医療ニュース

2010年10月7日(木) コレステロール基準についてNPOが見解発表

 先月(2010年9月)に日本脂質栄養学会が「悪玉コレステロールが高い方が長生きする」という発表をおこない物議をかもしていることはこのサイトでもお伝えしてきました。(詳細は下記「医療ニュース」参照) これには我々医師の方にも多少なりとも混乱が生じ、患者さんに対する説明に苦慮することがしばしばあります。

 そんななか、J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)というNPO法人が見解を発表しました。(詳しくは下記URL参照)

 J-CLEARの見解を簡単にまとめると次のようになります。

 まず、「コレステロールは低い方がいい」とする研究は、主に元々心臓病などを持っている人を対象とした研究が根拠になっており、一般市民にもあてはまるとは言えない側面があることを指摘しています。

 一方、日本脂質栄養学会の主張する「悪玉コレステロールが高い方が長生きする」という考えは、動脈硬化に対するリスクが高い人に対してもあてはまるとは言えず、高い悪玉コレステロールが長寿につながる、などといった考えは危険であることも指摘しています。

 動脈硬化性疾患発症のリスクとして悪玉コレステロール値のみに注目するのではなく、高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴など他の危険因子も考慮して、トータルな生活習慣病の管理が重要である、ということをJ-CLEARは主張しています。

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 J-CLEARの指摘どおり、一律に「悪玉コレステロール値(LDL)が140mg/dL以上は動脈硬化のハイリスク」としてしまうのは短絡的すぎるでしょう。閉経後の女性であればこの数値より高い人はいくらでもいますし、逆に基準値以下であったとしても、肥満+高血圧+喫煙があれば、動脈硬化のハイリスクであることは明らかです。

 トータルな生活習慣病の管理を医師と共に考えていく、結局はこう考えるのが一番よさそうです。

注:J-CLEAR(臨床研究適正評価教育機構)の見解は下記のURLで閲覧できます。

http://j-clear.jp/oshirase.html

(谷口恭)

参考:医療ニュース
2010年9月6日 「やはり悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」
2010年7月14日 「悪玉コレステロールが高い方が長生き!?」

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