医療ニュース

2014年12月1日 薬を飲みやすくする2つの方法

 錠剤、カプセル、粉(細粒剤)、シロップと飲み薬には様々な形態があり、その人によって飲みやすさが異なります。誰もが簡単に飲めるのはシロップか口腔内溶解錠(OD錠)でしょうが、すべての薬でそのような形態が用意されているわけではありません。また、錠剤は日頃は飲めるのだけれど吐き気が強いときには飲めない、という人もいます。

 錠剤やカプセルは飲みにくいという患者さんの声はときどき聞くのですが、あまりきちんとした回答を医療者が準備しているわけではありません。しかし、最近、薬を飲みやすくする研究がおこなわれ発表されたので紹介したいと思います。

 この方法は、医学誌『Annals of Family Medicine』2014年11月12月号(オンライン版)に掲載されています(注1)。紹介されている2つの方法を下記に記します。

 1つめの方法は「ペットボトル法」(pop-bottle method)(注2)と命名された方法です。ペットボトルに水を満タン入れ、空気が入らないようにし、錠剤を舌に乗せて、ペットボトルの口を唇でくわえてそのまま水を飲み込む、という方法です(注3)。

 もう1つの方法は、前屈み法(lean-forward technique)と命名された方法で、カプセルを舌にのせて水を一口含み、顎(あご)を胸に付けるように下を向いてその状態で飲み込むというものです(注4)。

 この研究の対象者はドイツ人の男女151人、うち女性が52.3%、平均年齢は45.8歳(18~85歳)です。対象者の55.6%が錠剤やカプセル剤の服用時に困難さを訴えていたそうです。ペットボトル法(錠剤)を用いた59.7%、前屈み法(カプセル剤)を用いた88.6%が、服用しやすさが改善したと答えたそうです。

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 早速私自身がこの2つの方法を試してみたのですが、残念ながらそれほど飲みやすくなったとは感じられませんでした。しかし私は元々、少々大きめの錠剤でも水なしで唾だけで飲めますから、私の実験では参考にならないと思います。それに適当なカプセルの薬がなかったために前屈み法もカプセルではなく錠剤(整腸剤)で試しましたから、私の実験は実験のレベルとしてはかなり低いものと言えます。(しかし、錠剤とカプセルで2つの方法を使い分ける意味はどこにあるのでしょうか。この論文からはそれが分かりませんでした)

 私は効果を感じられませんでしたが、もしもあなたが日頃錠剤やカプセルを飲みにくいと感じているなら一度試してみてもいいかもしれません。(ただし、頸椎などの疾患で首を前に曲げることを禁じられている人や、嚥下障害のある人は試す前に主治医に相談してください)

(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは「Two Techniques to Make Swallowing Pills Easier」で、下記のURLで全文(PDF)を読むことができます。
http://annfammed.org/content/12/6/550.full.pdf+html

注2:ペットボトル(PET bottle)の「ペット」はポリエチレン・テレフタレート(PolyEthylene Terephthalate)の略ですが、私自身の経験では外国人から「PET bottle」という表現はほとんど聞いたことがありません。日常生活でなら「plastic bottle」で問題ないと思います。私は外国人相手にはそのように言います。この論文で使われている「pop-bottle」という表現は初めて聞きましたが一般的な表現なのでしょうか。ちなみにビニール袋は「plastic bag」と言えば英語を話す人にならまず通じます。(日本人には通じないことがありますが・・)

注3注4:あまり上手とは言えないと思うのですが(失礼!)、論文(注1参照)のなかにイラストがありますので参照してみてください。

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