医療ニュース

2008年4月29日(火) フィリピン、外国人の腎移植が禁止に

 以前、日本人がフィリピンで腎移植をしているということをお伝えしましたが(メディカルエッセィ第46回「臓器売買の医師の責任(後半)」、このことは国内外で以前から問題視されていました。

 4月28日の毎日新聞によりますと、フィリピン保健省が外国人への腎移植を全面的に禁止する意向を検討していることが明らかとなりました。

 フィリピン保健省は今年の3月、「臓器の売買は禁じるが、提供者(ドナー)に寄付金を払えば外国人への移植が可能」との省令を発表していましたが、寄付金による臓器提供も禁じる方針に転換したというわけです。

 フィリピンではこれまで臓器売買を違法とする規定がなく、貧困層が現金収入を得るため腎臓を「売る」行為が広く行われてきたという現実があります。腎移植は年間600件以上にのぼると推定されています。

 また、日本の厚生労働省研究班の2006年の調査によりますと、海外で過去に腎移植を受けた日本人198人のうち、30人がフィリピンで移植を受けているそうです。フィリピン以外では、インド、パキスタン、中国などでも日本人が臓器の提供を受けています。

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 中国では昨年、臓器売買を禁じるとともに外国人への移植も禁止しています。(実際は依然おこなわれているという噂もありますが・・・)

 臓器移植に関する議論は大変複雑で、単純に良し悪しを語ることはできません。貧困層から臓器を買うようなことは倫理的に許されませんが、米国のように献血でお金をもらえる国もあり、一定の規定を設けるのはやさしいことではありません。

(谷口恭)

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