医療ニュース

2007年4月30日(月) ホルモン補充療法の危険性

 閉経後の女性に対するホルモン補充療法(HRT)というものが世界中で一躍脚光を浴びた時代があります。

 これは、閉経後に出現する様々な症状に対して女性ホルモンを内服、もしくは貼付によって体内に吸収させ症状を緩和することを目的としています。それまで様々な治療を試みたのにもかかわらず改善しなかった身体症状や精神症状が劇的に改善することも少なくなく、この治療法の恩恵を受けた患者さんはかなりの数にのぼります。

 ところが、ホルモン補充療法をおこなうことにより乳癌の発症率が上昇するとの報告があいつぎ、現在はこの治療を疑問視する声が少なくありません。

 4月19日号の「New England Journal of Medicine」に掲載された論文によりますと、米国では乳癌の発生率が近年急激に減少しているのはホルモン補充療法がおこなわれなくなったからであろうと結論づけられています。

 また、4月19日号の「Lancet」(オンライン版)に掲載された論文では、ホルモン補充療法をおこなっている女性は、おこなったことのない女性より卵巣癌で死亡する可能性が平均20%も高かったことを示しています。

 一方で、現在もホルモン補充療法の恩恵を受けている女性もおり、今後も世界中で論争が繰り広げられることになると思われます。

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 以前、米国人の女性医師に、「日本ではホルモン補充療法が普及している」という話をしたところ、その医師は突然顔色を変え興奮したような様子で私に語りました。

 「日本ではまだそんなことをやっているの? いったいどれだけの女性があの治療で乳癌になったか知っているの? 私も犠牲者のひとりよ・・・」

 劇的な効果が得られる治療法というのはそれなりのリスクもあると考えるべきでしょう。もしもホルモン補充療法の治療を検討されている方がおられましたら、複数の医師に意見を聞いてみるのがいいかもしれません。

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