医療ニュース
2012年9月3日(月) 人間ドックの「異常なし」は過去最低
すでに各マスコミでも報道されていますが、日本人間ドック学会は、2012年8月24日、2011年に人間ドックを受診した全国の約313万人について、「異常なし」とされた人の割合が7.8%であり、これは過去最低になることを発表しました。
異常の内訳をみてみると、最多が「肝機能異常」で33.3%、2番目が「高コレステロール」で29.8%、以下、「肥満」27.6%、「血糖値異常」23.2%、「高血圧」21.0%、「高中性脂肪」15.3%と続きます。
地域別では、異常なしが最も少なかった(異常ありが多かった)のは、順に、近畿(5.2%が異常なし)、北海道(9.8%)、東北(7.2%)、関東甲信越(7.6%)、東海北陸(7.4%)、九州沖縄(8.9%)、中国四国(12.6%)となります。
人間ドックでみつかった悪性腫瘍は、多い順に胃ガン、大腸ガン、肺ガンとなるようです。
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企業などでおこなわれる定期健康診断の結果は毎年厚生労働省から公表されます。2011年の結果は「有所見率」が52.7%で、これは「異常なし」が47.3%(100 – 52.7 = 47.3)ということになります。人間ドックで「異常なし」は10%未満で、定期健康診断での「異常なし」は約半数となります。なぜこのような差が生じるのでしょうか。
定期健康診断での異常は、多いものから、脂質異常、肝機能異常、血圧異常、血糖異常です。なぜ最多が肝機能異常でないのかというと、定期健康診断では「高コレステロール」と「高中性脂肪」を合わせて「脂質異常」として算出しているからだと思われます。定期健康診断には「肥満」という項目がありませんから、もしも「肥満」を「有所見」とすれば、定期健康診断でも異常なしは1割未満となるのでしょうか。
不健康な人が人間トックを受けて、健康な人は定期健康診断を受けている、といったことがあるのでしょうか・・・。
人間ドック学会のデータにも定期健康診断のデータにも共通することがひとつあります。それは、年々「異常あり」が増加しているということです。定期健康診断でデータが最も古い1990年(平成2年)は、有所見率が23.6%と2011年の半分以下です。日本人が不健康になる一方、というのは双方のデータから言えることだと思います。
今後日本人の平均寿命が短くなる、そのような時代が来る日は案外近いかもしれません・・・。
(谷口恭)
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