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2014年1月27日 月曜日
2014年1月28日 やはりビタミン・ミネラルのサプリメントは利益なく有害
過剰な宣伝効果のせいか、マルチビタミンやミネラルはいまだによく売れているそうですが、USPSTF(U.S. Preventive Services Task Force、米国予防医療研究チーム)は、すでに2003年に、「ビタミンA、C、E、葉酸入りマルチビタミン、抗酸化物質は推奨する根拠がない(だから推奨しない)」と公表しており、さらにβカロテン(カロチン)については、「喫煙者などの肺ガンのリスクを高める」ことを指摘しています。
新たに系統的な分析をおこなった結果、やはりサプリメントには心血管疾患予防やガンの予防、死亡リスクを低減する効果はなかった。また、やはりβカロテンは喫煙者などの肺ガンのリスクを高める可能性があることがわかった・・・
これは、医学誌『Annals of Internal Medicine』2013年12月17日号(オンライン版)に掲載された論文の結論です(注1)。
研究者は、2003年の上記USPSTFの発表後に報告されたサプリメントの利益と害に関するいくつかの文献を系統的に解析することによってこの結論を導いています。
一部の研究では、長期間マルチビタミンを摂取していた男性は発ガンリスクが低下するというものもあったようですが(下記医療ニュース2012年11月3日参照)、他の良質な研究も交えて総合的に解析すると、ビタミンやミネラルのサプリメントが心血管疾患やガンのリスクを下げる効果はない、という結論が出たそうです。
有害性については、一部の研究で、ビタミンAが肺ガンと股関節骨折のリスクを上昇させる可能性が指摘されています。別の研究では、葉酸が前立腺ガンのリスクを上昇させるというものもあったようです。また、カルシウム摂取が大腸ガンのリスク上昇を示唆したものもあり、ビタミンDとカルシウムの併用で腎結石リスクが上昇することを示した研究もあります(これは以前から何度も指摘されていました)。βカロテンは、喫煙者などの肺ガンのリスクを上昇させることが確認されたようです。
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私は権威に対して盲目的に従うタイプの人間ではありませんが、2003年のUSPSTFの「ビタミン・ミネラルのサプリメントは効果なくむしろ有害性がある」という発表を受けて、個人的にこういったサプリメントの摂取を一切やめました。科学系の雑誌やネットなどでも少しはこのようなことが報じられましたが、もうひとつ世間には伝わっていないように思えます。
なぜか大手のマスコミはサプリメントが有益でないことや有害性があることについての報道をあまりおこないません。薬やワクチンの副作用を大きく取り上げるのとは対照的です。これはなぜなのでしょう。サプリメントのメーカーがスポンサーになっているからではないのか、と疑われても仕方がないのではないでしょうか。
ただ「サプリメントを飲み出してから身体の調子がいい」と言う人がいるのも事実です。私自身はやみくもにサプリメントを否定するつもりはありませんが、長期摂取で有害性が出れば問題です。サプリメントを摂取している人は一度主治医に相談した方がいいでしょう。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは、「Vitamin and Mineral Supplements in the Primary Prevention of Cardiovascular Disease and Cancer: An Updated Systematic Evidence Review for the U.S. Preventive Services Task Force」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://annals.org/article.aspx?articleid=1767855#Abstract
参考:
メディカルエッセイ第123回(2013年4月)「カルシウムのサプリメントは危険か」
医療ニュース
2011年11月14日「ビタミンEの発ガンリスク」
2012年3月13日「ビタミンE過剰摂取で骨粗しょう症に」
2011年8月26日「ビタミン剤で発ガンのリスク上昇」
2012年11月3日「マルチビタミン摂取でわずかながらもガン減少」
2012年6月30日「カルシウムのサプリで心筋梗塞のリスクが2倍」
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2014年1月27日 月曜日
2014年1月27日 デング熱は本当に日本で感染したのか
2014年1月10日、厚生労働省は「日本国内でデング熱ウイルスに感染した可能性のある症例」について発表をおこないました(注1)。
同省によりますと、この症例はドイツ人で、2013年8月下旬に日本を周遊したときにデング熱ウイルスに感染しドイツ帰国後に発熱や発疹などの症状を発症したと考えられているそうです。調査はドイツのロベルト・コッホ研究所でおこなわれたとのことです。同研究所からの情報提供を受けて、厚生労働省が検討したところ、日本での感染が否定できないという結論となったそうです。
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日本にいた時期がはっきりしているわけですから、このドイツ人が日本のどこを訪問して、ということはある程度細部にわたるまで把握できるはずです。私は、厚労省のこの1月10日の発表に次いで、例えば、どこの県のどの地域での感染の可能性があるのか、といった情報が出てくるとみていたのですが、1月27日の時点でまだ情報提供がありません。
今は冬で蚊がいませんから余裕がありますが、蚊が登場する季節までにはもっと正確な情報提供をしてもらわなければなりません。場合によってはその地域では外出するときに必ず虫除けスプレーを露出部に使用する、といった対策が必要になるかもしれません。
デング熱はネッタイシマカもしくはヒトスジシマカが人を刺したときに蚊の体内にいたデング熱ウイルスが侵入してくることで感染が起こります。日本では太平洋戦争中に現地から人と一緒に船に乗ってやってきた蚊による流行が起こったとされていますが、それ以降国内での感染はないはずです。しかし、海外で感染して日本帰国後に発症というケースが年間100-200例あります。
今後の厚労省の発表に注目したいと思います。
(谷口恭)
注1:厚労省のこの発表については下記URLを参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/20140110-01.pdf
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2014年1月21日 火曜日
132 医師の労働時間の実態 2014/1/21
医師は他の業種に比べて労働時間が長いということに異論を唱える人はほとんどいないと思いますが、実態はどうなのでしょうか。
医師はどれくらい働かなければならないのか、という質問は以前から私の元にしばしば寄せられます。医学部受験を考えている人が、「医師が過労死・・・」といったニュースをみると不安になるようなのですが、これは当然でしょう。
医師の労働条件の調査は、比較的新しいところでは、メディカルエッセイ第117回(2012年10月号)で紹介した、医療サイトm3.comによるものがあります。m3.comのこの調査では、勤務医と開業医の年収と時給が調べられています。勤務医は年収が1,442万円、時給が2,643円で、開業医は年収が2,156万円、時給は4,333円とされています。(以前も述べましたが、開業医の年収はこれから借入金の返済や保険の支払いをしなければなりませんから事実上の年収は大きく減少し実態を反映しません。ここでは勤務医の数字をみていくことにします)
m3.comは、時給を「年収÷12÷(30-休日)÷1日あたりの勤務時間」の式で算出しているそうです。この式を変換すると、休日をゼロと考えれば、1日あたりの勤務時間=年収÷時給÷12÷30となり、1,442万円÷2,643円÷12÷30=15.15時間となります。月あたりにすれば、15.15x30日=455時間となります。労働法に基づく標準的な労働時間を160時間(1日8時間x週5日x4週)とすると、過重労働は455-160=295時間となります。最近は職場が原因のうつ病などで過重労働が160時間あたりを超えると労災認定されることが増えてきています。ということは、数字だけでみればほとんどの医師が過重労働が原因のうつ病になってもおかしくない、ということになってしまいます。
では現実はどうなのか、というと、実際医師でうつ病になる者は少なくないですし、しばらく休職する医師、あるいは残念ながらうつ病が回復せずに退職せざるを得ない、という医師も珍しくはありません。ただ、では医師はほぼ全員がうつ病予備軍かと言えば、そういうわけでもありません。
いわゆる「職人」と呼ばれる職業の多くがそうであるように、医師という職業も「仕事」というよりは自分の「勉強」(あるいは「修行」といってもいいかもしれません)に費やす時間が長く、勉強と仕事の境界が曖昧なのです。例えば、外来や病棟の患者さんの診察が終わってから夜間の救急外来の見学に行ったり、あるいは院内の図書室に行って論文を読んだり書いたりするのは、仕事といえば仕事かもしれませんが、自分の研究あるいは勉強と言えなくもありません。
これは医局が、あるいは先輩医師が強要して研究や勉強をさせられているというよりは、若い医師自らが率先しておこなっています。そんな前近代的な・・・、という声があるかもしれませんがおそらくほとんどの医師はそのような勉強を当然のことと考えています。
以前『研修医はなぜ死んだ』や『医者を殺すな』を上梓されたジャーナリストの塚田真紀子さんから直接聞いたことがあるのですが、いわば同志の研修医が過労で亡くなったという事実があるのにも関わらず、塚田さんがインタビューした研修医の多くは、「研修医が長時間働くことは当然」と答えたそうです。
大学病院で研修医の指導をしている医師に聞くと、最近は研修医の中にも「労働者の権利」を主張し夕方5時になると帰ってしまう者もいるそうです。しかし、このような研修医は例外であり、大半の研修医はほぼ「滅私奉公」の状態でがんばっているそうです。
医師が長時間働いていることは実際に入院してみればよくわかると思います。私も勤務医の頃は、入院患者さんから「休みなしなんですね。調子よくなってきましたからたまにはあたしのところに来なくてもいいですよ」などと言われたりしました。私が最近読んだ大野更紗さんの『困ってるひと』(注1)には、大野さんの主治医の先生は「24時間365日働いている」ことが述べられています。
では、病院につとめる勤務医ではなく開業医はどうかというと、在宅医療をしている開業医であれば「24時間365日」を謳っているところも少なくありません。もちろん、昼も深夜も休憩なく働いているというわけではなく、夜中に電話が鳴らなければ起こされることはないわけですが、夜間に具合が悪くなった患者さんから電話があり深夜に患者さんのところまで往診に行くこともあります。
これは本当に大変なことで、私自身もクリニックをオープンした最初の1年間は、往診はしていませんでしたが夜間の電話は受けていました。すると、ひっきりなしに電話が鳴るようになり、患者さんの不安が強いのはわかるのですが、直ちに医療を要する状態ではない場合がほとんどであり、とても対応できないと判断し、現在は私自身が電話をとるのは午前7時~9時に限定しています。
さて、では私のように在宅医療や往診をしていない開業医は労働時間が長くないのか、と問われれば、24時間体制で往診をしている医師や当直の多い勤務医に比べると随分とラクをさせてもらっていると思います。特に最近は年末年始も休みをいただいていますから他の医師から恨まれても仕方がないかもしれません・・・。
そんな私の労働時間はどれくらいかというと、月あたりだいたい320~350時間程度です。私の1週間を簡単に紹介しておくと、毎朝5時に起床し入浴。新聞を読んだ後に、NPO法人GINAの関連のメール及びプライベートのメールをチェックし、午前6時過ぎに出勤し、ここから仕事が始まります。午前9時半頃までは前日診察した症例のカルテの記載、血液検査やレントゲンの見直し、難渋している症例に関する論文の検索などをおこないながら、患者さんからのメールに返答し電話も取ります。(他のスタッフの出勤は午前9時以降です)
午後2時頃に午前の診療が終わり、5分程度でカップラーメンを食べてからカルテ記載をおこないます。待ち時間を減らすために診察中は必要最低限のことのみをカルテに記載し不足分は後で補っているのです。このまま休憩なしで午後の診察に入ると身体がもたないので10分程度の仮眠をとります。そして3時50分から午後の診察に入り、終了するのは日によりますが早くて8時半、遅くて10時すぎ、平均すると9時過ぎくらいになります。
休診日の木・日・祝は何をしているかというと、診断がつかなかったり治療に難渋している症例に関する文献の検索や、複数の医学誌に掲載されている論文を読んだり、学会発表や講演に使うスライドを作成したり、あるいは依頼された原稿や論文を書いたりといった感じです。また、最近は他の医療機関で診療することは減らしていますが、月に一度程度は産業医として小規模企業の従業員と面談をする仕事を担っています。
休診日には学会や研究会、セミナーなどに出席することもあります。昨年(2013年)のスケジュールを見直してみると、1年間のうち合計40日は学会、研究会、セミナーなどに出席していました(注2)。スケジュール表で丸1日休んだ日を探してみると、ゴールデンウィークとお盆休み年末年始を除くと、登山に費やした1日だけでした。お盆休みは毎年タイに渡航しGINAの関連で各施設を訪ねたり関係者に会ったりしますから私自身がゆっくりできることはありません。
というわけで私が終日クリニックに行かず、学会や研究会にも参加しない日というのは年間10日程度となります。これを少ないとみるか多いとみるか、ですが、医師に対して厳しい意見を持っている人からみると「休みすぎ」となるかもしれません。
医師の間では有名な秋田県のある村(仮にK村としておきます)では、村にひとつしかない診療所に医師が定着しません。これまで何人もの医師が長期間働くつもりで勤務しているのですが、村の人たちは医師が休むことを許してくれず、ほとんどの医師が数ヶ月で辞めていくそうです。ある医師は、昼食をとる時間がなく診療所内で食事をしようとパンを買ったときに「患者を待たせておいて買い物か」と非難され、お盆期間にも診療を続けた後8月17日の1日を休診にすると「平日なのに休むとは一体何を考えているんだ!」と村の人たちに言われたそうです。
K村の人たちに言わせると、私のような医師は完全に「休みすぎ」となるでしょう。一方、労働基準法からすると私の月の労働時間は320~350時間(過重労働でいえば160~180時間)となりますから「働き過ぎ」ということになります。
日本は今後世界中のどの地域も経験したことのない超高齢化社会に突入します。医療に対する需要はどんどん増えていくはずです。しかし、供給つまり医師数が大きく増えることはありません。とすると、ますます医師の労働時間が長くなるのは自明です。
私もそのうちに「年末年始に休むとは一体何を考えているんだ!」と怒りの声を聞くことになるのでしょうか・・・。
注1 大野更紗さんのこの本『困ってるひと』(ポプラ文庫)は第5回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞を受賞」を受賞されています。皮膚筋炎と筋膜炎脂肪織炎症候群という難病に罹患した著者の、いわば「闘病記」で(本の中で著者は闘病記ではないと書かれていますが)、難病に罹患し苦悩する様子や気持ちがよく分かります。多くの方にすすめたい本であるのと同時に、医療者にもすすめたい本です。患者さんの気持ちがよく分かります。
注2:スケジュール表をみて書き出してみると合計40日の学会・セミナーなどは次のようになります。
1月20日「産業医講習会」(大阪)、2月3日「プライマリ・ケアを語ろうおおさか」(大阪)、2月14日「HIV講習会」(大阪)、2月17日「産業医講習会」(東京)、3月7日「性感染症講習会」(大阪)、4月7日「日本臨床皮膚科学会」(名古屋)、4月13日14日「日本旅行医学会」(東京)、4月21日「産業医講習会」(福岡)、5月12日「日本アレルギー学会」(大阪)、5月16日「皮膚科セミナー」(大阪)、5月18日19日「日本プライマリ・ケア連合学会」(仙台)、5月30日「高血圧セミナー」(大阪)、6月13日「プライマリ・ケア研究会」(大阪)、6月16日「日本旅行医学会」(東京)、6月30日「日本旅行医学会」(東京)、7月7日「日本プライマリ・ケア連合学会セミナー」(名古屋)、7月15日「日本旅行医学会」(東京)、7月21日「日本渡航医学会」(東京)、7月28日「プライマリ・ケアを語ろうおおさか」(大阪)、8月4日「産業医講習会」(大阪)、8月25日「日本アレルギー学会専門医セミナー」(東京)、9月8日「日本渡航医学会」(東京)、9月19日「甲状腺セミナー」(大阪)、10月3日「産業医セミナー」(大阪)、10月6日「日本臨床皮膚科医会」(和歌山)、10月10日「プライマリ・ケア研究会」(大阪)、10月13日14日「日本臨床内科医会」(神戸)、10月17日「労働衛生コンサルタントセミナー」(大阪)、11月3日「日本皮膚科学会」(名古屋)、11月7日「食物アレルギー講習会」(大阪)、11月14日「救急医療講習会」(大阪)、11月16日17日「日本性感染症学会」(岐阜)、11月24日「日本旅行医学会」(東京)、12月1日「産業医講習会」(大阪)、12月15日「日本渡航医学会」(東京)、12月19日「産業医講習会」(大阪)
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2014年1月21日 火曜日
第125回(2014年1月) 糖尿病治療の変遷
糖尿病といえば、ここ数年間マスコミで話題になるのは「糖質制限食の是非」が多く、今も肯定派と否定派の意見が様々な誌面で取り上げられているようです。興味深いことに、医療者の中でも肯定派と否定派に分かれて論争がおこなわれることがあります。
糖尿病については、実は薬についてもここ数年でドラスティックに内容が変わってきています。新しい薬が次々と登場し、従来の治療が塗り替えられているといっても過言ではありません。
もちろん、糖尿病の治療の基本は、まず予防と早期発見につとめ、薬を使う前に食事療法、運動療法、禁煙などをしっかりとおこなうことです。それでも改善しないときに初めて薬を開始することになります。
糖尿病治療の歴史を塗り替えることになった薬としてまず挙げなければならないのは「インクレチン関連薬」と呼ばれるものです。インクレチン関連薬には2種類あります。1つは「DPP4阻害薬」と呼ばれる飲み薬で、商品名でいえば、グラクティブ、ジャヌビア、エクア、ネシーナ、トラゼンタ、テネリア、スイニー、オングリザなどです。もうひとつは「GLP-1アナログ(GLP-1受容体作動薬)」と呼ばれる注射薬で、商品名ではビクトーザ、ビデュリオン、バイエッタ、リキスミアなどです。
商品名は聞いたことがあったとしても「インクレチン」という名前には馴染みがないという人も少なくないのではないでしょうか。ここで簡単に説明しておきます。インクレチンというのは体内で分泌されるホルモンの1種で、インスリンの分泌を増やして、グルカゴンの分泌を減らす作用があります。またまたカタカナがでてきてややこしいと感じる人がいるかもしれませんが、じっくり考えればそれほどむつかしくはありません。インスリンもグルカゴンも血糖値に関わるホルモンで、インスリンは血糖値を下げて、グルカゴンは逆に血糖値を上げる、と考えてください。
糖尿病の人は血糖値を下げたいのですから、インスリンの量を増やしてグルカゴンを減らせばいいわけです。ということは、糖尿病の人にとってインクレチンというのは大変ありがたいホルモンになります。さらにインクレチンがありがたいのは、血糖値が高いときにしか働かないという特徴があるからです。もしも血糖値が低いときに働けば血糖が下がりすぎて低血糖症状が出てしまいますが、インクレチンはその心配がないのです。
そんな夢のようなインクレチンですが欠点もあります。ごく短時間しか働いてくれないのです。なんとかしてインクレチンにもっと働いてもらう方法はないか、あるいはインクレチンを外部から取り込む方法はないか、このようなことを世界中の研究者は随分長いこと考えて研究を重ね、ついに登場したのが「DPP4阻害薬」と「GLP-1アナログ」というわけです。
DPP4というのは、インクレチンを分解する酵素のことで、この酵素の働きを弱める薬、つまりDPP4阻害薬が働けばインクレチンがそれだけ長い間作用することになります。GLP-1アナログというのは、インクレチンと構造が似たもので、インクレチンと同じように働いてくれて、インクレチンそのものではないためにDPP4に分解されにくくなっているのです。
これらを考えるとインクレチン関連薬というのは、糖尿病の患者さんにとってまさに夢の薬のようにも思えてきます。では、欠点はないのでしょうか。「ない」と断言する医療者もいるかもしれませんが、私は手放しに「欠点がない」とは思っていません。後に述べるように、実は私は現時点ではインクレチン関連薬を積極的には処方していません。転居などで前にかかっていた病院から引き継ぐようなケースでは処方することもありますが、その場合でもインクレチン作動薬を中止できるように患者さんに生活指導をおこなうことが多いのです。
私がインクレチン関連薬を積極的に推薦しない理由は2つあります。1つは値段が高いことです。DPP4阻害薬は種類にも使う量にもよりますが、1日あたり3割負担であったとしても50~60円くらいはします。(後に述べるメトホルミンであれば1日あたり6~25円程度です) 糖尿病という病は薬を飲めばいいというわけではありません。まずは食事療法・運動療法をおこなって、それでも改善しなければ薬を始めるということになっていますが、薬を飲み始めたからといって運動・食事療法をやめていいわけではありません。むしろ糖尿病が悪化しているわけですからこれまで以上に食事・運動療法をしっかりとやらなければならないのです。そして効果的に食事・運動療法をおこなおうと思えばある程度の費用がかかります。薬にお金をかけるのではなく、食事・運動に投資しよう、というのが私の基本的な考えです。
もうひとつ私が積極的にインクレチン関連薬を処方していない理由は「未知の副作用」を考えてのことです。インクレチン作動薬の副作用についてはこれまで世界中で随分と調査がおこなわれており、現時点では特に大きな副作用はなく「安全性の高い薬剤」ということになってはいます。しかし今後もそれが続くかどうかは分かりません。歴史があり安い薬が他にあるのであれば必ずしもインクレチン関連薬を使う必要はないのです。
糖尿病の新しい薬はインクレチン関連薬だけではありません。開発中のものが非常にたくさんあります。糖尿病の薬というのはいったん飲み出すとかなり長期になりますから製薬会社としては安定した収益につながるわけで、世界中の製薬会社がいろめきたって開発しているのかもしれません。
そんななか、まもなく市場に登場するのが「SGLT2阻害薬」と呼ばれるものです。この薬の作用機序は大変シンプルで、糖尿病は血液中に糖が多いのだからその糖を尿と一緒に出してしまおう、というものです。つまりこの薬を飲めば血中の余分な糖が尿と一緒に排出されて血糖値が下がる、というわけです。日本では合計6種類のSGLT2阻害薬が申請されていたのですが、一番乗りはアステラス製薬の「スーグラ」という商品となりました。2014年1月17日に承認取得したようですからまもなく処方開始となるでしょう。
ではSGLT2阻害薬が発売されるとすべての医師が処方を始めるかというとそういうわけではないと思います。少なくとも私は当分の間処方を見合わせるつもりです。理由はインクレチン関連薬と同様、価格が高いことが予想されるのと、副作用についてです。糖の混じった尿がでるようになるわけですから、すでに、膀胱炎を起こしやすくなるのではないか、ということが指摘されています。常に尿糖がでる状態であれば排尿時の不快感が生じる可能性がありますし、女性の場合カンジダ腟炎を起こしやすくなるでしょうし(男性でも包茎があればカンジダ性゙亀頭炎のリスクとなる可能性があります)、また浸透圧の関係で血圧が下がりすぎないか、という心配もあります。
さて、ここからが今回のコラムの本題です。私はインクレチン関連薬を積極的に処方していませんし、SGLT2阻害薬も現時点では処方する予定はありません。にもかかわらず私自身もここ数年で最も処方内容を変えた疾患のひとつに糖尿病をあげます。これはマスコミなどにはあまり注目されていないようですが、私自身は「メトホルミンが高容量で使えるようになった」ということが糖尿病治療にとって大変重要なことであると考えています。
メトホルミンというのは50年以上も前に誕生した薬なのですが、乳酸アシドーシスという副作用が起こりやすいという意見があり、随分と長い間、わずかな量しか使えなかったという歴史があります。ところが、実際には副作用が従来指摘されてきたように発生するわけではなく、また非常に高い効果が期待できることが次第に明らかにされ、海外では高容量の処方がスタンダードになってきていました。日本でもメトホルミンのなかで「メトグルコ」という商品は2010年に高容量が認められるようになりました。それまでは1日合計量が750mgまでだったのが、2,250mgまで認められるようになったのです。高容量でメトホルミンを内服しても副作用はあまり起こらず、低血糖もおこりません。したがって空腹に悩まされることもありません。その上、コストは安く(3割負担で1錠3円未満)、使用する量にもよりますが、1日あたり6円~25円程度ですから経済的にも使い勝手がいいのです。
先にも述べましたが、糖尿病の基本治療は薬ではなく食事療法、運動療法、禁煙です。治療にお金をかけるなら薬ではなく、これら生活習慣の改善に投資しよう、それが私の基本的な考えです。
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2014年1月14日 火曜日
2014年1月14日 ピル(OC)の長期使用は緑内障のリスク
ピル(OC、経口避妊薬)を3年間以上服用している女性は緑内障のリスクが2倍に増大する・・・
2013年11月18日、米国眼科学会(American Academy of Ophthalmology)はこのような発表をおこないました(注1)。
この発表に基づく研究は、米国のカリフォルニア大学、デューク大学、及び中国江西省南昌市の南昌大学(Third Affiliated Hospital of Nanchang University)の研究者らによっておこなわれています。
この研究の対象となったのは、2005~2008年に実施された国民健康栄養調査(NHANES)に登録された参加者のなかでピルに関する問診と眼科検診を受けている40歳以上のアメリカ人女性3,406人です。
調査の結果、ピルの種類にかかわらず3年以上服用していると緑内障と診断される可能性が2.05倍高かったそうです。
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ピルの副作用で最も注意しなければならないのは血栓症(血が固まって血管がつまる状態)であり、眼科的な副作用でいえば網膜の血管が詰まることによっておこりうるものは指摘されたことがありますし、実際そういったことはピルの添付文書にも書かれています。
緑内障とピルの関係についてはこれまではあまり指摘されていませんし、薬の添付文書にも記載がありません。しかし、3年以上の服用でリスクが2.05倍というのは決して小さな数字ではありません。
以前から「40歳を超えれば眼科検診を」ということが言われることがありましたが、ピルを飲んでいる人はより積極的に考えるべきでしょう。
(谷口恭)
注1:この発表は米国眼科学会のウェブサイトで公表されています。タイトルは「Long-Term Oral Contraceptive Users are Twice as Likely to Have Serious Eye Disease」で、下記のURLで閲覧することができます。
https://www.aao.org/newsroom/news-releases/detail/longterm-oral-contraceptive-users-are-twice-as-lik
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2014年1月10日 金曜日
2014年1月号 沖縄で考えた「命」
年末年始も病院に泊まり込んで患者さんのために尽力している医療者がたくさんいることは重々承知しているのですが、私自身は休暇をとって旅行に出かけました。
今回の年末年始は諸事情からひとり旅に出ることとなり、行き先は沖縄の糸満を選びました。私はこれまでに沖縄に滞在した日はおそらく200日近くになると思うのですが、実は南部地方には一度も行ったことがありません。この理由は、南部地方をあえて避けていたというか、訪れるのに躊躇していたのです。
なぜ私が沖縄南部を避けていたかというと、南部に行けばどうしても戦争のことを考えさせられるからです。元々私がなぜ沖縄が好きかというと、まずあの乾いた心地よい空気と青い海があるからです。そして沖縄に着いたとたんに、何とも言えない開放的な躍動感に包まれます。つまり私にとっての沖縄とは「楽園」そのものであり、南部に行って戦争の跡をみてしまうと、楽園という幻想が覚めてしまいそうな気がするのです。
1987年から1991年の大学4年間(関西学院大学)の間、アルバイトやバカンスで毎年数週間から長い年は2ヶ月間程度沖縄(離島を含む)に滞在していました。当時の思い出は(思い出は美化されることを差し引いても)本当に楽しいことばかりで、私にとっての「酒とバラの日々」といった感じです。けれども、当時も現地の人とお酒を飲みながら話をしたときなどに、ふと戦争のことが話題になることがあり、そんなとき私はそれ以上のことを考えないようにしていました。
今も私にとって沖縄が”楽園”であることには変わりなく、疲れたときなどにはふと思い出し行ってみたくなります。いつか沖縄に住もう、とまで考えてかなり具体的に計画したこともあります。私は4年間働いていた会社を退職し医学部を受験するにあたり、最終的には大阪市立大学を第一希望としましたが、当初は琉球大学を考えていました。また、当時の私は医学というよりも生命科学そのものの勉強がしたかったために、最初は理学部生物学科も視野に入れていました。そのため、医学部に入学してから再会した知人には「お前は琉球大学理学部に行ったっていう噂を聞いたんだけど……」と言われたこともあります。
さて、およそ四半世紀前から気にはなっていたけれど訪れたことのなかった沖縄県南部の糸満市に行くことを決めた私は、どうせ行くならなつかしのフェリーに乗ろうと考え、12月28日の夕方、東京の有明埠頭で「飛龍21」に乗船しました。(フェリーに乗るために大阪から東京まで移動したのです……)
私の今回の沖縄渡航の目的は主に3つありました。1つめは、先に述べた沖縄南部をきちんと見ること、2つめは疲れをとり充分な時間をとって自分自身のミッション・ステイトメントを見直すこと、そして3つめは(これは些細でつまらないことですが)昔よく通っていた那覇にあるなつかしの2つの大衆ステーキハウスに行くこと、です。
私が関西学院大学の学生だった頃は、沖縄といえばフェリーで行くのが当たり前でしたが(ただし私と同年代でもお金のある人は当時から飛行機が常識だったそうです)、さすがにフェリーの2等席はちょっと抵抗があります。(当時の)フェリーに馴染みのない人のために説明しておくと、(当時の)2等席とは30畳くらいの薄いじゅうたんが敷かれた広いスペースに20人くらいが雑魚寝するような席(正確には「席」などありません)です。20代ならまだしもさすがに45歳の今となってはちょっとしんどいので(別に気取っているわけではないのですが)個室をとることにしました。
しかし、予約する時に初めて分かったのですが、今のフェリーにはもはや「ざこねじゅうたん部屋」などなく、すべて個室となっていました。私が予約したのは、ベッドのみならず部屋の中にトイレまでついている豪華なものでしたが、この部屋がなんと2等というではないですか。同じ2等でも時代が流れると随分と変わるものです。
沖縄の安謝港(那覇新港)に着いたのは3日目(12月30日)の夜9時頃です。いきなり南部に移動するのではなくこの日は港の近くのホテルに一泊しました。一人旅のいいところは時間をすべて自分の自由に使えることです。先述したように、私にはおよそ四半世紀ぶりに行ってみたい大衆ステーキハウスが二つありました。この日の夜と翌日の昼前にそのふたつのステーキハウスでなつかしのCランチ(当時350円)を食べたかったのです(注1)。その後、南部の糸満市に移動しました。
2014年1月1日、この日私は丸一日かけて自転車で糸満市を廻ることにしました。行ってみたいところはいくつかあったのですが、どうしても外せない場所として、沖縄戦の終盤、逃げ惑う人達が息を潜めて避難していた防空壕をまず考えました。このような壕のいくつかは今も見学できます。いくつかの壕では、無惨にも米兵によって手榴弾が投げ込まれ何人もの民間人や学生(一部はひめゆりと呼ばれていた若い女子学生です)が命を落としたそうです。
また、当時は米兵から身を隠すために、なんと県庁や病院も壕の中につくられていたそうです。ある壕では説明が書かれたプレートに「病院」と書かれており、そこで当時は手術がおこなわれていたそうです。ここでいう手術とは負傷兵の傷の手当てや、不能となった手足の切断などでしょう。本土から応援に来た看護師や沖縄の若い女学生(ひめゆり)たちが負傷兵の看護・介護にあたっていたのです。
次にどうしても行きたいと考えたのは、喜屋武岬という南部の絶壁です。ここは追ってくる米兵からもはや逃れられなくなり、かといって捕虜になるくらいなら……と考えた人達が次々と飛び降りて自決を図った崖です。一説には100人以上が飛び降りたと言われており、サイパンのバンザイクリフの沖縄版とも言えるところです。
もうひとつ、どうしても外せないのが「ひめゆりの塔」です。ひめゆりの塔の資料館は想像していたよりも大きくてきれいで展示物が多く大変充実したものでした。ひめゆりと呼ばれていた当時の女子生徒の方々を最近になってインタビューしているビデオが放映されていて、私はいつのまにかこのビデオに夢中になり気がつけば1時間以上見続けていました(注2)。
ビデオの中の証言は、想像を絶する世界というか、目の前でさっきまで元気だった同級生が砲弾にあたり即死した、とか、目の前の海には無数の死体が浮いていた、とか(これを証言された方は戦後何年も海に行けなかったそうです)、喉が渇きやっとのことで見つけた水たまりに這いつくばって水をすすると尿や死体から出てくる液体が混ざった異臭がした、とか(それでも飲むしかなかったそうです)、そのような話が続きました。
私が25年前から漠然と抱いていた感覚は間違ってなかったのです。暖かい空気と青い海を求め、あわゆくばロマンスが生まれることも期待して夏のビーチに出かけていた若い頃の自分が恥ずかしくなりました。戦争は二度と起こしてはいけない、などというと陳腐に聞こえますし、当時は沖縄戦を避けられなかったやむを得ない理由が我が国にあったのかもしれません(ただし、沖縄戦は米軍の本土上陸を遅らせるための「捨て戦」であったのではないかという疑念を私個人としては持っていますが)。
ひめゆりの塔の資料館でみた説明によると、壕の中では、負傷兵の傷に次から次に発生してくるウジ虫に悩まされ、負傷兵の糞尿と化膿した傷の悪臭、さらに嘔吐物などで、耐えられないような環境だったそうです。そんななかで彼女たちは遠くまで水を汲みにいき、米兵に見つからないように重いかめを運び、ご飯をつくり負傷兵に食べさせていたのです。そして負傷兵のみならず、同級生の多くも、米兵の攻撃により、あるいは自決により命を絶っていったのです。
当時ひめゆり部隊だったというある女性がインタビューでこのようなことを話していました。仲の良かった同級生たちは何人も命を落として私は生き残った。だから私は今ある命を大切にしなければならないんだと……。
医師として、というよりは一人の人間として「命」の大切さを考えることができた。私の2014年はそんな体験から始まりました。
注1:この2つのステーキ屋とは「88(ハチハチ)」と「ジャッキー」で、私が食べたかったのはステーキではなく25年前によく食べていたCランチです。Cランチは350円でトンカツなどのフライとハンバーグ(だったと思います)、ライス、サラダ、スープがついていて味も悪くなくお金のない学生にとってはありがたいものでした。なぜ今頃になってこのCランチが食べたくなったかというと、このサイトのメディカルエッセイ第126回(2013年7月)「我々はベジタリアンの道を進むべきか」で、このCランチについて取り上げ、なんだかバカみたいな話ですが、Cランチについて書いているうちに再び食べたくなってしまったのです。
さて、実際に行ってみると、「88」の方は私の記憶違いなのか、Cランチは存在せずに、Bランチがありました。しかも値段が750円と高すぎて結局注文しませんでした。翌日に行った「ジャッキー」にはCランチがありました! 値段は500円でした。当時から150円値上がりしていましたが25年で150円ですから許容範囲内でしょう。注文してみると、ボリュームのあるトンカツとハンバーグ、これにライス、サラダ、とっても美味しいスープがついていますからかなり得した気分になりました。
これら2つのステーキハウスを見つけた瞬間は「なつかしい!」と叫びたくなりました。しかし中に入ってみると、両店とも、こんなに狭かったかな…、という感じで、客層は家族連れが多く、私の記憶とは随分異なっていました。私の記憶にある25年前の様子は、店内はもっと広く(実際の3倍くらいのイメージをしていました)、ジュークボックスから大音量の音楽が流れていて、客の半分は外国人(米兵)だったのです。客層は年月を経て次第に米兵から日本の家族連れに変わってきたのかもしれませんが、店の広さは明らかに私の間違いです。私の記憶もいい加減なものです。
注2:このビデオではありませんが、「ひめゆり」という約30分のアニメをYouTubeで見ることができます。私はこれをひめゆりの塔の資料館で観ましたが、大変よくできていると思います。興味のある方は是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=eW9Ro2G_kUc
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2014年1月6日 月曜日
2014年1月6日 ナッツを毎日食べると健康で長生き
ナッツを食べるべきか食べないべきか、については意見が分かれるところだと思います。ナッツはビタミンやミネラルが豊富に含まれており、地中海ダイエットのメイン食品のひとつですから、健康に、あるいはダイエットに積極的に摂取する、という人がいます。
一方、ナッツはカロリー過多で太る、あるいはナッツは肌荒れやニキビの原因になると考えて、健康とダイエットのためにあえて避けている、という人もいます。私の知る限り、ナッツで肌荒れやニキビを起こすと書かれた論文などは見たことがなく、これは単なる「噂」だと思うのですが、実際にナッツを食べる(食べ過ぎる)とニキビができやすくなると言う患者さんがいるのも事実です。
最近、ナッツ摂取量と死亡率、さらにいくつかの疾患の罹患率との関係について大規模調査がおこなわれましたので報告します。医学誌『New England Journal of Medicine』2013年11月13日号(オンライン版)によりますと、ナッツ摂取の頻度が多ければ多いほど(つまり毎日食べるほど)総死亡率やガンなどの疾患による死亡リスクが低下することが判ったそうです(注1)。
この調査は、米国の女性看護師121,700人を対象とした健康調査(The Nurses’ Health Study (NHS)と命名されています)と、 男性の医療従事者51,529人を対象とした調査( The Health Professionals Follow-up Study (HPFS) と命名されています)の2つを分析することによっておこなわれています。対象者から、ナッツの摂取量が不明な人、心疾患や脳卒中などを起こしたことがある人などが除かれ、最終的には女性76,464人と男性42,498人の分析がおこなわれています。追跡期間中に死亡したのは女性16,200人、男性11,229人だったそうです。
総死亡率については、ナッツをまったく摂取しない人と比較すると、週に1回未満の摂取で7%の低下、週に1回の摂取で11%、週2~4回で13%、週5~6回で15%、週7回以上の摂取で20%と、摂取する頻度が高ければ高いほど総死亡リスクが低下していることがわかります。
ガンによる死亡については、ナッツをまったく摂取していない人と比べて、週7回以上の摂取で11%低下しており、心臓病による死亡については25%の低下、呼吸器疾患による死亡では24%低下しています。
さらに、体重増加との関係についても、ナッツの摂取量が多い人ほど体重は減少していたそうです。論文の著者が「ナッツの食べ過ぎは体重増加の心配があるだろうが」と書いていますから、アメリカでも多くの人がナッツは太ると考えているのでしょう。
****************
ナッツを食べると肥満を防げて、病気にもならずに長生きできるとなるといいことばかりです。しかも、この研究は対象者が少なくありませんから説得力があります。
ナッツと聞いて気になるのは塩分との兼ね合いです。塩辛い味が好みの我々日本人は塩分摂取量には注意すべきでしょう。気になる人は塩分無添加のナッツを考えてみてもいいかもしれません。(ただし、完全な食塩無添加ナッツを美味しく食べられるか、というところが気になりますが)
ちなみに、何を食べるとどれだけ太るかという研究が同じ医学誌『New England Journal of Medicine』2011年6月23日号(オンライン版)に掲載されており(注2)、ここでもナッツは4年間で0.57ポンド(258グラム)の体重減少とされています。最も体重が増えたとされているのがポテトチップスの1.69ポンド(766.57グラム)です。
ということは、ソファーに座りながら、あるいは新幹線の座席でビールのつまみにポテトチップスを食べているという人はナッツに変更すべき、となるのかもしれません。
(谷口恭)
注1:この論文のタイトルは「Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1307352#t=articleTop
注2:この論文のタイトルは「Changes in Diet and Lifestyle and Long-Term Weight Gain in Women and Men」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1014296#t=articleTop
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2013年12月27日 金曜日
2013年12月27日 ワールドカップに出かける前に黄熱ワクチンの検討を
2014年の最大の楽しみにサッカーのワールドカップをあげる人も少なくないと思います。今月からチケットが発売されましたから席の確保に奔走している人もいるのではないでしょうか。
さて、開催地がブラジルとなるといくつか注意しなければならない感染症があります。今年話題になったシャーガス病(カメムシに刺されて感染)や、マラリアなどにも注意が必要ですが、ブラジルで忘れてはいけない感染症に黄熱があります。
黄熱はアフリカが有名ですが、アマゾンなどブラジルの奥地にも生息しています。ネッタイシマカと呼ばれる蚊に刺されることにより感染し、致死率は10%にも及ぶ大変危険な感染症なのですが幸いなことにワクチンがあります。
現在厚生労働省は黄熱ワクチンの接種をよびかけていますので、ブラジル渡航の予定がある人は目を通しておいてください(注1)。黄熱ワクチンはどこででも接種できるわけでなく全国25カ所の機関でのみとなります。
******************
ただし、ではブラジルに渡航する誰もが黄熱ワクチンを接種すべきなのか、と言えばそういうわけでは決してありません。都心部だけの渡航であれば特に接種する必要はないでしょう。黄熱ワクチンは、ワクチンのなかでは比較的副作用が強いことも知っておくべきです。
では、どのような人が黄熱ワクチンを接種すべきなのか、ですが、例えば「せっかくブラジルに渡航するんだからアマゾンまで行ってみよう」などと考えている人は積極的に接種を検討すべきでしょう。
また、国によっては、ブラジルから入国する場合、黄熱ワクチンを接種した証明書が必要になる場合があります。例えば、ブラジルからアフリカ経由で帰国しようとしたときに、サンパウロ→ケープタウンというのはポピュラーな経路ですが、南アフリカ共和国ではブラジルから入国する場合、黄熱ワクチン接種の証明書が必要になります。(日本で接種したときに交付される証明書を携帯していなければなりません)
詳しくは、注1の厚労省の案内のなかにある「黄熱ワクチン接種を行っている機関」に直接相談されるのがいいかと思います。また、FORTH(厚生労働省検疫所)のサイト(注2)も参考になります。
ブラジル渡航では黄熱だけに気をつけていればいいというわけではもちろんありません。上に述べたシャーガス病、マラリアにも注意すべきですし、他にも、デング熱、フィラリア、リーシュマニア、狂犬病、ワイル病など日本にない感染症がたくさんあります。もちろん水道水は飲めませんし、食べ物にも注意が必要で、A型肝炎ウイルスなどにも注意しなければなりません。黄熱以外のワクチンとしては、B型肝炎ウイルスはもちろん、A型肝炎ウイルス、狂犬病、破傷風なども考慮すべきでしょう。
まずはかかりつけ医に相談してみてください。
(谷口恭)
注1:厚労省の案内は下記URLを参照してください。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11133000-Shokuhinanzenbu-KenekijogyoumuKanrishitsu/leaflet_2.pdf
注2:FORTH(厚生労働省検疫所)の説明については下記URLを参照してください。
http://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html
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2013年12月27日 金曜日
2013年12月27日 長期間の失業で老化が促進
長期間失業している男性は老化が早い・・・
フィンランドOulu大学のLeena Ala-Mursula氏らにより、フィンランド人の男女を対象とした研究でこのような分析がおこなわれ、医学誌『PLoS One』2013年11月20日号(オンライン版)に論文が掲載されました(注1)。
この研究は、フィンランドで1966年に出生した男女5,600人が対象とされています。対象者が31歳となった1997年にDNAが採取され「テロメア」の長さが調べられています。テロメアの先端部の長さを調べると老化の状態を知ることができることがわかっています。つまり、老化とはテロメアが短縮することに他ならない、というわけです。
研究の結果、過去3年間で2年以上失業していた男性は、仕事をしていた男性に比べると、テロメアの短縮が2倍以上多くみられたそうです。これは、テロメア短縮の原因となり得る(つまり他の老化因子である)喫煙、運動、体重、疾患の有無、教育、婚姻状態などの因子の影響を取り除いた上での結果だそうです。
興味深いことに、女性ではこの傾向が認められなかったそうです。ただし、この研究では女性の失業者はそれほど多くなかったことがこうした結果となった可能性が指摘されています。
また、筆者は論文のなかで別の研究を引き合いに出しています。その研究は米国の35~74歳の608人の女性が対象とされており、長時間労働や複数の仕事を持つことがテロメアの短縮と関係がある、つまり老化が早くなるという結果が出ているそうです。
******************
男性は失業で老化・女性は働き過ぎで老化、と短絡化すべきでないと思います。この線で押し進めて考えると、「男は働いてこそ幸せ、女は仕事をすべきでない」という時代錯誤の結論になってしまいかねません。このようなことを断定するには、もっとたくさんの調査が必要と考えるべきです。
精神的ストレスがテロメア短縮の要因であることは以前から指摘されています。失業期間が長くなったとしても過重労働があったとしても精神的ストレスが蓄積するのは間違いないでしょうから、仕事の有無でテロメアを論じるのではなく、仕事の有無とストレスの関係に注目すべきだと私は思います。
私にとってこの論文が印象的なのは、研究の対象者がフィンランド人、ということです。高負担・高福祉国家のフィンランドでは失業保険が充実していたはずですし、(私の記憶が正しければ)失業後も職業訓練を無料でおこなうことができて次の仕事を見つけるのは他国に比べるとむつかしくないはずです。
同じ研究を日本でおこなえば、さらにテロメアが短くなっている、つまり、日本人で長期にわたり失業している人は精神的ストレスが極めて強くなっている、そして結果として老化が早まり寿命も・・・、ということを危惧します。
(谷口恭)
注1:この研究のタイトルは「Long-Term Unemployment Is Associated with Short Telomeres in 31-Year-Old Men: An Observational Study in the Northern Finland Birth Cohort 1966」で、下記のURLで全文を読むことができます。
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0080094
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2013年12月21日 土曜日
第124回(2013年12月) 睡眠薬の恐怖
薬に対するイメージというのは人それぞれで、危険性をまるで顧みずに処方を強く希望する人がいる薬もあれば、使用することをすすめたいのだけれど頑なに使用を拒否する人がいる薬もあります。今回お話する「睡眠薬」は「危険性をまるで顧みずに処方を強く希望する人がいる薬」の代表です(ちなみに、他にはステロイドと抗菌薬でこの傾向があります)。
日本では、少し年配の方であれば、睡眠薬と言えばサリドマイドを思い出す人が少なくないでしょう。サリドマイドを内服した妊婦さんから生まれた子どもたちの悲惨な姿の写真を目にすると「睡眠薬=恐怖の薬」という方程式が頭の中でできあがるのも無理もありません(サリドマイドは現在睡眠薬としては用いられていませんが、一部の難治性の疾患に奏功することからその後再び注目されるようになりました)。
一方、現在の若い人たちのなかには、サリドマイドを知らず、また睡眠薬を友達からわけてもらって気軽に飲んでいる人や、インターネットで入手して使っている人もいるようで、もちろんこれらは違法行為なのですが、随分と睡眠薬に対する敷居が低くなっているような印象があります。そしてこの傾向は年を経るごとに加速しているような気がします。太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)がオープンした7年前は、不眠の相談で受診する人は「睡眠薬はできるだけ使いたくない」という人が多かったのですが、最近は、薬の名前を指定して処方してほしい、というような人もいます。
改めて言うまでもないことですが、睡眠薬というのはそんなに簡単に使うべきものではありません。谷口医院に不眠を訴えて受診された人に最初から睡眠薬を処方するのは、3人に1人もいません。
現在医療機関で標準的に処方される睡眠薬はサリドマイドのような催奇形性のあるものはありませんが、原則として妊娠中は使うべきではありませんし、副作用については誰もが充分に理解しなければなりません。またアルコールとの併用は絶対にNGです。
患者さんを必要以上に怖がらせることはしたくありませんが、最近起こった事件を取り上げて睡眠薬の注意点について改めて考えてみたいと思います。
2012年9月2日、日曜日の正午過ぎ、東京都目黒区の高級住宅街の豪邸に住む会社社長(当時46歳)が3階の自室から1階の居間に降りると、変わり果てた当時5歳の息子の姿がありました。目と口をガムテープでふさがれ、ビニール紐で身体が縛り上げられ、さらに家庭用ゴミ袋を二重に被せられガムテープで密閉されていたのです。
この無惨な殺人事件の犯人は、なんと実の母親(当時42歳)でした。これだけを聞くと、母親に化けた鬼畜が犯した断じて許すことのできない児童虐待か、と思いますが、事実はまったくそうではありませんでした。
この事件を後に詳しく報道したジャーナリストの森哲志氏のレポート(注1)に、この母親の法廷での様子が描写されていますので少し引用したいと思います。
開廷中、(母親の名前が書かれていますがここでは実名を伏せます)のすすり泣きが絶えない。細身の体に黒袖のカーディガンと白いブラウス。ブラウンのメガネをかけた顔立ちに、理知的な上品さ。細い右手のピンクのハンカチは濡れている。(中略)進学校を出て(中略)税理士資格を取得、玉の輿に乗り、3億円超の豪邸に住むセレブの面影が、長期留置を経ても漂う。(中略)イタリア製外車が置かれた豪邸。夫婦のいさかいもなく、上の男の子2人は野球少年。仲のよい家族と見られていた。
つまり、この母親は残虐性を持ち合わせている反社会的な人間ではなく、我が子を殺すような動機はまったく見当たらないのです。では、何がこの女性を殺人に導いたのか。それが睡眠薬、しかも、日本で最も頻繁に処方されている睡眠薬のひとつである「マイスリー」だったのです。
誤解を避けたいのでこの時点で解説しておくと、数多い睡眠薬のなかでマイスリーが特別危険な睡眠薬というわけではありません。マイスリーは作用時間が短く、翌日に眠気やだるさが残ったりしにくいために、危険どころか、日本でもっとも処方量の多い睡眠薬のひとつであり、睡眠薬を初めて使うという人にも比較的処方されやすい薬なのです。
では、なぜそれほど危険性のないと考えられているマイスリーでこのような悲惨な事件が起こったのか。それはアルコールを同時に摂取していたからです。睡眠薬とアルコールの同時摂取、または睡眠薬内服後に眠れないからといってアルコールを摂ることは絶対にやってはいけないことです。この母親が睡眠薬とアルコールの併用の危険性をどれだけ認識していたのかは報道からは分かりませんが、きちんと理解していればこのような事件は起こらなかったはずです。
では、アルコールさえ摂らなければ危険性は完全に回避できるのか、と言えばそういうわけでもありません。もうひとつ、最近の事件を紹介しましょう。
2012年3月31日未明、兵庫県明石市内の総合病院の病室。夜勤の看護師が異様な光景を目撃しました。肺炎で入院していた72歳(当時)の男性が、女性の病室に忍び込み、87歳(当時)の女性に馬乗りになり、自らの下腹部を押し当てていたそうなのです。
病院側は警察に通報し、この男性は準強姦未遂罪で起訴されました。しかしこの男性、犯行のことはまったく記憶になく、「夢の中で、縛られたおばあさんの縄をほどこうとした。何も覚えていない」と証言したそうです。
2013年11月21日、神戸地裁はこの被告に無罪を言い渡しました(検察の求刑は懲役3年でした)。無罪とした理由について、地裁は「睡眠導入剤の副作用で心神喪失状態だった可能性」を認めたのです。つまり、この男性は事件を起こす7時間前に睡眠薬(この事件もマイスリーでした)を内服しており、この薬が心神喪失の原因となった可能性を認めた、というわけです。念のために付記しておくと、この男性はアルコールを摂取していたわけではありませんし、精神疾患を有していたわけでもありません。
先にも述べたように数多い睡眠薬のなかでも、マイスリーは短時間しか作用せずに作用強度もさほど強くないために相対的にはそれほど危険なものではないのですが、なぜか睡眠薬に関連した事件はマイスリーが原因のものが目立ちます。2006年5月に、故ケネディ大統領の甥であるパトリック・ケネディ下院議員が議会敷地内で自動車事故を起こしたのもマイスリーが原因と報道されています。
こういった事件はインパクトが強いために、睡眠薬を処方するときにすべての患者さんに事件の詳細を伝えているわけではありませんが、谷口医院では(というより以前から私は)、高齢者にはよほどのことがない限り睡眠薬の処方はしませんし、若い人に対しても注意点をしつこいくらいに話しています。しかし、それでも”副作用”が出現することがあります。例えば、翌朝台所に大量に食べ散らかした後があった(つまり暴食した記憶が一切ない)という患者さんがいましたし、谷口医院宛てに記憶のないまま赤ちゃん言葉のメールを送ってくる人もいました。ちなみにこの患者さんは社会的ステイタスの大変高い立場にいる人です。
では、眠れないときはどうすればいいのか。私が不眠を訴えるすべての患者さんに話すのは、まずは「同じ時間に起きて同じ時間に寝る」ということです。海外出張が多く時差が睡眠を妨げている場合や、夜勤があって生活が乱れている場合でも、まずは薬なしで眠れる工夫をしてもらいます。そして薬が必要と判断すれば、マイスリーのような睡眠薬ではなく、メラトニン作動薬であるロゼレム(一般名は「ラメルテオン」)を使ってもらいます(注2)。
それでも眠れないときは、一時的にマイスリーのような睡眠薬を処方することもありますが、危険性は充分に承知してもらった上での処方になります。睡眠薬は怖がりすぎるのもよくありませんが(睡眠薬を飲んだことで不安が昂じて眠れなくなれば本末転倒です)、安易に飲むのはもっと問題です。日本人が気軽に睡眠薬に頼りすぎていることは以前から指摘されており、先に紹介した森哲志氏のレポートによりますと、睡眠薬の世界市場125億円中、日本人は75億円を消費しているそうです。
もしもあなたが睡眠薬の使用が常習化しているなら、危険性を改めて顧みて、「同じ時間に起きて同じ時間に寝る」ことの重要さをまずは見直してみてください。
************
注1:このレポートは『新潮45』2013年12月号に「目黒碑文谷「愛児袋詰め殺人」の真相」というタイトルで掲載されています。
注2:下記コラム「新しい睡眠薬の登場」を参照ください。
(2016年1月付記:2015年12月以降は「ベルソムラ」(一般名:スボレキサント)という従来とは異なる機序で作用する薬が広く使われるようになっています)
参考:
はやりの病気第86回(2010年10月)「新しい睡眠薬の登場」
メディカルエッセイ第130回(2013年11月)「噛み合わない薬の論争」
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