医療ニュース

2009年8月24日(月) 中国黒龍江省のペスト騒ぎ

 先日、中国青海省海南チベット族自治州興海県で、12人が肺ペストに罹患し死者も相次いでいる、というニュースを紹介しましたが、今度は黒龍江省でペストの騒ぎがありました。

 8月19日の共同通信によりますと、黒竜江省の伊春市保健当局は8月17日、同市内で7人の出血熱発症例が報告されたと発表しました。出血熱の原因となる病原体については発表がありませんが、7人は森林地帯の住民で、7月28日から8月3日の間に発症していたことが判っています。すでに治療を受けており全員の容態が安定しているそうです。

 当局の発表では、全員がネズミにより汚染された食べ物を食べたり、水を飲んだりしたことが原因である、とされています。

 この騒ぎに対して、インターネット上では肺ペストの噂が出回っていましたが、保健当局はこれを否定しています。

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 肺ペストは致死的な病気ですから、流行すればその地域や国が壊滅する恐れもあります。実際、ヨーロッパの歴史は、ペスト菌により何度も作り変えられているといっても過言ではありません。

 それだけに、もしもペスト菌が内陸に位置する青海省から東北部にある黒龍江省まで波及すれば、世界史に残る大惨事になるに違いありません。

 今回の噂は、黒龍江省の患者がネズミから感染したことから出たのかもしれません。

 しかし、このニュースは「ペストじゃなくてよかったね」で終わらせるのはちょっとまずいように思えます。なぜなら出血熱は一般的に感染力が強く重症化することも珍しくないからです。

 当局には、この出血熱の原因となった病原体が何なのか、そして今後感染が蔓延する可能性がないのかどうか、といったあたりについても発表をしてもらいたいと思います。

(谷口恭)

参考:医療ニュース 2009年8月5日「中国で肺ペスト、一帯を封鎖」

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