医療ニュース

2012年11月27日(火) エナジードリンクに注意を

 米国FDA(米国食品医薬品局)がいわゆる「エナジードリンク(energy drink)」に対する注意勧告をおこないました(注1)。

 エナジードリンクとは、カフェインやタウリンなどの成分を多量に含み、「パフォーマンス向上」、「集中力アップ」などとPRしているドリンク剤のことです。今回FDAが調査をおこない有害事象が報告されているのは「5-Hour Energy」という製品が多いようです。(注1の報告書の後半の表を参照ください)

 有害事象としては、気分不良、体重減少、嘔気などが多いようですが、なかには死亡例もあるようです。

 今回の調査は「有害事象」を調べたものであり「副作用」を調べたわけではありません(注2)。つまり、不快な症状の原因や死亡の原因が5-Hour Energyと断定されるわけではありません。5-Hour Energy服用からどれくらいたってから症状が出現したのかが分からなければ、摂取した5-Hour Energyの量も分からないということです。実際、FDAはこのレポートで「これら有害事象と商品摂取との因果関係は明らかでない」と述べています。

 しかし、それでもこのようなレポートが正式に公表されたわけですから、エナジードリンクを摂取する際には充分注意をする必要があるでしょう。

 尚、エナジードリンクについては、米国小児科学会(American Academy of Pediatrics、AAP)が2011年に「多量のカフェインが含まれているため小児の摂取は危険」との声明を発表しています。

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 FDAのレポートでは、「5-Hour Energy」以外の製品として「Monster」「Rockstar」も取り上げられています。

 私はこれらの製品名を聞いたことがなかったので、調べてみると、「Monster」「Rockstar」は日本で発売されていることが分かりました。また、「5-Hour Energy」も個人輸入で簡単に手に入るようです。

 ちなみに私は「エナジードリンク」と聞いて、まず頭に浮かんだのが「Red Bull」です。Red Bullはおそらくタイが発祥だったと思います。タイでは随分と前から頻繁にみかけますが、最近では日本のコンビニでも売られているようです。このRed Bullでも被害が出ているのかに興味があったためにいくつかの報道を調べてみました。

 2012年11月15日のNew York Times(注3)は、今回のFDAの注意勧告に関する記事を取り上げていてRed Bullについても言及しています。同紙によりますと、Red Bullは、米国ではエナジードリンクではなく清涼飲料水(beverage)の扱いとなり、今回のFDAの調査の範疇には入れられていないそうです。(だからといって安全と断定できるわけではありません)

 有害事象が報告されFDAが注意勧告をしている以上、エナジードリンクが好きな人は今後も安全に関する情報に注意する必要があるでしょう。しかし、副作用があるかもしれないというリスクを抱えてでも摂取すべきほどの効果が期待できるものなのでしょうか。ちなみに私はRed Bullをタイで初めてみた年に何度か試してみましたが、その後は一度も飲んでいません・・・。

(谷口恭)

注1:この注意勧告に関するレポートは下記URLで閲覧することができます。

http://www.fda.gov/downloads/AboutFDA/CentersOffices/OfficeofFoods/CFSAN/CFSANFOIAElectronicReadingRoom/UCM328270.pdf

注2:言葉の意味を補足しておきます。「有害事象」とは因果関係に関係なく起こりうる事象をいいます。例えば、極端な例を挙げれば、てんかんを持っている人が薬を飲み忘れていて、5-Hour Energyを飲んだ後にてんかん発作が起こったようなとき、原因は薬の飲み忘れと考えられますが、この場合も5–Hour Energyの「有害事象」とされます。一方、「副作用」は5-Hour Energyを飲んだことが原因で生じた好ましくない事象のことをいいます。

注3:New York Timesのこの記事は下記のURLで閲覧できます。

http://www.nytimes.com/2012/11/16/business/scrutiny-of-energy-drinks-grows.html?_r=0

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