医療ニュース

2013年12月6日 平均寿命2位、自殺ワースト4位、健康自覚度ワースト1位

 OECD(経済協力開発機構)は国際経済について統計を出したり協議をしたりする国際組織ですが、医療に関するデータ分析もおこなっています。2013年11月21日、2013年版の医療に関する統計を発表しましたので、かいつまんで紹介したいと思います(注1)。

 世界的に平均寿命が延長しており、OECD加盟国全体での平均寿命が80歳を超えています。(正確にいうと、女性では82.8歳、男性は77.3歳です。また、念のために付記しておくと、OECDに加盟しているのは先進国と一部の中進国だけですから、世界全体での平均寿命がこんなに高いわけではありません)

 日本の平均寿命は82.7歳でスイス(82.8歳)についで世界第2位です。死因をみてみても三大疾病の2つである虚血性心疾患(心筋梗塞など)と脳血管疾患(脳梗塞や脳出血)での死亡率は世界平均を下回っています。悪性腫瘍については他国と同様です。

 交通事故死や新生児死亡も日本は他国よりも少ないのですが、日本の死因で問題なのは自殺でワースト4位(人口10万人対20.9)になります。ちなみに、自殺ワースト1位は韓国で(33.3)、2位がハンガリー(22.8)、3位がロシア(22.5)です。

 OECDの調査で興味深いのは「健康自覚度(perceived health status)」の調査があることです。健康自覚度がもっとも低いワースト1位の国はなんと我が国で、健康の自覚がある人はわずか30%しかいません。

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 この統計「Health at a Glance 2013」はたいへん読みやすくて興味深く時間があれば隅から隅まで読みたくなってきます。関心のある方は是非参照してみてください。

 上ではポイントをごく簡単に述べましたが、もう少し補足しておくと、自殺については日本が4位であるということよりも、韓国が2位のハンガリーと大きく差をつけて飛び抜けて高いことが興味深いと言えます。「Health at a Glance 2013」の35ページのグラフをみれば韓国の自殺の異常な様子が一目でわかります。

 健康自覚度は日本がワースト1位で、韓国がワースト2位です。ちなみに1位はアメリカで、これが私には意外でした。アメリカ人が不健康と断定したいわけではありませんが、アメリカ人には肥満が多く、実際に虚血性心疾患での死亡率はOECD平均よりも高くなっているのです。アメリカ人はのんきというか楽天的なのでしょうか。

 虚血性心疾患のデータも興味深く、死亡率が最も少ないのは日本です。2位は韓国で、ここでも日本・韓国の相同性がみてとれます。しかし、興味深いのは1990年からの比較で、日本では32%減少しているのに対し、韓国では逆に60%も増加しているのです。ちなみに虚血性心疾患での死亡第1位はスロバキアで日本の約10倍です。

(谷口恭)

注1:この統計のタイトルは「Health at a Glance 2013」(あえて訳すとすると「一目でわかる医療」とでもなるでしょうか・・)で下記のURLですべてのページを読むことができます。
http://www.oecd.org/els/health-systems/Health-at-a-Glance-2013.pdf

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