医療ニュース
2012年2月18日(土) インフルエンザなどの出席基準が見直し
2012年2月16日、文部科学省は、インフルエンザに罹患した小中高生及び大学生の出席停止期間を「発症後5日を経過し、かつ解熱した後2日間」とすることを決定しました。3月中に省令(注1)を改正し、2012年4月1日から施行する予定です。
インフルエンザの出席基準はこれまでは「熱が下がって2日たってから」とされていましたから、省令改正により欠席を強いる期間が長くなることになります。
尚、幼稚園児については、低年齢ほど感染させる可能性がある期間が長いという理由から、「発症後5日を経過し、かつ解熱した後3日間」とされるようです。
また、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の出席停止期間が、現行の「耳下腺の腫れが消えるまで」から「腫れが出た後5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで」に見直されます。
百日咳については、現行では「特有のせきが消えるまで」とされていますが、これに加え、「5日間の抗菌性物質製剤による治療終了まで」との条件が新たに追加され、これらのいずれかを満たせば出席が認められることになります。
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インフルエンザの出席条件が、現行で「熱が下がって2日たってから」とされているのは、CDC(米国疾病管理局)が2009年10月に「解熱後最低24時間は自宅にいるように(remain at home until at least 24 hours after they are free of fever)」と発表(注2)したことに基づいていると思われます。それが、抗インフルエンザ薬が普及することにより、熱はすぐにさがったけれど少量のウイルスが咳などで排出されている期間があり、その期間の感染を防ぐのが今回の省令見直しの目的だと思われます。
生徒や学生の場合は、省令が見直されても大きな問題は起こらないと思われますが、問題は会社員などの社会人です。社会人の場合は一定の基準がなく、これまでは「解熱後24時間」、「熱が下がって2日たってから」などの基準に従っている企業が多く、それほど問題はなかったと思われますが、今後「発症後5日経過」という学校保健法上の新しい基準に従うことにするとなれば、会社を長く休まなければならないことになります。連続で5日も休めないという社会人も少なくないでしょう。
今後、それぞれの企業がインフルエンザに対する基準を決めることが必要になるでしょう。
(谷口恭)
注1:「省令」について補足しておきます。感染症の出席については「学校保健法」という法律に基づきますが、この法律そのものに出席停止期間が明記されると、今回のように期間変更をしたいときに国会での審議をおこない法改正の手続きを経なければなりません。そこで、具体的な出席停止期間はこの法律の下のレベルの「省令」で審議・決定できることにされているのです。省令であれば、学校保健法の場合、文部科学省内で審議・決定ができるというわけです。
注2:CDCのこのガイダンスは下記のURLで読むことができます。
http://www.cdc.gov/h1n1flu/guidance/exclusion.htm
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