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2017年2月10日 片頭痛があると術後脳卒中のリスク上昇か

 片頭痛について、数年前からしばしば言われるのが「脳梗塞のリスク」です。医学誌『Neurological Sciences』2010年6月号(オンライン版)に掲載された論文(注1)で指摘され、マスコミでも何度か取り上げられたからなのか、診察室でもよく質問されます。私がいつも患者さんに言っているのは、「あまり気にしすぎないこと。そして、脳梗塞のリスク、例えば肥満や生活習慣病、喫煙などには注意すること」と話しています。最近、同じような研究が報告されたので紹介します。

 片頭痛のある患者は手術の後、脳梗塞を起こしやすく、再入院の率も高い

 医学誌『British Medical Journal』2017年1月10日号(オンライン版)に掲載された論文(注2)です。

 対象者は2007年1月~2014年8月に、マサチューセッツ総合病院と2つの関連施設で手術を受けた12万4,558例(平均年齢52.6歳、女性が4.5%)です。対象者のなかで片頭痛の診断を受けたことがある人が10,179人(8.2%)で、そのうち(閃輝暗点などの)前兆がある人が1,278人(片頭痛患者の12.6%)、前兆がない人が8,901人(87.4%)です。手術を受けてから30日以内に脳梗塞を起こしたのは771人(全体の0.6%)です。

 これらを分析すると、全体では術後に脳梗塞を起こすリスクは1000件あたり2.4。すべての片頭痛患者でみると1000件あたり4.3。さらに片頭痛患者を前兆なし・ありで分けて解析すると、前兆なしで3.9、ありで6.3となっています。これらから、片頭痛があれば術後に脳梗塞を起こすリスクは1.75倍に、さらに前兆がある場合は2.61倍になることがわかりました。

 また、片頭痛があれば、退院後30日以内に再入院になるリスクが1.31倍と上昇していました。

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 太融寺町谷口医院の患者さんでいえば、特に女性で片頭痛のある人は、ナイーブな人が多く、本文にも述べたように脳梗塞への不安をしばしば口にします。(元々ナイーブな人が多いのか、度重なる頭痛からナイーブな側面がでてきたのかはわかりません)

 片頭痛は通常の鎮痛薬が無効である場合が多く、高価なトリプタン製剤や予防薬が必要になることも多々あります。しかし、規則正しい生活を実践するだけでも頭痛の頻度が劇的に少なくなる人も大勢います。

 月並みな言い方ですが、規則正しい生活を心がけ、脳梗塞のリスクとなるような生活習慣を改めるのが、最善の治療であるのは事実です。
 

注1:この論文のタイトルは「Migraine and cerebral infarction in young people」で、下記URLで概要を読むことができます。

http://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10072-009-0195-7

注2:この論文のタイトルは「Migraine and risk of perioperative ischemic stroke and hospital readmission: hospital based registry study」で、下記URLで概要を読むことができます。

http://www.bmj.com/content/356/bmj.i6635

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