医療ニュース

2008年8月1日(金) 乳製品の摂取で脳卒中発症が3割減!

 牛乳やチーズなどの乳製品からカルシウムを多く取る人は、ほとんど取らない人に比べて脳卒中の発症率が約3割少ない・・・

 これは厚生労働省研究班がおこなった大規模調査で明らかになった結果です。(報道は7月29日の毎日新聞)
 
 研究班は、岩手、秋田、長野、沖縄の4県在住の40~59歳の男女約4万人を、1990年から12年間追跡し、食事など生活習慣と発病の関係を分析しました。

 2002年までに、対象となった4万人のうち1,321人が脳卒中を発症しています。乳製品から取ったカルシウムの量で5グループに分けると、1日の摂取量が平均116ミリグラムと最も多いグループは、ほぼゼロのグループに比べて脳卒中の発症率が0.69倍にとどまっています。カルシウムの摂取は牛乳なら1日130ミリリットル、スライスチーズなら1~1.5枚で効果が期待できることになるそうです。
 
 興味深いのは、大豆製品や野菜、魚など、乳製品以外から摂取したカルシウムでは、効果がみられなかったという点です。これについて、研究班は、「乳製品は他の食品よりも腸での吸収率が数倍高く、効率良くカルシウムが取れたようだ」とコメントしています。

 カルシウムを摂取するとなぜ脳卒中になりにくいかについては、「カルシウム摂取が多いと血圧が低くなるため、脳卒中予防につながったのではないか」と説明されています。

 一方、心筋梗塞など心疾患の発症率は、カルシウム摂取の有無と関連が認められませんでした。これは、乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸によって心疾患の発症率が高まり、カルシウムの効果が打ち消された結果と考えられています。さらに、乳製品の食べすぎは逆効果になる可能性もあります。

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 先日は、乳製品を多くとる男性は前立腺癌になりやすいという情報をお届けしました。(2008年4月19日(土)「乳製品を多くとる男性は前立腺癌になりやすい!」)

 今回の研究でも、摂り過ぎは心疾患の発症率が高まりますし、乳製品に頼りすぎるのはよくないでしょう。今回示された理想の量は、牛乳なら1日130ミリリットル、スライスチーズなら1~1.5倍なので比較的適量を摂取しやすいのではないでしょうか。

(谷口恭)

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