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2014年2月8日 HPVワクチンの副作用は「心身の反応」のせい??

 子宮頸がんや尖圭コンジローマのワクチン(以下、HPVワクチン)について、厚生労働省は、2013年6月、「子宮頸がん予防ワクチンの接種を受ける皆さまへ」というタイトルの注意勧告(注2)を出し、「現在、子宮頸がん予防ワクチンの接種を積極的にはお勧めしていません」と記載されています。

 なぜこのような注意勧告がおこなわれたかというと、HPVワクチンを接種した女子生徒に副作用の出現が相次いだからです。なかには持続的な痛みに悩まされ、日常生活もままならない生徒もいるそうです。しかし、一方ではHPVワクチンは世界の多くの国で定期接種に組み込まれるようになってきており日本だけが遅れるのはいかがなものか、という意見もあります。

 2014年1月20日、厚生労働省の厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全調査会は合同会議を開き、HPVワクチンの副作用は、「心身の反応により惹起された症状が慢性化したものと考えられる」と結論付けて、これを公表しました(注1)。

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 さて、ここから先は報道されていませんが、この結論が発表された直後から多くの反対意見が寄せられたことが推測されます。なぜならいったん発表したサイトが現在は閲覧できなくなっているからです。

 毎日耐えがたい痛みと戦っている女子生徒やその親御さんからすれば、これだけの苦しみが「心身の反応」と言われて納得できるはずがありません。このような発表をするならば、たとえ心身の反応が原因であったとしても、被害者の方への配慮が絶対に必要です。被害にあった女子生徒の学校の友達はどう思うでしょうか。「な~んだ。ワクチンのせいで学校に来れなくなって気の毒だと思ってたけど、ずる休みだったのか」と誤解される可能性も考えられます。

 私自身はHPVワクチンが普及することに賛成の立場です。ワクチンを接種しても絶対に子宮頚ガンにならないわけではなく定期的な検診が必要であることには変わりありませんが、それでも7割程度のガンは予防できるのです。それに4価ワクチン(ガーダシル)であれば尖圭コンジローマというやっかいな病気をかなりの確率で防ぐことができるわけです。私自身はHPVワクチンというのは医学の歴史に残る画期的なワクチンだと思っています。

 しかし女子中学生全員に接種するという考えには同意できません。なぜなら性交渉を介してしかHPVは感染しないからです。中学を(あるいは高校を)卒業するまでカレシができてもプラトニックラブを通す(だからワクチンは不要)と考えている生徒がいるとすれば、その考えを尊重すべき、というのが私の考えです。

 このサイトで何度も述べていますが、B型肝炎ウイルス(HBV)や水痘(みずぼうそう)や流行性耳下腺炎(これら3つはいずれも性交渉のような緊密なコンタクトがなくても感染します)のワクチン接種が不十分であるこの国の状況のなかで、なぜHPVだけを急いで全員に接種しなければならないのか、私にはその理由がどうしても理解できないのです。

(谷口恭)

注1:この発表のURLは下記のとおりでした。「でした」というのは現在見られなくなっているからです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000035220.html%20target=

参考:はやりの病気第119回(2013年7月)「VPDを再考する」

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