医療ニュース

2009年8月9日(日) HIV陽性者、離職経験者は23%

 HIV陽性者(エイズ発症者を含む)のおよそ4人に1人が仕事を辞めた経験があり、離職経験者の約1割は、不当な理由で解雇されたことがある・・・

 これは、厚生労働省の障害者保健福祉推進事業のアンケート調査で分かった結果です。全国の15のエイズ拠点病院に通院するHIV陽性者2,000人に対し、今年の1月までに就労状況をアンケート調査し、およそ6割から回答を得ています。(報道は8月6日の読売新聞)

 HIV陽性を理由に仕事を辞めた経験があった人が全体の23%で、理由については「不当な理由での解雇」と回答している人が9%います。

 就労者に感染の事実を会社に伝えているか、については、全体の47%が「伝えていない」と答えています。

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 私がこの記事を読んだときの感想は、「あれっ、そんな程度なの?」というものです。私が関わっている(関わっていた)HIV陽性の人だけをみてみると、離職の経験者はとても4人に1人程度ではありませんし、それ以上に、会社に伝えていない人が47%、という数字は意外です。

 私は患者さんから、「HIV陽性であることを会社に伝えるべきですか?」と尋ねられることがよくあります。HIVは(性交渉以外の)日常生活では感染しませんから、本来は他人に隠さなければならない感染症などではありません。しかし差別や偏見がこの国で根強く残っているのは事実ですから、「会社に堂々と言えばいいんですよ」とは医師として言えるものではありません。

 このニュースを裏からみると、「全体の53%の人が会社にHIV陽性である旨を伝えている」ということになります。これは、日本でHIVに対する差別や偏見が減少しつつある、と考えていいということなのでしょうか・・・。

(谷口恭)

参考:NPO法人GINA「GINAと共に」第37回(2009年7月) 「HIVを特別視することによる弊害 その2」   

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