医療ニュース
9/2 コーヒーの飲み過ぎで死亡リスク増加?
コーヒーは、様々なガンの予防になり、高血圧や糖尿病のリスクを軽減させる、など、最近は「コーヒーは身体によい」という研究が相次いでいます。従来懸念されていた胃などへの悪影響もないという研究(下記医療ニュース参照)も発表され、コーヒーはいいことずくし、というような流れにありますが、米国でコーヒーの否定的な研究が発表されましたので報告いたします。
55歳未満の人は、1日4杯以上のコーヒー摂取で全死亡リスクが上昇する・・・
これは米国サウスカロナイナ大学公衆衛生学校のJunxiu Liu氏らによる研究結果で、医学誌『Mayo Clinic Proceedings』2013年8月19日号(オンライン版)に掲載されています(注1)。
この研究の対象となったのは、43,727人のアメリカの一般住民です。(年齢は20~87歳。男性33,900人、女性9,827人です) 調査期間は1971年2月から2002年12月で、コーヒーの摂取量を含む生活習慣、本人と家族の病歴などが調べられています。コーヒーの摂取量については、「摂取しない」「1週間に7杯未満」「1週間に8~14杯」「1週間に15~22杯」「1週間に22~27杯」「1週間に28杯以上」の6つのグループに分類されて解析されています。
調査期間中(中央値は17年)に死亡したのは2,512人(男性87.5%)で、そのうち32%が心筋梗塞など心血管系のものだったそうです。
コーヒー摂取量と死亡の関係を分析すると、55歳未満では、男女ともコーヒー摂取が週に28杯以上になると全死亡のリスクが有意に上昇していたようです。週28杯以上(1日4杯以上)摂取する55歳未満の男性の全死亡のリスクは、コーヒーをまったく摂取しないグループに対し1.56倍、女性では2.13倍とされています。
一方、55歳以上であれば、男女ともに摂取量と全死亡の間に有意な関連は認められなかったようです。
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コーヒーが身体によい、とする研究では、量が多ければ多いほどよい、とするものが多いようですから、この研究は過剰摂取に警告を鳴らすものとして注目すべきでしょう。しかし、週に28杯というのはかなり多いような気がしますが、米国では(日本でも?)週に28杯以上ものコーヒーを飲んでいる人はそんなに大勢いるのでしょうか。
ちなみに私もコーヒーは大好きでけっこう摂取している方だと思うので、週あたり何杯飲んでいるか振り返ってみました。平均すると、診療がある日が1日4杯、診療がない日で1日2~3杯で、だいたい週あたり25杯であることがわかりました。週に28杯以下ですから死亡リスクの上昇は考えなくていい、とみなしたいと思います。
たったひとつの研究に影響を受けすぎるのは問題ですが、コーヒーに関する研究はこれからもどんどん発表されていくでしょうから、みなさんも、日頃どれくらい飲んでいるのかを把握しておくのはいいかもしれません。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは、「Association of Coffee Consumption With All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.mayoclinicproceedings.org/article/S0025-6196%2813%2900578-8/fulltext
参考:
医療ニュース2012年10月1日「コーヒーは消化管疾患と無関係」
医療ニュース2013年4月18日「コーヒーでも緑茶でも脳卒中のリスク低減」
医療ニュース2013年1月8日「コーヒーで口腔ガン・咽頭ガンの死亡リスク低下」
医療ニュース2012年12月3日「コーヒーも紅茶も生活習慣病に有効」
はやりの病気第22回(2005年12月) 「癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!」
はやりの病気第30回(2006年4月) 「コーヒー摂取で心筋梗塞!」
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