医療ニュース
2014年8月22日 運動で「座りっぱなし」のリスクが減少する可能性
あまり日本のマスコミでは報道されませんが、「座りっぱなし」の生活が生活習慣病の大きなリスクになるということを過去何度かお伝えしてきました。(下記メディカルエッセイなど)
座りっぱなしのリスクが難儀なのは、ただ座って過ごす、それだけで健康を害するリスクが上昇し、食事に気をつけようが、運動を定期的におこなおうが、このリスクが軽減しない、ということが指摘されているからです。
ただ、現代人の生活をするのであればまったく座らないというわけにはいきませんし、常識的に考えれば、座りっぱなしの時間をほどほどにして循環動態がよくなる有酸素運動などをおこなえば少しくらいはリスクが下がるのではないの?と思う人もいるでしょう。(実は私もそう思います。というか「思いたい」です。なぜなら、仕事にしても読書にしても映画にしても、ある程度長時間座る生活を完全にやめることはできないからです)
そのような”期待”に応えてくれるかもしれない論文が公表されましたのでお知らせ致します。
座りっぱなしの生活をしていても、フィットネスの時間もとれば健康への長期的影響が少なくなる可能性がある・・・。
これは医学誌『Mayo Clinic Proceedings』2014年7月14日(オンライン版)に掲載された論文(注1)で述べられていることです。
この研究では、米国テキサス州ダラスにあるクリニックの男性患者約1,300人が対象とされています。テレビを見て過ごす時間と車に乗っている時間(つまり「座りっぱなし」の時間)を問診で調査し、運動との関連を調べています。
その結果、フィットネスクラブなどでの運動を積極的におこなっている人は高血圧などのリスクを低下させる可能性があることが分かったそうです。
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この論文を読めば多少ほっとできる人も少なくないのではないでしょうか。「座りっぱなし」が挽回のしようのない健康上のリスクファクターならば、映画館では立ち見が、バーに行くなら立ち飲みが基本になってしまうかもしれません。
しかし、この論文でもリスクを減らす可能性があると言っているだけで、「座りっぱなし」が生活習慣病のリスクであることには変わりありません。デスクワークをしている人なら、定期的に立ち上がる癖をつける、とか、ドライバーの人なら信号待ちの時間に腰を上げてみる、といった取り組みはやるべきでしょう。
もちろん定期的な有酸素運動も誰もがすべき、と私は考えています。
(谷口恭)
参考:メディカルエッセイ第129回(2013年10月)「危険な「座りっぱなし」」
注1:この論文のタイトルは「Sedentary Behavior, Cardiorespiratory Fitness, Physical Activity, and Cardiometabolic Risk in Men: The Cooper Center Longitudinal Study.」で、下記URLで全文を読むことができます。
http://www.carenet.com/news/general/hdn/38415?utm_source=m1&utm_medium=email&utm_campaign=2014072700
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