医療ニュース

2015年4月28日 火曜日

2015年4月28日 糖尿病は不眠の原因、まず早起きを

  不眠が生活の質を低下させ生活習慣病の原因にもなる、ということは過去に述べたことがあります。(下記「はやりの病気」を参照ください) 今回ご紹介したいのはその逆で、「糖尿病が悪化すると不眠になる」とするものです。医学誌『PLOS ONE』2015年4月14日号(オンライン版)に掲載された研究(注1)で、大阪市立大学が実施しています。

 大阪市立大学医学部附属病院に糖尿病で入院した63人の脳波を測定したところ、血糖値が悪化すればするほど良質な睡眠がとれないことが判ったそうです。また、良質な睡眠がとれていない被検者では、早朝の血圧が高い傾向にあることも判ったそうです。

 睡眠と糖尿病の関係で興味深い研究が韓国から報告されましたのでそちらも紹介したいと思います。

 医学誌『The Journal of clinical endocrinology and metabolism』2015年4月1日号(オンライン版)(注2)によりますと、睡眠時間が同じであるとき、「夜更かし型」の人は「早起き型」の人よりも糖尿病やその他生活習慣病を発症しやすいそうです。

 この研究は、47~59歳の韓国人約1,000人が対象とされています。「夜更かし型」の人は体脂肪率が高くメタボリックシンドロームに罹患しやすいことが判ったそうです。また、興味深いことに、「夜更かし型」の人は、脂肪率が上昇するのみならず、筋肉量も減少することが判ったようです。

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 良質な睡眠がとれなくなれば、血圧も上昇し、さらに血糖コントロールも悪くなるはずです。つまり、血糖コントロール不良 → 不眠 → さらに血糖値上昇+他の生活習慣病のリスク上昇、と悪循環になるわけです。

 大阪市立大学の研究から言えることは、糖尿病の人は不眠も治しましょう、ということになるわけですが、単に、では睡眠薬を飲みましょう、で解決するわけではありません。

 まず、不眠の原因は何と何なのか、それぞれの原因に対して(薬を使わずに)対処できることはないのか、生活習慣の何を改めればいいのか、などを個別に検討していく必要があります。これらは、医師が診察をしてすぐに答えが見つかるわけではありません。患者さん自身が日頃から不眠について考える必要があると言えるでしょう。

 韓国の研究と合わせて考えれば、日頃から、早起きの習慣を身につけるのが賢明といえます。仕事の内容などから、どうしても夜更かし型にならざるを得ないという人もいますが(特に「物書き」の人はこのパターンが多い)、可能な限り、早起き型にシフトすべきと私は考えています。以前にも述べましたが、私が提唱している健康を維持するためにおこなうべき「3つのenjoy」のひとつが「Early-morning waking up」、つまり「早起き」です。これは「早寝・早起き」ではなく「早起き・早寝」です。(下記2つのコラムも参照ください)

注1:この論文のタイトルは「Association between Poor Glycemic Control, Impaired Sleep Quality, and Increased Arterial Thickening in Type 2 Diabetic Patients」で、下記URLで全文を読むことができます。
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0122521

注2:この論文のタイトルは「Evening chronotype is associated with metabolic disorders and body composition in middle-aged adults.」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://press.endocrine.org/doi/pdf/10.1210/jc.2014-3754

参考:
はやりの病気第139回(2015年3月)「不眠症の克服~「早起き早寝」と眠れない職業トップ3~」
メディカルエッセイ第129回(2013年10月)「危険な「座りっぱなし」」

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2015年4月27日 月曜日

2015年4月27日 バリ島の狂犬病対策の是非

  現在バリ島では犬をめぐっての議論が白熱しているようです。

 きっかけは2015年1月27日、10歳のオーストラリアの女子が一匹の犬に噛まれたことです。幸いなことにこの犬は地元の動物保護団体が狂犬病ワクチンを事前に接種しており、この少女は軽い怪我を負っただけで大事には至りませんでした。

 しかし、この事故の2日後にバリ州の知事が「野良犬をすべて殺す」との発言をメディアの前でおこないこれが物議を醸しています(注1)。

 バリ島にはおよそ50万匹の野良犬がいると試算されています。

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 少女は助かったわけですし、少女に噛みついた犬も狂犬病ワクチンを接種していたのになぜ?、と感じますが、知事がこのような発言をおこなったのには理由があります。

 狂犬病はバリ島では以前から問題になっていましたが、近年は特に顕著で2008年以降でみると150人以上が狂犬病で死亡しています(注2)。外国人が犬に噛まれる事例も相次いでいるようです。知事の立場からすると、「観光」が税収の大部分を住めるバリ島で、観光客が遠ざかることを避けたかったのでしょう。

 しかし、50万匹もの野良犬を一掃せよ、となれば当然世界中の動物保護団体から反対意見が出ますし、ヒンドゥー教徒や仏教徒はイヌを大切にしますから地元の一般人からも批判されているようです。(インドネシアで最大多数の宗教はイスラム教で、イスラム教徒は犬を嫌いますが、バリ島ではヒンドゥー教徒と仏教徒が大部分を占めます)

 ゴールデンウィークにバリ島に旅行に出かけるという人も少なくないと思います。狂犬病ワクチンを接種していない人は、現地では動物に咬まれないように注意して(狂犬病ウイルスを持っているのは犬だけではありません)、もしも咬まれたら直ちに現地の医療機関を受診するようにしてください。(狂犬病ワクチンは感染してからでも効果が期待できます)

 尚、個人的な体験を付記しておくと、私はアジアのある島で早朝にジョギングをしているときに野良犬に囲まれて大変恐い思いをした経験があります。島でジョギングするときはたいてい海沿いを走るのですが、その日私は山道を走っていました。犬の鳴き声が聞こえてきた1~2分後には5~6匹の犬に囲まれてしまっていました。手に持ち替えたバックパックで比較的身体の小さな犬を振り払いながらそこを抜けだし全速力で疾走し事なきをえましたが、100メートル以上も複数の野良犬に追いかけられているときは本当に恐怖でした。私は狂犬病ワクチンを接種していますが、もしも接種していなかったらあの恐怖は何倍にもなっていたに違いありません。

 狂犬病ワクチンを接種している人も野良犬がいそうなところには近づかないのが賢明です。

注1:『The New York Times』が報道しています。記事のタイトルは「Beach Dogs, a Bitten Girl and a Roiling Debate in Bali」で、下記URLで記事が読めます。野良犬を捕獲している写真も掲載されています。
http://www.nytimes.com/2015/03/05/world/beach-dogs-a-bitten-girl-and-a-roiling-debate-in-bali.html?_r=0

注2:財デンパサール日本国総領事館のウェブサイトに記載があります。下記URLを参照ください。
http://www.denpasar.id.emb-japan.go.jp/japan/04_02safe.html

また、下記は同領事館の「安全対策情報等:2015年4月」です。狂犬病についての記載もあります。
http://bali.vc/press/201504

参考:はやりの病気第130回(2014年6月)「渡航者は狂犬病のワクチンを」

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2015年4月6日 月曜日

2015年4月6日 スタチンは糖尿病のリスク、使うならプラバスタチン

  日本ではなぜかあまり話題になりませんが、数年前からスタチンが糖尿病のリスクになることが頻繁に指摘されています。スタチンというのはコレステロールを下げる薬で、(おしなべて言えば)副作用も少なく長期使用ができて、(後発品を使えば)費用もさほどかからず、例えばイギリスでは治療薬ではなく予防薬としても用いられているくらいですから、世界で最も使われている薬のひとつです。(ちなみに、スタチンを発見したのは日本人の遠藤章博士です)

 コレステロールを下げるのは動脈硬化を予防するためであり、動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞など「死に至る病」または「寝たきりになる病」の原因です。しかし、コレステロールをスタチンで下げることに成功したとしても、そのスタチンで糖尿病のリスクが上昇するなら結局動脈硬化のリスクを下げることができないのでは?ということになります。

 スタチン療法を受けていた人では受けていなかった人に比べて2型糖尿病を発症するリスクが46%も上昇することが分かった・・・。

 これは医学誌『Diabetologia』2015年3月10日号(オンライン版)(注1)に掲載された研究結果です。

 研究では、糖尿病を患っていないフィンランドの男性約9,000人(45~73歳)をおよそ6年間追跡し、スタチン服用と糖尿病発症の関連について分析されています。対象患者の4人に1人が調査開始時にスタチンを服用しており、調査期間中に625人の(2型)糖尿病の発症が確認されています。

 分析の結果、スタチン服用者は非服用者に比べると、糖尿病の発症リスクが46%も高いことが分かったそうです。(喫煙や肥満など)他の危険因子(リスク)を調整しての結果です。

 スタチン服用者では非服用者に比べて、インスリン感受性が24%、インスリン分泌が12%低下することも分かった、と述べられています。

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 スタチンがなぜ糖尿病のリスクになるのか、はっきりとしたことは分かっていませんでしたが、in vitroの(研究室での)実験ではスタチンによりインスリン分泌が低下することは報告されていました。今回の研究で、スタチンがインスリンの感受性を低下させ(インスリンが効きにくくなるということ)、インスリンの分泌を低下させる、ということがほぼ間違いないように思えます。しかもこの研究は約9,000人と大人数を対象としていますから信憑性は高いと言えます。(もっとも、対象は白人男性だけですから、性差や人種差がある可能性はあります)

 さて、ではコレステロールを下げる薬は何を使えばいいのでしょうか。スタチン以外にもコレステロールを下げることのできる薬はありますが、スタチン以外の薬では、費用が高くつく、効果が不充分、薬によっては毎回水に溶かねばならない、など欠点が目立ちます。

 ではどうすればいいのでしょう。実はスタチンの糖尿病のリスクは「スタチンの種類」で異なります。スコットランドの大規模研究(West of Scotland Coronary Prevention Study)では、プラバスタチン使用で糖尿病のリスクがなんと30%も下がる!という結果が出ています。他の研究でも、プラバスタチンに関しては、糖尿病のリスクはさほど大きくないという結果が出ています。また、プラバスタチンは糖尿病リスク以外の他のリスク、例えば肝機能障害などのリスクが低いことも指摘されています。

 プラバスタチンが有利な理由はまだあります。ほとんどのスタチンはグレープフルーツとの相性が悪いのですが、プラバスタチンについてはグレープフルーツの影響をほとんど受けないことが分かっています。他の食べ物でも制限されるものはありません。

 日本では合計6種のスタチンがあり、そのうちの1つだけを「ベタ褒め」するのには少し気が引けますが、これだけのデータがそろえば仕方ありません。太融寺町谷口医院の患者さんのスタチン処方の95%以上はプラバスタチンです(注2)。

注1:この論文のタイトルは、「Increased risk of diabetes with statin treatments associated with impaired insulin sensitivity and insulin secretion: a 6 year follow-up study of the METSIM cohort」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00125-015-3528-5

注2:先発品のスタチンを発売している製薬会社は合計6社あります。プラバスタチンは商品名は「メバロチン」で第一三共が発売しています。他の5種をあげておくと、シンバスタチン(商品名「リポバス」MSD社)、フルバスタチン(商品名「ローコール」ノバルティス社)、アトルバスタチン(商品名「リピトール」アステラス社)、ピタバスタチン(商品名「リバロ」興和)、ロスバスタチン(商品名「クレストール」アストラゼネカ社)です。

では、なぜここまで有利なデータがそろっているのにもかかわらず、プラバスタチンの製薬会社(第一三共)は積極的なPRをしないのでしょうか。私の印象で言えば(そして他の医師も同じように感じているはずです)、現在積極的にスタチンをPRしているのはアストラゼネカ社だけです。この最大の理由は同社のスタチン「クレストール」には後発品(ジェネリック薬品)がないからでしょう。他の5種はいずれも後発品が発売されているために先発品のメーカーはそれほどPRに力を入れていないのではないでしょうか。

ならば、後発品のメーカーが積極的にPRをすればいいではないか、と思われますが、一般に後発品のメーカーは、薬価が安いこともあり元々PRにあまり費用をかけません。

結果としてプラバスタチンのように「安くて安全で効果の高い薬」が目立たなくなっているのです。

参考:メディカルエッセイ第133回(2014年2月)「スタチンの功罪とリンゴのことわざ」

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2015年4月3日 金曜日

2015年4月3日 ようやく日本も麻疹(はしか)排除認定

  長い間「麻疹(はしか)の輸出国」と揶揄されていた我が国も、ようやくWHO(世界保健機関)から排除の認定を受けました。WHOが2015年3月27日に正式に発表しています(注1)。厚生労働省はこれを受け、同日に国内に発表しました(注2)。

 WHOの発表によると、今回アジアで麻疹排除を認定されたのは、日本、ブルネイ、カンボジアの三国で、いずれの国でもワクチン接種が適切に実施されたことが排除に至った理由であるということが述べられています。

 厚労省の発表では、日本由来の麻疹ウイルスは2010年5月を最後に、それ以降は検出されていないそうです。それ以降に発症した例はすべて海外から日本に持ち込まれたケースだったようです。

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 ちなみに韓国ではすでに2006年に排除認定を受けています。その翌年の2007年に日本で流行し、アメリカやカナダに日本人が持ち込んだ例が立て続けに報告され、「日本は大丈夫なのか・・・」と世界中から心配されましたが、ようやく日本も感染症後進国から少し抜けられそうになってきました。

 豊かなブルネイはともかく、カンボジアに行ったことのある人なら、カンボジアの医療レベルと日本が同じ、とされるのに違和感を覚えることでしょう。もちろん、医療全体でみたときには日本とカンボジアが同レベルというわけではありません。しかし、感染症、とりわけ感染症の(治療ではなく)予防に関していえば、同じレベルと言わざるを得ません。

 では、日本の麻疹対策はこれで充分かと言えばそういうわけではありません。日本人の成人の麻疹抗体を測定すると陰性の人が少なくない、というか太融寺町谷口医院の例でいえば、20代後半から30代でみれば抗体ができている人の方が少数派なのです。ということは、日本にやってきた外国人(たとえば中国やフィリピンではまだ排除が認定されていません)が日本で蔓延させる、という可能性は充分にあります。

 以前も述べましたが、日本では「麻疹にかかったようなもの」という慣用句があり、これは麻疹が単なる風邪のような一過性の軽い疾患のような意味で使われています。しかし麻疹は実際には死亡例もありますし、重篤な後遺症を残す脳炎につながることもあります。

 まだワクチンを接種していない人、抗体形成の確認をしていない人は早めに確認しておいた方がいいでしょう。

注1:WHOのこの発表は下記URLで読むことができます。
http://www.wpro.who.int/mediacentre/releases/2015/20150327/en/

注2:厚生労働省のこの発表は下記URLで読むことができます。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10906000-Kenkoukyoku-Kekkakukansenshouka/img-327100220.pdf

参考:
トップページ:「風疹・麻疹(はしか)」
医療ニュース2014年3月3日「麻疹(はしか)が増加中」
はやりの病気
第46回(2007年6月)「はしかの予防接種率はなぜ低いのか」
第119回(2013年7月)「VPDを再考する」

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2015年3月30日 月曜日

2015年3月30日 変わってきたピーナッツアレルギーの予防

  ピーナッツアレルギーはときに重症化することが知られています。(私の知る限り)日本で死亡した例はありませんが、海外(特に西欧)ではときに死亡例が報告されています。また、過去10年で西欧では発症者が2倍になったとの報告もあります。

 ピーナッツアレルギーの特徴として、増加していることと重症化すること以外では、小児期での発症が多いこと、卵やミルクなどのアレルギーとは異なり生涯にわたり継続することが多いこと、成人してからさらに悪化することがしばしばあること、ピーナッツだけでなく、アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ピスタチオなど他のナッツ類に対してもアレルギーが起こりやすくなること、などがあげられます。

 一方ではナッツ類は健康上極めて優れた食品であることが近年頻繁に指摘されるようになり、地中海料理が健康にいい理由のひとつにナッツ類がたくさん用いられることがあげられています。ナッツを積極的に摂取している人は長生きするという報告もあります(注1)。

 積極的に食べれば健康に寄与して長生きできる、しかしアレルギーがあり重症化することもある、と聞かされれば、なんとしてもアレルギーを予防したい、と考えたくなります。

 実際、子供へのピーナッツアレルギーを避けるために妊娠中にはナッツ類の摂取を避けるべきと言われた時代もありました。現在ではこれは否定されています。

 医学誌『JAMA Pediatrics』2014年2月号(オンライン版)に掲載された論文(注2)によりますと、妊娠中の母親がナッツ類を多量に食べると、(母親自身がアレルギーでなければ)、生まれる子はナッツアレルギーになる確率が低いことが分かったそうです。

 さらに興味深い研究が最近発表されました。医学誌『NEJM(The New England Journal of Medicine)』2015年2月26日号(オンライン版)に掲載された論文(注3)によりますと、早期にピーナッツに曝露される(早い段階でピーナッツを食べ始める)方が、ピーナッツアレルギーになりにくいことが判ったというのです。

 この研究の対象者は、重症の湿疹か卵アレルギーのいずれか、または両方を有する640例の乳児(生後4ヵ月以上11ヵ月未満)です。対象者を2つのグループに分けて、一方はピーナッツを摂取してもらい、もう一方のグループではピーナッツを回避してもらっています。

 60ヶ月が経過した時点で調べてみると、ピーナッツを摂取していたグループの方がアレルギー発症が有意に低下していたそうです。(回避していたグループの発症率は13.7%、摂取していたグループでは1.9%)

 アレルギーが発症するかどうかはピーナッツエキスを皮膚に注射する方法で調べられています。小児の食物アレルギーについては、血液検査はあくまでも参考ですが、ピーナッツを回避していたグループでは特異的IgE抗体が上昇しており、摂取していたグループではIgG4抗体の上昇が認められたそうです。

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 ピーナッツアレルギーはどのようにして成立するのでしょうか。すべての医師が認めているわけではありませんが、私はイギリスの免疫学者Gideon Lack氏が提唱している「食物アレルギーの機序についての二通りのアレルゲン曝露」で説明できると考えています。

 この説は過去にも紹介しましたが(注4)、わかりやすく言えば、「アレルギーが成立するのはそれを食べるからではなく、それが皮膚の微小な傷などから体内に侵入するから」とするものです。つまり、ピーナッツを食べるのが問題なのではなく(むしろ食べることで「免疫寛容」ができアレルギーになりにくくなる)、ピーナッツが皮膚から侵入することで免疫システムがピーナッツを「敵」とみなす、というものです(注5)。

 この説が正しいとするなら、例えば口の周りに湿疹がある赤ちゃんにピーナッツバターを食べさせるときなどには充分に注意しなければなりません。また、特に冬場の乾燥シーズンなどにはしっかりと保湿をしておくことで皮膚のバリア機能を保つ必要があります。その一方で、普通に食べさせることには問題がないというわけです。

 この研究でもうひとつ興味深いことは血液検査のIgE抗体とIgG抗体です。アレルギーがあればIgE抗体が上昇するがIgG(4)抗体はアレルギーがない場合で上昇した、ということです。以前指摘しましたが(注6)、食物のIgG抗体を測定し「遅延型食物アレルギー」などと称した意味のないことを言われて苦しんでいる人が少なくありません。IgG抗体が食物アレルギーに無関係であることはこの研究からも伺えます。

注1 詳しくは下記医療ニュースを参照ください。
医療ニュース2014年1月6日「ナッツを毎日食べると健康で長生き」

注2:この論文のタイトルは「Prospective Study of Peripregnancy Consumption of Peanuts or Tree Nuts by Mothers and the Risk of Peanut or Tree Nut Allergy in Their Offspring」で、下記URLで全文を読むことができます。
http://archpedi.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1793699&resultClick=3

注3:この論文のタイトルは「Randomized Trial of Peanut Consumption in Infants at Risk for Peanut Allergy」で、下記URLで全文を読むことができます。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1414850

注4:下記コラムを参照ください。
メディカルエッセイ第136回(2014年5月)「免疫学の新しい理論」

注5:詳しくは『The Journal of Allergy and Clinical Immunology』という医学誌に掲載された論文を参照ください。タイトルは「Epidemiologic risks for food allergy」で、下記のURLで全文を読むことができます。この論文は大変有名なものです。
http://www.jacionline.org/article/S0091-6749%2808%2900778-1/fulltext

注6:下記医療ニュースを参照ください。
医療ニュース2014年12月25日「「遅延型食物アレルギー」に騙されないで!」

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2015年3月20日 金曜日

2015年3月20日 海外旅行でいったいどこに行けばいいのか

  2015年3月18日、チュニジアの首都チュニスにて、国民議会議事堂と国立博物館が武装集団により襲撃され、複数の観光客を人質に立てこもる事件が発生しました。3月20日時点で日本人3名の死亡が確認されています。

 この事件との関係は明らかではないものの、チュニジアではISIL(イスラム国)に外国人戦闘員として参加した後に帰還している者がいることが確認されています。そしてこのような帰還者がテロを起こすことが懸念されています。

 今回の事件を受けて、外務省は次のような注意喚起を発表しています(注1)。

・チュニジアの他、サウジアラビア、ヨルダン、モロッコ等のアラブ諸国についてもISILに参加した戦闘員が帰還している。

・欧米諸国も例外ではなく、フランス、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ベルギー、オランダ等からISILに参加した外国人戦闘員が帰還している。

・テロの標的となりやすい場所(政府・軍・警察関係施設、公共交通機関、観光施設、デパートや市場など不特定多数が集まる場所)を訪れる際には、周囲の状況に注意を払うこと。

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 この注意喚起を読んで「では注意しよう」と素直に思える人はどれくらいいるでしょうか。アラブ諸国はともかく、ヨーロッパやオーストラリアに旅行に行って、公共交通機関を使わずに、観光施設を訪れず、デパートや市場に行ってはいけない、と言われれば、では旅行先で何をすればいいのでしょうか。

 とはいえ、私は外務省のこの注意勧告を批判したいわけではありません。国家としてこのような注意を促すのは当然でしょう。それだけISILが異常な集団であるということです。

 太融寺町谷口医院の患者さんは、仕事、観光、ボランティア、留学などで海外に行かれる人が多く、そのための英文診断書作成やワクチン接種、マラリア予防薬や高山病予防薬の処方を日々おこなっています。私がすべての患者さんに注意しているのは、「海外では自分の身は自分で守らなければならない」ということです。

 海外で何かあったときに外務省は頼りになりません。海外に渡航するときは、自分の行動に責任をとりリスクのある行為は慎まなければなりません。冤罪で逮捕されたときですら外務省は何もしません(注2)。

 海外では助けてくれない外務省ですが、今回の発表はその通りです。今後世界史の教科書の多くのページにISILのことが書かれるかもしれない。私はそのように考えています。

注1:詳しくは外務省の下記ページを参照ください。
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo.asp?infocode=2015C075

注2:詳しくは下記コラムを参照ください。
GINAと共に第99回(2014年9月)「薬物密輸の罠と罪」

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2015年3月13日 金曜日

2015年3月13日 最大のストレスは「お金がないこと」

 米国心理学会(American Psychological Association, APA)という学会があります。2015年2月4日、この学会が「Stress in America: Paying With Our Health」(日本語にすると、「アメリカのストレス~健康の代償~」くらいになるでしょうか)というタイトルのレポートを発表しました(注1)。

 このレポートで最も興味深いのは、米国人の最大のストレス要因を「お金」としていることです。

 レポートは、2014年8月に3,068人の米国人を対象におこなわれた調査に基づいています。調査の結果、ストレス源の第1位が「金銭上の悩み」で64%、2位以下は、仕事(60%)、家族への責任(47%)、健康問題(46%)と続きます。

 金銭のストレスを強く感じているのは男性よりも女性に多く、年齢では50歳未満に多いようです。

 このレポートでは、低所得者と高所得者の比較もおこなわれています。年収5万ドル(約600万円)以上を高所得者、以下を低所得者とすると、低所得者の方がストレスを強く感じていることがわかったそうです。同じ調査は2007年にもおこなわれており、このときは所得による差はなかったそうです。

 精神的支えがない人とある人の比較もおこなわれています。過去1年でストレスが増大したと答えたのは精神的支えがない人では43%、支えのある人では26%となっています。

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 お金がないのがストレスになるのは当然といえば当然で、格差が開いていくとさらに深刻になるでしょう。このレポートでは病気との関連性についてはあまり触れられていませんが、ストレスがいろんな疾患のリスクになるのは周知の事実であり、最近では低所得者の寿命が短いことも指摘されています。

 ということは「お金がないこと」は二重の意味で健康に悪影響であるといえます。つまり、お金がないこと自体が生活習慣病などの罹患率を高め、またお金がないことによるストレスから多くの疾患のリスクを高めるのです。

 このレポートを読んで、私は数年前にタイのある施設で知り合った日本人男性のことを思い出しました。

 その男性は日本でリストラに合い、新しい仕事が見つからずに生活が困窮し、不眠と抑うつ感が出現し知人のすすめで精神科クリニックを受診したそうです。医師からは「うつ病」と診断され、何種類もの薬を処方してもらったものの何一つ効果はなかったそうです。

 そこで、お金がかからずに住み込みでボランティアができるこのタイの施設にやってきたそうです。ボランティアに専念している時間は、気分は悪くないものの、将来のことを考えると憂鬱な気分が消えないそうです。この男性が興味深いことを言っていました。

「一生食べていける大金をもらえるか、安定した仕事に就けるなら、僕のうつ病はすぐに治ります。世の中のうつ病の大半は単にお金がないことが原因なんですよ・・・」

 極論ではありますが、この男性の気持ちが分からなくはありません。お金がないことで病気が増えて医療費がかさむなら、初めからお金の不安を抱かせないような政策をとる、例えば生活保護を充実させる、というのはひとつの考えとして吟味すべきかもしれません。

「お金がない」ということとストレス、さらにいくつかの疾患との関連性については、私自身これからも考えていきたいと思います。

(谷口恭)

注1:このレポートは下記URLで全文が読めます。
http://www.apa.org/news/press/releases/stress/2014/stress-report.pdf

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2015年3月6日 金曜日

2015年3月6日 Twitterでの表現が心疾患のリスクを予測

 心筋梗塞などの虚血性心疾患のリスクとして「A型気質」がしばしば指摘されます。「A型気質」というのは性格のことで、血液型のA型とはまったく関係ありません。Active(活動的)、Aggressive(攻撃的)、Ambitious(野心的)、Angry(怒りっぽい)といった性格で、「頑張り屋で積極的。いわゆる”やり手”で出世するタイプ」です。さらに「真面目で努力家」とも言えると思います(注1)。

 ときに、他人を蹴落としてまで出世を目指す、といったような否定的な感じで語られることもありますが、総じて言えばA型気質は悪くないキャラクターと認識されていると思います。辛いことがあってもそれを口にせず努力で解決する、といったイメージもあります。

 ところが、A型気質とはある意味で正反対の性格が心疾患のリスクになる、という研究が発表されました。

 Twitter上の言葉が否定的な人は心疾患死亡率が高い・・・

 医学誌『Psychological science』2015年1月20日号(オンライン版)にこのような報告がされています(注2)。

 この論文のポイントをまとめると次のようになります。

 まず、Twitter上の表現が、否定的な社会関係や、離別(原文はdisengagement、おそらく嫌いな人と関係を絶つ、という感じの意味だと思います)、また否定的な感情、特に怒りを露わにしたものであれば、そういった言葉を使う人は心疾患による死亡率が高いそうです。

 さらに驚くべきことに、Twitter上の表現による心血管系疾患死亡予測リスクは、一般的な人口統計学的因子(人種による差異など)、社会経済的因子(収入や職業による差異など)、そして、健康リスク因子(喫煙・糖尿病・高血圧症・肥満など)よりも正確だという結果がでたそうです。

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 この研究が正しいなら、従来のリスク評価を根底から見直さなければならなくなります。私が日頃患者さんをみている印象として、何事にも否定的なコメントを述べる人は、あまり健康的でないイメージがありますが、かといって心疾患になりやすいとか、死亡しやすい、といったような印象はありません。

 また、喫煙や糖尿病よりもTwitterでの否定的な表現の方が高リスクとは到底考えられません。もしも今回の研究が普遍的なものなら、健康診断のときは血液検査や血圧測定よりも、過去1ヶ月間のTwitterでの発言をチェックすることの方が重要ということになります。(それが事実なら、健診の費用も安くなり望ましいことですが・・・)
 
 この研究を正しいとしてしまうには時期尚早であり、今後のさらなる研究を待つべきだと私は思います。

 とはいえ、日頃からTwitterで否定的なコメント、特に怒りの感情を並べている人は、心疾患の一般的なリスク、つまり、喫煙、肥満などには注意すべきでしょう。

(谷口恭)

注1 以前、A型気質は心疾患だけでなく、AGA(男性型脱毛症)にもなりやすいのではないかという私の仮説を述べたことがあります。興味のある方は下記を参照ください。
医療ニュース2013年5月13日「男性型脱毛症(AGA)は心筋梗塞のリスク」

注2 この論文のタイトルは「Psychological Language on Twitter Predicts County-Level Heart Disease Mortality」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://pss.sagepub.com/content/26/2/159.abstract

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2015年2月28日 土曜日

2015年2月28日 温泉で痛みがとれてぐっすり睡眠

  湯治(とうじ)という言葉があります。温泉地に長期間滞在し、温泉につかることで持病を治す、という治療法です。最近はそれほどおこなわれていないとは思いますが、今も一部の温泉ではリウマチなどの慢性疾患の患者さんが訪れるといった話をときどき聞きます。

 ただ、こういった治療法は疾患ガイドラインに記載されているわけではありませんし、必ずしも効果が実証されているとは言い難く、標準的な治療とは呼べません。また、通常湯治では長期間の滞在が必要になりますから多くの人にとって現実的ではないでしょう。

 しかし、小規模ながら温泉が様々な疾患に有効とする研究もあり、湯治のように温泉地に何ヶ月にもわたり滞在しなくても、今は交通手段も発達していますから、短い期間の温泉入浴が健康に寄与するなら考えてみたいものです。

 12日間の温泉治療プログラムで、健康な高齢者の疼痛、気分状態、睡眠、抑うつ状態が有意に改善・・・

 このような研究結果が医学誌『Psychogeriatrics』2014年12月16日号(オンライン版)に掲載されました(注1)。この医学誌のサブタイトルは「The Official Journal of the Japanese Psychogeriatric Society」で、日本語にすると「日本の老年精神医学会の公式な医学誌」となりますから、対象とされたのは日本の温泉かと思いましたが、スペインの温泉地での研究でした。

 スペイン人の高齢者52名(男性23名、女性29名)を対象とし、12日間の温泉治療プログラムに参加してもらい、疼痛(pain)、気分(mood state)、睡眠(sleep)、抑うつ状態(depression)の改善度が評価されています。

 その結果、温泉療法により、全員のすべての症状が改善したそうです。男女差もあったようです。疼痛については男性の方が改善度が高く、抑うつ状態については女性の方が高かったようです。

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 この研究は規模がさほど大きくなく、症状の評価は主観によるものであり、科学的確証度(エビデンスレベル)が高いとは言えないかもしれません。しかし、参加した52人の全員の気分が良くなり、痛みがとれ、ぐっすり眠れるようになっているわけで、一方では、この治療による「副作用」は一切ありません。(入浴場で転倒するといったリスクはあるかもしれませんが)

 温泉は世界中にあるといえばありますが、温泉地の数、質、衛生度、旅館の心地よさ、周囲の風景、食事、お酒、と、どの観点からみてもおそらく日本が世界一でしょう。日本の次は台湾でしょうか。(今回の研究の舞台となったスペインを含め南欧の温泉も有名なようですが私は詳しくありません・・・)

 湯治とまでいかなくても、ぐっすり眠り気分を良好にし、身体の痛みを和らげるために温泉地に長期滞在する、あるいはリタイア後の人生を温泉地で過ごす、という高齢者が今後増えてくるのではないでしょうか。太融寺町谷口医院は旅行医学をおこなっている関係で、リタイア後の海外移住の相談をされる患者さんがときどきいますが、案外、海外よりも日本の温泉地の方が快適に過ごせるかもしれません。

(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは、「Effect of a 12-day balneotherapy programme on pain, mood, sleep, and depression in healthy elderly people」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/psyg.12068/abstract

参考:
医療ニュース2013年6月3日「毎日温泉で脳卒中・心臓病が予防可能」

投稿者 医療法人 谷口医院 T.I.C. | 記事URL

2015年2月27日 金曜日

2015年2月27日 プラセボは「高価な」方が有効

「プラセボ」または「プラシーボ」という言葉はかなり有名だと思います。日本語では「偽薬」つまり、本当は薬でないのだけれど患者さんに薬と偽って処方する薬のことです。不思議なことにこのようなものでも効くときは効きます。(プラセボは英語ではplaceboで、これを無理にカタカナにすると、プラシーボ(シにアクセント)ですが、なぜか日本語の文章では「プラセボ」とされることが多いので、このサイトでもプラシーボではなくプラセボと表記することにします)

 同じプラセボでも「高価な薬剤」と言えば高い効果が得られる・・・。

 医学誌『Neurology』2015年1月28日号(オンライン版)にこのような研究結果が報告されています(注1)。研究内容は以下の通りです。

 研究の対象とされたのは中等度のパーキンソン病の12名の患者です。2つのグループにわけて、一方には「1回あたり100ドル(約12,000円)の新しい薬」と伝え、もう一方には「1回あたり1,500ドル(約180,000円)の新しい薬」と伝え、同じように注射をしています。両方とも注射の中身は単なる生理食塩水です。

 その結果、どちらのプラセボも症状改善に有効であり、高価なプラセボは安価なプラセボよりも高い効果が得られた、ことが分かったようです。

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 なんだか倫理的に問題のありそうな研究に思えなくもないですが、その後被験者にはその注射がプラセボであったことを伝えたそうです。被験者のなかに、「高価な薬剤だからといって期待はしていなかった」と答えた人が4人いたそうで、この4人では偽薬の効果はあまり出ていなかったようです。

 プラセボを上手く使いこなせるのが一流の医者、と昔どこかで聞いたことがありますが、私自身はまだまだその域に達しておらず、とてもそのような芸当はできません。ただ、なんとなくではありますが、医師としての経験が長くなるにつれてプラセボ効果は間違いなくある、というのが実感できるようになってきました。

 そういう意味で、私自身は、例えばサプリメントの相談をされたときには「効果が実証できていないだけでなく有害性の報告もありますよ」というような説明をすることが多いのですが、すでに気に入って飲んでいる人には「そのまま続けてもいいのでは」と助言することも少なくありません。

(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは「Placebo effect of medication cost in Parkinson disease」で、下記URLで概要を読むことができます。
http://www.neurology.org/content/early/2015/01/28/WNL.0000000000001282.short

投稿者 医療法人 谷口医院 T.I.C. | 記事URL

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