医療ニュース
2015年3月20日 海外旅行でいったいどこに行けばいいのか
2015年3月18日、チュニジアの首都チュニスにて、国民議会議事堂と国立博物館が武装集団により襲撃され、複数の観光客を人質に立てこもる事件が発生しました。3月20日時点で日本人3名の死亡が確認されています。
この事件との関係は明らかではないものの、チュニジアではISIL(イスラム国)に外国人戦闘員として参加した後に帰還している者がいることが確認されています。そしてこのような帰還者がテロを起こすことが懸念されています。
今回の事件を受けて、外務省は次のような注意喚起を発表しています(注1)。
・チュニジアの他、サウジアラビア、ヨルダン、モロッコ等のアラブ諸国についてもISILに参加した戦闘員が帰還している。
・欧米諸国も例外ではなく、フランス、イギリス、ドイツ、オーストラリア、ベルギー、オランダ等からISILに参加した外国人戦闘員が帰還している。
・テロの標的となりやすい場所(政府・軍・警察関係施設、公共交通機関、観光施設、デパートや市場など不特定多数が集まる場所)を訪れる際には、周囲の状況に注意を払うこと。
*****************
この注意喚起を読んで「では注意しよう」と素直に思える人はどれくらいいるでしょうか。アラブ諸国はともかく、ヨーロッパやオーストラリアに旅行に行って、公共交通機関を使わずに、観光施設を訪れず、デパートや市場に行ってはいけない、と言われれば、では旅行先で何をすればいいのでしょうか。
とはいえ、私は外務省のこの注意勧告を批判したいわけではありません。国家としてこのような注意を促すのは当然でしょう。それだけISILが異常な集団であるということです。
太融寺町谷口医院の患者さんは、仕事、観光、ボランティア、留学などで海外に行かれる人が多く、そのための英文診断書作成やワクチン接種、マラリア予防薬や高山病予防薬の処方を日々おこなっています。私がすべての患者さんに注意しているのは、「海外では自分の身は自分で守らなければならない」ということです。
海外で何かあったときに外務省は頼りになりません。海外に渡航するときは、自分の行動に責任をとりリスクのある行為は慎まなければなりません。冤罪で逮捕されたときですら外務省は何もしません(注2)。
海外では助けてくれない外務省ですが、今回の発表はその通りです。今後世界史の教科書の多くのページにISILのことが書かれるかもしれない。私はそのように考えています。
注1:詳しくは外務省の下記ページを参照ください。
http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo.asp?infocode=2015C075
注2:詳しくは下記コラムを参照ください。
GINAと共に第99回(2014年9月)「薬物密輸の罠と罪」
最近のブログ記事
- 2024年11月17日 「座りっぱなし」をやめて立ってもメリットはわずか
- 2024年10月24日 ピロリ菌は酒さだけでなくざ瘡(ニキビ)の原因かも
- 2024年10月11日 幼少期に「貧しい地域に住む」か「引っ越し」がうつ病のリスク
- 2024年9月19日 忍耐力が強い人は長生きする
- 2024年9月8日 糖質摂取で認知症のリスクが増加
- 2024年8月29日 エムポックスよりも東部ウマ脳炎に警戒を
- 2024年8月4日 いびきをかけば認知症のリスクが低下?
- 2024年7月15日 感謝の気持ちで死亡リスク低下
- 2024年6月30日 マルチビタミンで死亡率上昇?
- 2024年6月5日 15歳老けてみえる人は大腸がんかも
月別アーカイブ
- 2024年11月 (1)
- 2024年10月 (2)
- 2024年9月 (4)
- 2024年8月 (1)
- 2024年6月 (2)
- 2024年5月 (2)
- 2024年4月 (2)
- 2024年3月 (2)
- 2024年2月 (3)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (2)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (2)
- 2023年8月 (1)
- 2023年7月 (3)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (2)
- 2023年4月 (2)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (2)
- 2022年12月 (2)
- 2022年11月 (2)
- 2022年10月 (2)
- 2022年9月 (2)
- 2022年8月 (2)
- 2022年7月 (2)
- 2022年6月 (2)
- 2022年5月 (2)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (2)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (2)
- 2021年12月 (2)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (2)
- 2021年9月 (2)
- 2021年8月 (2)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (2)
- 2021年4月 (4)
- 2021年3月 (2)
- 2021年1月 (2)
- 2020年12月 (3)
- 2020年11月 (3)
- 2020年9月 (2)
- 2020年8月 (2)
- 2020年7月 (1)
- 2020年1月 (2)
- 2019年12月 (2)
- 2019年11月 (2)
- 2019年10月 (2)
- 2019年9月 (2)
- 2019年8月 (2)
- 2019年7月 (2)
- 2019年6月 (2)
- 2019年5月 (2)
- 2019年4月 (2)
- 2019年3月 (2)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (2)
- 2018年11月 (2)
- 2018年10月 (1)
- 2018年9月 (2)
- 2018年8月 (1)
- 2018年7月 (2)
- 2018年6月 (2)
- 2018年5月 (4)
- 2018年4月 (3)
- 2018年3月 (4)
- 2018年2月 (5)
- 2018年1月 (3)
- 2017年12月 (2)
- 2017年11月 (2)
- 2017年10月 (4)
- 2017年9月 (4)
- 2017年8月 (4)
- 2017年7月 (4)
- 2017年6月 (4)
- 2017年5月 (4)
- 2017年4月 (4)
- 2017年3月 (4)
- 2017年2月 (1)
- 2017年1月 (4)
- 2016年12月 (4)
- 2016年11月 (5)
- 2016年10月 (3)
- 2016年9月 (5)
- 2016年8月 (3)
- 2016年7月 (4)
- 2016年6月 (4)
- 2016年5月 (4)
- 2016年4月 (4)
- 2016年3月 (5)
- 2016年2月 (3)
- 2016年1月 (4)
- 2015年12月 (4)
- 2015年11月 (4)
- 2015年10月 (4)
- 2015年9月 (4)
- 2015年8月 (4)
- 2015年7月 (4)
- 2015年6月 (4)
- 2015年5月 (4)
- 2015年4月 (4)
- 2015年3月 (4)
- 2015年2月 (4)
- 2015年1月 (4)
- 2014年12月 (4)
- 2014年11月 (4)
- 2014年10月 (4)
- 2014年9月 (4)
- 2014年8月 (4)
- 2014年7月 (4)
- 2014年6月 (4)
- 2014年5月 (4)
- 2014年4月 (4)
- 2014年3月 (4)
- 2014年2月 (4)
- 2014年1月 (4)
- 2013年12月 (3)
- 2013年11月 (4)
- 2013年10月 (4)
- 2013年9月 (4)
- 2013年8月 (172)
- 2013年7月 (408)
- 2013年6月 (84)