医療ニュース
5月29日 座りっぱなしの危険性は1時間に2分の歩行で解消?
なぜか日本のマスコミはあまり報道しませんが、海外(特にアメリカ)ではここ数年、「座りっぱなし」のリスクがよく取り上げられています。以前にも紹介しましたが(下記「メディカル・エッセイ参照)、「座りっぱなし」の生活は、高血圧や糖尿病のリスクを上げ、死亡率も上昇させることが指摘されています。
しかもやっかいなことに、この「座りっぱなし」のリスクは、定期的な運動をしていても下がるわけではなく、その運動の健康へのベネフィットを帳消しにするとされているのです。(もっとも、運動をすることにより座りっぱなしのリスクを軽減するという研究もあります。下記「医療ニュース」を参照ください)
歩行など軽度な活動を1時間に2分間おこなうと「座りっぱなし」のリスクが解消される・・・
このような研究結果が医学誌『Clinical Journal of the American Society of Nephrology』2015年4月号(オンライン版)に掲載されました(注1)。
米国ユタ大学の研究者によっておこなわれたこの調査は、3,623人(うち383人は慢性腎臓病)を対象としています。
分析した結果、ただ単に立っているだけでは効果がないものの、激しい運動をしなくても、歩行などの軽度の運動を1時間に2分間おこなうと座りっぱなしのリスクを軽減できることが判ったそうです。
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1時間にわずか2分でいいなら、仕事中に少し遠回りしてトイレに行くとか、別の部署に行くのに階段を使うとか、そういった工夫でできそうです。
しかし、この研究は、1時間に2分の歩行で「十分」と言っているわけではありません。定期的な運動が必要であることは自明ですし、また、この研究がすべてではありません。
「座りっぱなし」については、どれだけ座れば何がどれだけのリスクなのかということは不明な点が多いですし、また運動をしてもリスクは下がらないのか、ある程度は下がるのか、下がるとすればどの疾患がどの程度下がるのかについてなどよく分からないことが多いと言えます。また、被験者に長時間何日間も座りっぱなしを維持させるのも困難でしょうから、大規模比較試験をおこなうというのも現実的ではありません。
現時点で言えることは、日々定期的な運動をおこなうこと(毎日が望ましいですが、週あたりで考えてもいいと思います)、できるだけ座りっぱなしを避けて休憩をこまめにとる、ということでしょう。
可能なら、立ったまま仕事ができれば尚いいと思います。アメリカの映画に出てくるような、ノートパソコンが置かれたバーカウンターだけがあって従来の机や椅子がないようなオフィスが望ましいのかもしれません。
注1:この論文のタイトルは「Light-Intensity Physical Activities and Mortality in the United States General Population and CKD Subpopulation」で、下記URLで概要を読むことができます。
参照:
メディカルエッセイ第129回(2013年10月)「危険な「座りっぱなし」」
医療ニュース(2014年8月22日)「運動で「座りっぱなし」のリスクが減少する可能性」
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