医療ニュース

2010年11月4日(木) 海外に修学旅行に行く高2、はしかのワクチン無料

 はしか(麻疹)のワクチン接種率が日本では驚くほど低く、「日本ははしかの輸出国」と海外から揶揄されていることは何度かお伝えしてきましたが、これ以上海外に迷惑をかけないようにするために、来年度海外に修学旅行に行く高2は無料でワクチン接種ができることになりました。

 これは、厚生労働省の「麻疹対策推進会議」で11月1日に決定された事案です。

 同省によりますと、現在年間約17万人の高校生が海外に修学旅行に行き、その9割は高2だそうです。現在の制度では、旅行前にワクチン接種を受けると費用は全額自己負担となり、以前から定期接種の対象にするよう要望が出ていたそうです。

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 2007年5月には、修学旅行でカナダを訪れていた高校生がはしかを発症し、同校の生徒全員がそのホテルで隔離されたという出来事がありましたし、同年8月には、米国東部で国際スポーツ大会に出場していた日本の10代の生徒がはしかを発症し、6人に感染させ隔離されたことが報道されました。

 そろそろ「日本ははしかの輸出国」という汚名を返上すべき時期ではないでしょうか。尚、はしかの抗体がついていないのは10代だけではありません。当院の調査では、20代の約6割、30代の約5割が抗体陰性だったのです。

 感染症は自分が苦しむだけでなく、ときに国際問題になりかねない、ということも覚えておくべきでしょう。

(谷口恭)

参考:
はやりの病気第46回(2007年6月)「はしかの予防接種率はなぜ低いのか」
医療ニュース2008年2月25日「アメリカで日本人がはしかの感染源」
医療ニュース2007年6月11日「はしかの女子高生(日本)と結核の弁護士(米)」

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