医療ニュース

2011年3月28日(月) カリウム摂取で心血管疾患を予防

 カリウムの豊富な食事を摂ることにより、脳卒中リスクや心疾患リスクが低減する・・・

 これは、イタリアのフェデリコ(Federico)Ⅱ世大学、Pasquale Strazzullo博士の研究結果で、医学誌『American College of Cardiology』3月8日号(オンライン版)に論文が掲載されています(注1)。

 研究では、これまでに発表されている11件の研究(合計247,510人が対象)を、メタ解析という方法で総合的に分析しています。その結果、カリウムを1日に1.64g以上摂取する人は脳卒中リスクが21%低く、その他の心血管疾患リスクも低い傾向にあることが判明したそうです。

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 カリウムを1.64gと言われても、何をどれくらい食べればいいのか分かりにくいと思いますが、まず、カリウムが豊富な食品の代表は野菜と果物であることを確認しましょう。具体的には、例えば、カリウムが豊富な果物の代表であるバナナであれば1本で0.36グラム、カリウムが豊富な野菜の代表のトマトでは中くらいの大きさのもの1個で0.21グラムです。カリウムは肉やいも、炭水化物にも含まれていますが、1日1.64グラムというのは、野菜・果物を積極的に摂らないとちょっとむつかしいのではないかと思われます。

 この研究の研究者は、「果物または野菜を5サービング以上食べれば、予防効果を得るために必要なカリウムを摂取できる」とコメントしています。では、「サービング」とは何なのか、ですが、生野菜なら1カップ(240mL)で1サービング、果物なら、例えばバナナ1本で1サービングが目安になります。(あまり分かりやすくないですね)

 また、研究者らは、果物・野菜・ナッツ類が豊富で、低脂肪の乳製品が適度に含まれるDASHダイエット(注2)をおこなえば、カリウムが積極的に摂取できる可能性を指摘しています。

 尚、ひとつ補足しておくと、多くの人にとってカリウム摂取量が増えても危険はありませんが、腎機能低下を患っている人や、カリウムを低下させる薬剤を服用している人は医師に相談すべきです。

(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは、「Potassium Intake, Stroke, and Cardiovascular Disease」で、下記のURLで概要を読むことができます。

http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/57/10/1210?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=&fulltext=Pasquale+Strazzullo&searchid=1&FIRSTINDEX=0&resourcetype=HWCIT

注2:DASHとは「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の略で、ダイエットにより高血圧を予防することを目的としています。1日2000kcalが基本で、脂肪やコレステロールの摂取量を減らし、特に果物と野菜を積極的に摂るのが特徴です。

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