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2016年7月4日 肥満+うつ(鬱)があれば食事前の悲しい話はNG

 ストレスがあるときは食事が喉を通らない、という人がいる一方で、ストレスがあれば食欲が亢進する、という人もいます。そして、皮肉なことに、日ごろから肥満を気にしている人に限って「食欲亢進」と言うような印象があります。この私の印象は正しいのでしょうか・・・。

 肥満とうつ(鬱)があると、悲しい話を聞いたときにエネルギー摂取量が有意に多くなる・・・。

 これは医学誌『Journal of health psychology』2016年5月20日号(オンライン版)に掲載された論文(注1)が主張していることです。

 研究は米国ニューヨークのセント・ボナベンチャー大学の心理学者Gregory J Privitera氏によるもので、154人が研究に参加しています。参加者を肥満、うつ病のカテゴリーに分類し、悲しい話を読んでもらったときと、幸せな話を読んでもらったときで、食事量や食事の内容がどれくれい変化するかが調べられています。被験者には、好きなものを好きなだけ食べられるビュッフェスタイルで食事が供給されました。

 結果、肥満とうつ(鬱)がある被検者は、悲しい話を読んだときに、エネルギー摂取量が有意に多くなり、また高カロリー食品を多く摂取することが分かったそうです。

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 研究の規模がさほど大きくないため、信ぴょう性はさほど高くないかもしれませんが、経験的にも合致することであり、参考になる研究だと思います。体重を気にしている人は、気分がすぐれないときには、意識して楽しい本を読んだり楽しい会話を心がける、ということが有効かもしれません。または、そのようなときには意識して食事量を減らし、高カロリーのものを避けるようにすべきでしょう。

 以前私は、フランス人は高カロリー食をたくさん食べるのに肥満が少ないのは「ゆっくり食べる」ことが原因ではないか、という自説を述べました(注2)。フランス人は家族との食事の時間を大切にし、ゆっくりと時間をかけて会話を楽しみながら食事をします。もしかすると肥満になりにくいのは、単に時間をかけて「ゆっくり食べる」からだけではなく、家族との会話を「楽しんで食べる」からかもしれません。

 いずれにしても、ストレスがありうつ状態になっているときに、そのストレスを”孤食”で解消することは止めておいた方がいいでしょう。

 

注1:この論文のタイトルは「Differential food intake and food choice by depression and body mass index levels following a mood manipulation in a buffet-style setting」で、下記URLで概要を読むことができます。

http://hpq.sagepub.com/content/early/2016/05/19/1359105316650508.abstract

注2:メディカルエッセイ第142回(2015年11月)「速く歩いてゆっくり食べる(後編)」

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