医療ニュース
2013年7月30日 火曜日
2008年6月30日(月) 低すぎる日本の子宮けい癌受診率
OECD(経済協力開発機構)が6月26日に発表した国際比較によりますと、日本の子宮頚癌の受診率(検診率)が他国に比べて著しく低いことが分かりました。
20歳から69歳の日本の子宮頚癌の検診率はわずか23.7%となっています。米国が83.5%、フランスが72.4%、他の欧米諸国は軒並み70%以上ですから、日本の検診率の低さは驚異的ですらあります。
一方、CTやMRIといった高額な医療機器の設置割合では、日本は世界一位となっています。
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子宮頚癌がCTやMRIで発見されるようでは遅すぎます。子宮頚癌は早期に発見されれば子宮を取ることなく治療できるのです。いかに検診が大切かということがお分かりいただけると思います。
子宮頚癌の検診は、子宮頚部(子宮の入り口)をほんの少し綿棒でこするだけで、特に痛みの伴う検査ではありません。もちろん出血もしません。
一般的には子宮頚癌の検査は「20歳を過ぎたら年に一度はおこないましょう」ということになっていますが、私は「19歳になれば受けましょう」と説明するようにしています。なぜなら、すてらめいとクリニックでは19歳で子宮頚部の異形成(子宮頚癌の一歩手前の状態)がみつかることが少なくないからです。
(谷口恭)
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|2013年7月30日 火曜日
2008年6月30日(月) コーヒーはいいことばかり
以前からコーヒーが身体にいいとか悪いとかいろんな議論がありますが、ここ数年は「身体によい」、少なくとも「身体に悪くはない」という報告が増えてきているように思われます。
『Annals of Internal Medicine』という医学誌の6月17日号に掲載された論文によりますと、「コーヒーの摂取によって男性または女性におけるあらゆる原因による死亡のリスクが上昇することはなく、心血管系疾患死亡のリスクが低下する可能性がある」ことが分かりました。具体的に検討された疾患は、癌(肝臓癌、結腸癌、口腔癌、咽頭癌、食道癌等)や心筋梗塞などです。
この研究はハーバード大学公衆衛生学部及び医学部によっておこなわれたもので、男性41,736人、女性86,214人が対象とされています。コーヒー摂取量が1ヵ月に1杯未満の場合と比べて、1日に6杯以上飲む人は、男性20%、女性17%の死亡リスク低下と関連があったそうです。
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コーヒー好きには朗報と言えるでしょう。
参考までにこのウェブサイトで紹介した過去のコーヒーに関するニュースをまとめておきます。
はやりの病気第30回 コーヒー摂取で心筋梗塞!
はやりの病気第22回 癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!
医療ニュース2007年10月16日「お酒の代わりにコーヒーを、すい臓ガンを予防」
医療ニュース2007年9月3日「コーヒーは肝臓癌のリスクを下げる」
(谷口恭)
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|2013年7月30日 火曜日
2008年6月30日(月) 睡眠不足はダイエットの強敵!
睡眠を十分にとっていない人々は好きなだけ過剰な間食をしている・・・
このような報告が米国睡眠医学会(AASM)で発表され話題を呼んでいます。
この研究には、睡眠試験施設に14日間ずつ2度にわたり滞在することに同意した11例の健康な男女が参加しています。14日間の一方は、参加者は毎晩5時間半しか睡眠をとることができず、もう一方は8時間半睡眠をとっています。両方の試験期間中、被験者は、食べたくなったらいつでも好きなだけ食べることができるような環境におかれました。
その結果、睡眠時間を5時間半に制限した場合、被験者は1日に間食だけで平均1,087キロカロリー摂取しました。一方、8時間半の睡眠をとった場合、被験者は間食によって866キロカロリーを摂取しました。
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健康な男女であれば1日の適正摂取カロリーは1,500~2,000キロカロリー程度です。5時間半の睡眠の場合、「間食だけで」1,087キロカロリーを摂取しています。
これでは肥満になるのは時間の問題でしょう。
(谷口恭)
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2008年7月9日(水) 大阪で結核が集団発生
7月4日、大阪府東大阪市は、同市内の20代男性ら12人が結核に感染したことを発表しました。そのうち4人は発病しましたが、現在は回復しつつあり、感染拡大の恐れはないとされています。
東大阪市によりますと、同市内の20代男性が2007年4月に肺結核と診断され、男性の同僚や友人らを検査したところ、20~30代の男女11人が感染していることが分かりました。
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この男性がどこから感染したかについては報道からは分かりません。
結核は、一般的には「体力の低下した者や免疫不全の者にかかりやすい」とされていますが、実際は健康な若者に罹患することも珍しくありません。
長引く咳、微熱、体重減少、下痢、寝汗などが普通でないと感じれば、医療機関を受診するようにしましょう。
(谷口恭)
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2008年7月9日(水) はしかで神戸大が一部休講
はしか(麻疹)の勢いが止まりません。
神戸大学は、今月2日から7日までの間に、12人の学生がはしかとみられる発熱や発疹を訴えたことを受けて、7日から12日まで経済学部のすべての講義を休講にすることを発表しました。(報道は7月8日の共同通信)
12人のうち、すでに2人ははしかの確定診断がついたそうです。12人のうち、9人が経済学部の学生だそうです。
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すてらめいとクリニックにも、はしかの抗体検査目的で受診する人は大勢おられます。
以前も紹介しましたが、すてらめいとクリニックでおこなったはしかの抗体検査では全年例で抗体保有率が40.7%という結果がでました。ということは、10人に6人ははしかの抗体をもっておらず感染する可能性があるということです。
あなたは大丈夫ですか?
(谷口恭)
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2008年7月14日(月) タミフルは異常行動に関係なし
インフルエンザ治療薬のタミフルを服用し飛び降りなどの異常行動が相次いだことで、現在は10代に対するタミフルの処方はできないことになっています。
実際にタミフルが原因で異常行動が生じているのかどうかを検討するために設立された厚生労働省の作業部会が7月10日に開催され、「服用と異常行動の因果関係は見られなかった」という報告がおこなわれました。
報告によりますと、タミフル服用者約7,500人のうち、服用後に異常行動がみられたのは12%だったのに対し、服用していない約2,200人でも13%に異常行動があり、服用の有無で異常行動発生率に差は認められません。
また、2007年から2008年の流行期に全国の医療機関から報告されたインフルエンザ患者の異常行動に関する分析では、突然走りだすなど危険な行動を起こした41人のうち、タミフルを服用していたのは約3割で、6割は服用していなかったことが分かりました。41人のうち10代は14人で、全員がタミフルを服用していませんでした。
さらに、タミフルの10代への投与中止以前と以後で、異常行動の発生率はほとんど変わらなかった、との結果も報告されています。
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厚生労働省は8月中に安全対策調査会を開催し、10代への投与を解禁するかどうかを決めるようです。
最も大切なことは、タミフルを使用した場合もしなかった場合も、インフルエンザに罹患した10代をひとりにしないということでしょう。
(谷口恭)
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2008年7月15日(火) 大阪の男の子が熱中症で死亡
7月14日は各地で猛暑となりました。全国で370人以上が熱中症で病院に搬送され、大阪では9歳の男の子が車中で死亡しています。また、大阪の75歳の男性はマンションで倒れ意識不明の重体となっています。(報道は7月14日の共同通信)
報道によりますと、各地で最高気温が35度を超す「猛暑日」となり、岐阜県揖斐川町では36.4度を記録しています。東京、大阪など大都市部も軒並み30度を超え、名古屋市は35.5度に達したようです。
熱中症の搬送者が多かったのは東京33人、神奈川28人、愛知と大阪各26人、兵庫25人、千葉19人、などです。大阪市此花区で開かれたトライアスロンの大会や前橋市での野球の試合中にも選手らが病院に運ばれています。
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毎年のように「子供が車中で熱中症で死亡」という事故が報道されています。
熱中症は日頃から気をつけることによって完全に防ぐことのできる疾患です。各自でもう一度熱中症対策を見直してみましょう。
(谷口恭)
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2008年7月22日(火) 献血のHIVが止まらない勢い
今年(2008年)に入り、献血でHIVが見つかるケースが増加しているというニュースを以前お伝えしましたが(2008年6月1日「大阪が3分の1、献血のHIV」)、その勢いが止まりません。
日赤の速報値によりますと、2008年1月から6月の間に献血した人のうち、HIV抗体が陽性であった人が58人に上ります。(報道は7月16日の共同通信)
10万人当たりのHIV陽性者をみてみると、過去最多だった昨年平均の2.065人を上回る2.316人となります。(1月から3月の集計では2.259人でしたからさらに増加していることになります)
都道府県別のデータでは、最多が大阪の16人、2位が東京の9人、3位が千葉の5人です。
厚生労働省血液事業部会運営委員会からは、「大阪の保健所の検査態勢を整える必要がある」との意見がだされ、厚生労働省は大阪府に「早急に検査態勢を確立するよう」通知しています。
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現在日赤では献血を輸血に使う前には、HIVの抗体だけでなく抗原も検査しています。しかし、それでも感染して数日間は検査を「すり抜ける」ことがあります。
少しでも感染の可能性のある人は献血の前に検査にいきましょう。
(谷口恭)
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2008年7月22日(火) 化粧品からステロイドが検出
「NOATOクリーム」という化粧品から、ステロイドが検出されたことを東京都が7月16日に発表しました。東京都は、薬事法違反で、販売業者に製造・販売の中止と回収を命じています。(報道は7月17日の共同通信)
東京都によりますと、この化粧品は米国から輸入され、今年の3月から26箇所の販売代理店で合計5,691個が販売されたそうです。
東京都安全研究センターが検査した結果、ステロイドホルモン製剤として最も作用が強いとされるプロピオン酸クロベタゾールが0.049%検出されています。
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プロピオン酸クロベタゾールは大変強い薬で、医師が患者さんに処方するときもごく限られた症例のみですし、顔に使用することはまずありません。そのようなステロイドが含まれていた化粧品が流通していたことを考えると恐ろしくなります。
今回のような事件は数年に一度くらいの割合で報道されています。化粧品の製造・販売元には充分な注意を払うべきでしょう。
(谷口恭)
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2008年7月24日(木) デング熱は蚊を駆除すると重症者が増加!?
東南アジアや中南米に旅行に行くときに予防しなければならない病気に「デング熱」があります。ただ、デング熱自体は別段珍しいわけではなく、例えばタイでも数週間滞在していると「○○がデング熱で倒れた」などという話はよく聞きますし、数日から長くても数週間程度で治癒します。
しかし、「デング出血熱」を発症するとそうはいきません。もしもデング出血熱を発症すると必ず入院しなければなりませんし、命を落とすことも珍しいことではありません。
デング熱もデング出血熱も、ネッタイシマカ(あるいはヒトスジシマカ)と呼ばれる蚊がウイルスを媒介することによってヒトに感染させます。
ならば、蚊を駆除すれば予防できるではないか・・・
誰もがそう考えるでしょう。しかし、実際は一筋縄ではいかないようです。
デング熱の流行地域で蚊を中途半端に駆除すると、駆除しない場合に比べて、デング出血熱の発症が増加する・・・
大阪大学とタイの国際チームがこのような研究結果を米国の科学誌に発表しました。(報道は7月16日の共同通信)
研究チームは2002年から2004年にタイの100万世帯を調査しています。その結果、「貯水槽などに蚊の幼虫がいる世帯の割合が地域内で増えるにつれて出血熱の発症が増える。しかしその割合が30%を超えると少なくなる」との結論がでています。
この原因について、「絶えず蚊に刺されていると免疫が高い状態で維持されるが、刺される間隔が空くと危険なタイプの再感染が起きやすくなる」と考えられています。
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この研究は対象がタイ人であることに注意を払わねばなりません。以前、デング熱についてタイ人の医師に聞いてみたことがあるのですが、彼によると、「タイ人の多くは子供のときにデング熱に罹患していることが多い」そうです。
この研究結果をそのまま応用すると、「貯水槽に蚊の幼虫がいる割合が30%のところが最も出血熱のリスクが高いけれどもそれを超えると(つまり蚊がたくさんいるところは)逆に安全」、ということになりますが、それはタイ人の場合であって、日本人からみたときには、できる限り蚊の予防をすることが大切です。
(谷口恭)
参考:
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