きな論争になるに違いないと感じました。ところが、実際はそうでもなく、日本も含めてメディアはあまり大きく取り上げていないようです。
なぜいまひとつ注目されないのかは分かりませんが、イギリス保健省のこの発表は大変重要だと私は考えています。
なぜなら、「禁煙ツールになる可能性がある」と断言しているからです。禁煙を始めたいという人には禁煙補助薬があり、保険適用もありますが、それでも安いわけではなく(とはいえタバコの値段よりは遙かに安いですが)、副作用もないわけではなく、飲み薬(チャンピックス)の場合はその間、車の運転をやめなければなりません。
もしも電子タバコで禁煙できるとなると、費用は安いですし(高いものもあるようですが)、副作用はほとんどないでしょうし(イギリス保健省は従来のタバコに比べ95%も有害性がないといっているのですから)、運転もできますし、医療機関で実施する禁煙治療よりも先に試してみたいという人は少なくないでしょう。というより、禁煙を考えているほとんどの人が先に電子タバコを試すに違いありません。
私は元喫煙者で現在は吸っていませんが、もしも禁煙を考えているときにこの記事を読んだとすれば電子タバコで禁煙を試みた思います。さらに、(従来のタバコの)禁煙が成功した後も、電子タバコを吸い続けることも考えるかもしれません。
しかし、これまでの各国の調査から、有害性の高い電子タバコが存在するのもまた事実です。ということは、どの電子タバコが安全なのかを明らかにし、本当に禁煙ができるのかどうかを長期的な観点から検証していく必要があるでしょう。
注1:イギリス保健省のこのウェブサイト(GOV.UK)でこの発表を読むことができます。タイトルは「E-cigarettes around 95% less harmful than tobacco estimates landmark review」で、下記のURLで全文を読めます。
参考:医療ニュース
2015年7月15日「電子タバコ、未成年には禁止すべきでは?」
2013年10月5日「電子タバコは本当に有効なのか」
2009年7月31日「「電子タバコ」はやはり危険!」
2008年9月26日「「電子タバコ」に要注意!」
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