医療ニュース

2009年1月23日(金) 後発品処方希望カードに6億円以上も!

 後発医薬品(ジェネリック薬品)という言葉はかなり普及してきているように思われますが、もう一度確認しておくと、新薬(先発品)と有効成分が同じで安価な薬のことです。薬にもよりますが、安いものであれば先発品の5分の1以下のものもあります。

 厚生労働省は1月20日までに、患者が病院窓口や薬局で提示して後発医薬品の処方を希望できる「お願いカード」を、中小企業の従業員らが対象の協会けんぽや後期高齢者医療制度の加入者に配布する方針を決めました。(報道は1月21日の共同通信)

 厚労省は、2009年度予算案に後発薬使用推進費を前年度比4倍増の約9億2000万円を盛り込み、このうち、約6億1000万円をカード配布する費用の補助に充てるそうです。さらに、市町村が運営する国民健康保険がカードを配布する場合は別途補助する方針です。

 現在の後発医薬品の普及率は17%(2006年度、数量ベース)にとどまっており、12年度までに30%以上に引き上げる国の目標達成には厳しい状況にあります。2008年度の診療報酬改定で処方せんの様式が変わり、医師が後発医薬品への変更を認めない場合だけ「変更不可」欄にチェックするようになりましたが、後発医薬品の処方はあまり進んでいないのが現状です。

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 カードを配布する費用に果たして6億1千万円も必要なのでしょうか。こんなお金をかけなくても、医療機関や薬局が自主的に後発医薬品を患者さんにすすめればいいだけの話ではないでしょうか。

 ところで、後発医薬品が普及しない理由のひとつに、我々医師が「本当に後発医薬品は先発品と同様の効果があるのか。そして、副作用の心配はないのか」と感じていることが挙げられます。実際、きちんとしたデータはないものの、日頃の経験として「先発品とまったく同じとは思えない」後発医薬品があります。(太融寺町谷口医院では、効果に疑問のある後発医薬品は処方していません)

 カード配布に6億1千万円もの費用を使う余裕があるなら、後発医薬品が先発品に比べて有効性や副作用の観点からの問題はないのかを検証するために予算を計上してもらいたいと私は感じています。

(谷口恭)

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