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2014年1月6日 ナッツを毎日食べると健康で長生き

 ナッツを食べるべきか食べないべきか、については意見が分かれるところだと思います。ナッツはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、地中海ダイエットのメイン食品のひとつですから、健康に、あるいはダイエットに積極的に摂取する、という人がいます。

 一方、ナッツはカロリー過多で太る、あるいはナッツは肌荒れやニキビの原因になると考えて、健康とダイエットのためにあえて避けている、という人もいます。私の知る限り、ナッツで肌荒れやニキビを起こすと書かれた論文などは見たことがなく、これは単なる「噂」だと思うのですが、実際にナッツを食べる(食べ過ぎる)とニキビができやすくなると言う患者さんがいるのも事実です。

 最近、ナッツ摂取量と死亡率、さらにいくつかの疾患の罹患率との関係について大規模調査がおこなわれましたので報告します。医学誌『New England Journal of Medicine』2013年11月13日号(オンライン版)によりますと、ナッツ摂取の頻度が多ければ多いほど(つまり毎日食べるほど)総死亡率やガンなどの疾患による死亡リスクが低下することが判ったそうです(注1)。

 この調査は、米国の女性看護師121,700人を対象とした健康調査(The Nurses’ Health Study (NHS)と命名されています)と、 男性の医療従事者51,529人を対象とした調査( The Health Professionals Follow-up Study (HPFS) と命名されています)の2つを分析することによっておこなわれています。対象者から、ナッツの摂取量が不明な人、心疾患や脳卒中などを起こしたことがある人などが除かれ、最終的には女性76,464人と男性42,498人の分析がおこなわれています。追跡期間中に死亡したのは女性16,200人、男性11,229人だったそうです。

 総死亡率については、ナッツをまったく摂取しない人と比較すると、週に1回未満の摂取で7%の低下、週に1回の摂取で11%、週2~4回で13%、週5~6回で15%、週7回以上の摂取で20%と、摂取する頻度が高ければ高いほど総死亡リスクが低下していることがわかります。

 ガンによる死亡については、ナッツをまったく摂取していない人と比べて、週7回以上の摂取で11%低下しており、心臓病による死亡については25%の低下、呼吸器疾患による死亡では24%低下しています。

 さらに、体重増加との関係についても、ナッツの摂取量が多い人ほど体重は減少していたそうです。論文の著者が「ナッツの食べ過ぎは体重増加の心配があるだろうが」と書いていますから、アメリカでも多くの人がナッツは太ると考えているのでしょう。

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 ナッツを食べると肥満を防げて、病気にもならずに長生きできるとなるといいことばかりです。しかも、この研究は対象者が少なくありませんから説得力があります。

 ナッツと聞いて気になるのは塩分との兼ね合いです。塩辛い味が好みの我々日本人は塩分摂取量には注意すべきでしょう。気になる人は塩分無添加のナッツを考えてみてもいいかもしれません。(ただし、完全な食塩無添加ナッツを美味しく食べられるか、というところが気になりますが)

 ちなみに、何を食べるとどれだけ太るかという研究が同じ医学誌『New England Journal of Medicine』2011年6月23日号(オンライン版)に掲載されており(注2)、ここでもナッツは4年間で0.57ポンド(258グラム)の体重減少とされています。最も体重が増えたとされているのがポテトチップスの1.69ポンド(766.57グラム)です。

 ということは、ソファーに座りながら、あるいは新幹線の座席でビールのつまみにポテトチップスを食べているという人はナッツに変更すべき、となるのかもしれません。

(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは「Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1307352#t=articleTop

注2:この論文のタイトルは「Changes in Diet and Lifestyle and Long-Term Weight Gain in Women and Men」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1014296#t=articleTop

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